バンクシー展に行ってきた[後編]ースケールの大きなプロパガンダへー
バンクシー展のレポートも今回で3回目、お付き合いいただきありがとうございます。
圧倒的な作品数ですべてをご紹介できませんが、後編では今までご紹介したストリートにおけるスプレーアートであってシルクスクリーンの様な二次元の作品の枠を超えて、彼はより大きなサイズ感のプロダクト製作へと傾倒していきます。今日は、絵画というアプローチを超えたバンクシーワールドをご紹介したいと思います。
DismalandとThe Walled Off Hotel
パレスチナと聞いて皆さんはどんな印象を受けるでしょうか?永遠に終わることない紛争地、宗教上の重要な拠点等々ネガティブな印象が少なくないエリアであることは否めません。そんなパレスチナのベツレヘムにバクシー曰く
「世界のあらゆるホテルの中でも最悪の眺めだ」
なるホテルがあるのをご存知でしょうか?
左側がウォールド・オフ・ホテル右側にはイスラエルとヨルダン川西岸地区を隔離する高さ4mの壁。つまり、客は窓からこの「壁を見ながら」過ごす特異的な環境のホテルに宿泊することになります。
ホテルの入口に設置してある、看板のレプリカです。ここだけ見るとブロードウェイのような素敵な感じに見えますが。。。
実際の環境はこんな感じみたいですw すごい立地ですね本当に。戦争、紛争について考えてもらいたいと思う意図は感じ取れますがそれにしても大胆な位置にバンクシーもホテルを開業したなと。
室内はこんな感じで実際にBanksyの作品が多数掲示されているため、しかも世に出ていない新作も多数なため盗難防止のためのデポジットを要求されるようです。
ホテルの室内が再現されていました。壁画も反戦です、枕投げ(日本的言うなら)で戦ってもらえるなら本当はそれが一番ですよね。この位置にあるホテルの室内ですから説得力が違います。
こうして、Banksyの作品をバックに食事を楽しむことができるダイニングをそなえているそうです。ファンとしては危険覚悟で行ってみたい!そう思いました。
これは、ホテルの入口を模したBanksy自身の作品です。こんなイメージなら楽しいのに。。。と思っていたら
実際このように出迎えてくれるみたいでwwwBanksyの世界に飛び込んだ不思議の国のアリス状態になれそうでますます行ってみたくなりました。このように、Banksyは近年建築や構造物での表現に舵を大きく着る傾向も感じられ、2015年にはイギリスにてDismalandを期間限定でオープンしたのです。
壊れたシンデレラ城、切り刻まれたアリエル。。。もう全てがタイトル通り憂鬱で暗いですw
当時、イギリスのメディアがDismalandを取材したときの映像です。昼間見ても怖い感じがします。
横転する馬車、シンデレラが死んでる様子、まさにカオス。R-18のテーマパークとしか言えないですねw
難民状態のイッツアスモールワールド。この視点や発想がBanksyたる所以かもしてません。Dismalandに関してはBanksy展でもっと詳細に触れらておりますので気になる方は会場で確認してみてくださいw
ストリートがBanksyのホーム
先程のホテル同様、年々規模を大きくして活躍の場を広げようとしている感じのBanksy。しかし、ストリートでの活動もゲリラ的に継続しています。
いつものバンクシーワールドですね。風刺画と言う感じよりはストリートアートなBanksyですね。
彼の作品で多く用いられるネズミ。スタンプのようにも見えますが、彼の作品なんですね。
"If you feel dirty, insignificant or unloved,then rats are a good role model. They exist without permission, they have no respect for the hierarchy of society, and they have sex 50 times a day."
あなたが汚い、取るに足らない、または愛されていないと感じるなら、ネズミを見てください。彼らは許可なく存在し、社会の序列を気にせず、一日50回のセックスをしている。(さじゃん意訳)
ラットシリーズは割と色んなパターンで描かれることが多いです。
ネズミを自分の投影像としているのか代弁者としているのか、激しくも皮肉めいた言葉が刺さります。大胆に行動しているように見えてどこか繊細で切なく優しく弱者に寄り添うように社会に溶け込むBanksy作品。
巨大資本へのアンチテーゼは得意分野ですし、
有名アーティストへのオマージュも多いBanksy。語りだしたらキリがありませんが今回はこの辺で。
横浜での開催はまもなく終幕になりますので気になっている方はお早めにおでかけください。