創作落語「値切り(子ほめ→創作)」

みなさま、アロハ~~!! 岐阜大学落語研究会のながら家あろ晴です。海なし県なんですけどね。
なーんて台本では言わなくていいので読み飛ばしていただいて結構でした。
もともと子ほめを改作していたんですがが、ここを改作、ここを改作、ここも改作、 としていたら、「新作だろ、これ」なんて叱られまして、もはや「テセウスの子ほめ(原型をとどめない子ほめはもはや子ほめなのか)」ですよ。
八五郎「ご隠居、ご隠居!」
ご隠居「落ち着け、土足で上がるな」
八「あの、タダの酒があるって聞いたんですけど」
隠「聞き間違いじゃねえか、うちにあるのは灘の酒だ」
八「灘もタダも関係ないから飲ましてくださいよ」
隠「飲ましてほしいなら気の利いたお世辞でも言って見ろ」
八「うーーん、言えません」
隠「正直だねえ、そりゃ言えねえや。」

隠「手本見せてやるから。少し買い物に付き合ってくれ。金物屋だな。包丁を買わなきゃなんねえ」
「よお、金物屋。いい包丁はあるかい?」
金物屋「おう、ご隠居と八つぁん。この包丁はどうですか?」
隠「いい包丁だな。艶もよくて。これ高級品じゃないの」
金「嬉しいことをおっしゃる。4000円です」
隠「安すぎやしないかい?」
金「いやぁ、2500円で売りましょう」
隠「もう一声!」
金「1980円でどうです!」
隠「ヨ!一九八!買った!」
金「毎度あり!」

隠「へへっ、儲けもんだよ」
八「すげえや、これがお世辞ですか」
隠「おうよ、ほめてやることで値切るんだよ」
八「そうだ!俺は肴買ってくるんで、酒買ってきてください」

「よし、ほめてほめて値切るぞ~。ごめんください。いい肴はあるかい?」
店員「駿河のイカが入ってるよ」
八「おお、安すぎやしないかい?」
店「値段も言ってねえよ」
八「焦げ焦げのゲソ、ボロボロの店、いやあ安いね」
店「褒めてるのか貶してるのかはっきりしてくれ」
八「本当に安いよ。タダでもいいんじゃないか」
店「馬鹿にしてるなら出てってくれ」

八「追い出されちまった。安いって言ったら駄目なのか。あの店でリベンジしよう。ごめんください。いい肴はあるかい?」
貴婦人「オホホ、フカヒレが入ってましてよ」
八「いいねえ。高級品じゃねえの。贅沢だねえ」
婦「うちは良いものだけを取り寄せてましてよ」
八「わかりますよ。贅沢ですもん、その顔も、その体も」
婦「レディに何をおっしゃる! 出て行ってちょうだい」

八「いやあ、夫人はだめだなあ。そうだ。竹の所で買って行こう。あいつには一月も会ってなかったな。おい、竹、いるか?」
竹次「八つぁんじゃねえか。肴でも買いに来たか?」
八「話が早え。お、この赤ん坊はなんだ?」
竹「先月生まれたばかりのうちのせがれだ。難産だったよ」
八「へえ、赤ん坊なのにもう大学生か」
竹「南山大じゃねえ。産まれ難しのほうだ」
八「へえ、(贅沢って言ったら怒られたから逆でいいか)貧相な体だな」
竹「それは言っちゃいけねえ。小さすぎて一月持たねえって言われてたが、耐えてくれた自慢の息子だ。それを馬鹿にすんならお前とも縁を切ってやる」
八「それは申し訳ねえことを言った。そんなつもりはなかったんだ。本当にすまなかった。そうだ、祝いの金も出してなかったな。謝罪も兼ねて出生体重だけだそうじゃねえか。いくらだったんだ?」
竹「確か1980グラムだよ」
八「ヨ!一九八!!」

いいなと思ったら応援しよう!