Term 1の授業
10月に入り街中はすっかりハロウィーン気分です。
学部whatsappでも何をしようか盛り上がってますね。
とりあえず甘党のOgaは安売りに乗じてグミをいくつか買いました笑
さて授業も開始から3週間が経ち、少しずつ生活リズムをつかめてきた気がします。前評判通り予習課題が鬼のように多く、ひいひい言いながら、でも土日は気分転換にちょこちょこ出かけてます!
ということで今週はなんとなくの一週間の流れをまとめてみますね。
[補足1]
大学院らしく、全ての授業が
・Lecture(講義形式:大講堂で全員受講)
・Seminar(演習・ディスカッション形式)
の二部制で構成されます。
午前の講義は9:30-11:00+11:30-13:00、昼休みをはさんで、
午後の講義は14:00-15:30+15:45-17:15、
夕方の任意参加な講義・補講は17:30-18:30、
という流れです。
なお、全てのlectureは録画されているので、休んだときや聞き取れなかったところを自分で何回でも復習できるのはとてもありがたいです。何時頃の概念がわからなかった、とメモするよう心掛けてます。
[補足2]
Public Healthでは、最終的に専攻(specialised stream)を決める(もしくはgeneralとして特定領域に決めない)ことができます。専攻は5つあり、General, Health Economics, Health Promotion, Health Service Management, Health Service Researchとなります。詳しくは下記リンクの学科要項をご覧ください。
専攻別の授業を実際に受講するのはTerm 3ですが、それぞれに選択必修の講義がTerm 1から存在します。(Health Economicsに行きたいなら、当たり前ですが医療経済の講義は最初から選択で履修しないとね。)オリエンテーション動画を見ながら、自分の興味と進路等と、にらめっこしながら決めていきます。
必修授業(赤枠):4科目
Basic Statistics(月曜午前)
統計学の基礎です。Welcome weekにアナウンスされる自己申告式アンケートで、10段階中の自分はどのレベルなのかっていう振り分けでクラスが決まります。もちろん文系畑出身の数学初学者もいるので大丈夫。ゼロから教えてくれる(代わりに応用編までは教えない)ので、能力とやる気に応じてね。
[Ogaの独り言] そうすると、願書にあった「講義で求められる数学力を有しているか」って項目で何行も書かされるのはなんのためじゃ!
ちなみに僕は理系なのに理系科目が苦手で、大学入試でも大学入学後も数学アレルギーです。とはいえ医学部は卒業してるし、統計手法はしっかり学びたいし、どうしようかなと。ビビりながらなんとなくの5(真ん中)にしました。とっても「典型的日本人」な考え方でしたね(苦笑)。が、なんと、エクセルでグラフを書いたことがないって?ただの棒グラフだよ?えっ、君、医学部出て医者を何年もやってたんだよね。プレゼンとか学会発表とかしたことないの?って人が散見されて(もちろん全員ではありませんが)、正直驚愕です。
他の日本人同期と話した感じも、たぶんアジア人は世界的に見れば数学は得意そう。そして学生時代や社会人では、抄読会・学会発表・論文作成などでグラフのひとつやふたつは(と言わず、実際にはたくさん)作った経験があるでしょう。なので海外では自信を持ってください!とりあえず今のところの序盤はみんなに聞かれまくって、もはや英語の授業かと錯覚するくらい、自己肯定感がMAXになる日です笑。
Basic epidemiology(火曜午前)
これも医学部を卒業していれば、計算手法自体は余裕です。
どちらかというと計算した数値の解釈を英語で表現することだったり、データから何を読み取り、limitationは何なのか?隠れた交絡因子は何なのか想像してみて?というdiscussionが奥深いです。
[Ogaの独り言] 週の前半、ここまでは自己肯定感が高め。
Issues in Public Health(火曜午後)
授業名そのままで、抽象的過ぎて正直よくわからない。
Population healthとか、social determinants of healthとか、公衆衛生あるあるな概念について見ていく総論的な授業です。
[Ogaの独り言]
この辺りからテンションが乱高下し始める。トピックによっては、ついていくのに必死なものから、臨床医学寄りで積極的に発言できるものまで。社会科学系は、特に文化圏が違うと、医療体制・法的制限などdiscussionの前提条件をすり合わせるところから始まります。なので全体で見るとminorityなアジア人にとっては、そこが他文化を知る興味深いきっかけになったり、全く理解できず歯がゆい思いをしたりと、トピック別の当たりはずれが激しいです。逆にアジア系の人がいると意気投合することが多くてうれしいですが、もちろん急に違いを見せつけられたりも笑
例えば規制と権利について、銃規制の話題。アメリカ人は「半自動式小銃(→連発式)ならわかるけど、普通の銃(→単発式)は趣味の範疇だし。規制なんて権利の侵害だよ」って、爽やかに笑顔で。僕にとってはそもそも銃の違いがわからないし、(銃賛成派をニュースで聞いたことはあったけど)そんなことを面と向かって言われると、さすがにドン引きでした。数分してようやく我に返り、「日本では、全ての銃は、弾の有無にかかわらず、所持さえ違法だ、、」と説明するのがやっとでした。
(※誤解のないよう:アメリカは州単位での独立性が非常に高く、地域によって根付いている考え方が大きく異なるようです。他のアメリカ人同期に愚痴ったら、「それは私もショックよ、私は完全に銃規制派。全てのアメリカ人がそう思っている訳では絶対にないから安心して」と言ってくれました。)
Principles of Social Research(木曜午後)
社会科学系の研究とは。研究倫理とは。というテーマ毎のlecture。
その後のseminarは、最初のテーマこそかすってはいるものの、広く良い意味で脱線して、ひたすら3-4人の小グループでディスカッション。
[Ogaの独り言]
社会科学系の中で一番展開が読めない。まず予習課題がだいたい3時間くらいかかると謎予告され、その割には(あくまでも周辺知識としての予習課題なので結果論としては)seminarは英語力のみ、アドリブで頑張る感じ。これでいいのか、良くわからない。上記のIPHと同じく、おもしろさ半分、悩み半分です。
まあ選択授業的に、僕にとっては週の最後の講義になるから、これが終わったらビールが待ってる。命からがら受けてます。終わったらPubに行くしかない。
選択授業(青枠):2科目
Introduction to Health Economics(月曜午後)
医療経済学について。医療現場では普段そこまで意識しないものの、プロジェクトとしては避けられないお金の話。これまで学ぶ機会が全くなかったけど、せっかく公衆衛生やるなら一度は触れてみたい、と周囲では一番人気でした。Term 2以降で応用編があり、どちらもHealth Economics専攻には選択必修です。
Environment, Health and Sustainable Development(水曜午前)
水、大気汚染など環境問題を切り口にして、政治・医療経済なども加味しつつ健康問題について考える、という雰囲気だと聞きました。
Health Policy; Process and Power(水曜午後)
名前の通り、政策の話です。政策が形成されるのにどのような過程を経るのか。当事者は誰で、その力関係はどのように作用して、最終的な結論として集約されていくのか。
プログラム責任者が、中堅のノリノリなパパみたいな先生で。冗談を交えつつ、でも的確な具体例を挙げつつと、とてもお話上手で引き込まれます。当初は二番人気でしたが、やはりテーマが政治・政策と抽象的かつ文系ど真ん中だからか、初週で断念して鞍替えする人がたくさんいました。おかげでlectureのときの大講堂が少し空いた。
[Ogaの独り言] 社会科学初心者には予習課題の教科書を解読するところから難しく、正直授業の内容も半分くらいしか理解できていないと思います。が、seminarでは例えば各々が当事者役でロールプレイするなど和気藹々とdiscussionしています。自分の医療現場経験から当事者の動線がかなり見えるということ、でも全部が見えている訳でもないので他の人の視点にハッとさせられる、などなど、個人的には一番楽しんでいる授業です。
Foundations of Health Promotion(木曜午前)
理論系の社会科学が多い中で、一番の実践型なプログラムであることをアピールしていました。行動変容の理論→行動変容モデルを作ってみよう!など、たしかにlectureからseminarへの橋渡しが一番わかりやすいと思います。Health Promotion専攻の選択必修です。
[Ogaの独り言] 進路としてヘルスプロモーションを視野に入れていることもあり、受講しています。前半はまだ理論多めで、言うほどの実践感がまだ感じられないですが、今後に期待。
Health Services(金曜午前)
省庁、製薬会社、保健所など、名前の通り行政機関をクローズアップして見ていく感じだと聞きました。
Health Service Management専攻は、HPPPとHSのどちらかが選択必修です。
[補足3] 選択科目は、welcome week中に履修登録を提出して決定します。希望した科目は必ず受講できます。ただしweek 1を受講してどうしても変更したいという場合は、空きがある科目へならばweek 1の終了まで変更できます。周りと世間話している感じでは、今年はHPPP→HSの変更が多そうでした。
[補足4] 個人チューターの先生から、「今年は何が必修なの?」と聞かれ、とても困惑しました。不思議なことに、どうやら毎年似たような授業構成ではありつつも、必修と選択とが入れ替わるそうです。数年前までは医療経済は必修だったとのこと。そりゃそうだ、僕は人並みに興味はありつつも、残念ながら医療経済に触れることなく公衆衛生大学院を終えそうです。
これも学生側からのフィードバックシステムを基づいているようですので、もう流れに身を任せることとします。
[補足5] ご覧の通り、専攻を決めるとTerm 1から選択必修の縛りが出てきます。Term 2以降もこれ以上に自由度が減ります。Welcome week中のオンライン質疑応答セッションで学部directorへの直接質問したところ、「ヘルスプロモーションに興味があったとしても、最終的にgeneralにして縛りなく好きな講義取るのもいいんじゃない。毎年6割以上がgeneralだし。あと、僕が採用担当者だったら、そんな卒業証書の文言よりも、実際にどんな講義を受講してどのような能力を獲得したのかを履歴書に書いてアピールしてもらった方が評価ポイント高いよ。ただし進路の選択肢として残しておくためにも、Term 1は気になる専攻につながる選択必修は取っておきなさい。」とご回答頂きましたので参考までに。
僕は上記の通り、HPPPとヘルスプロモーションを選択しました!授業の詳細や生存戦略については、またの機会に紹介しますね。
課外講義(任意参加)
Global Health Lecture(月曜夕方)
毎週月曜日にLSHTMの教授陣が、ご自身の携わる研究や専門分野の最新の知見を約1時間の講義にまとめてくれる、という素敵な時間です。
任意参加ながら毎回活発に鋭い質疑応答があったり、その分野の団体の発信するイベントの紹介があったり。卒論のテーマを考えるために興味のあるトピックについて知識を深めることは役立ちそうですし、同テーマに関心のある同期と語らうだけでも、またひとつ縦横のつながりを広げる貴重な機会になります。
実は、当日現地でもオンライン(録画版)でも、一般公開しています。興味のあるテーマは、英語の雰囲気を知る腕試しも兼ねて、ぜひご覧ください!
English for Academic Purposes
英語に不安のある学生向けのオンライン補修講義です。同じ週の火曜日と水曜日で全く同じ内容を提供してくれるので、選択授業に合わせて参加できます。芸術的な美しい英語を目指すのではなく、あくまでもLSHTMらしく理路整然としたシンプルな文章を目指して頑張ろうというコンセプトです。
具体的な内容としては、例えば、冗長にならない工夫、動詞の使い方、パラグラフの作り方、など毎回テーマが決まっています。冒頭20分くらいのサラッとした講義をもとに、練習問題を3-4人の小グループに部屋別で演習します。最後に全体に戻ってみんなで答えを振り返る、という流れです。
個人的には、やはりnon-nativeは肩身狭いなと心のどこかでみな思っていて、この講義にいる人はなんとなく同じ悩みを抱える者として親近感が沸く気がします。学科横断的に少しずつ輪が広がるのも素敵です。
Transferable Skills Sessions(金曜昼)
AIの使い方、文献検索方法、キャリアデザインセミナーなど、Public Healthで生き抜くためにあると便利な知恵を、1時間でまとめてくれます。
金曜午後ということで、出席具合はバラバラです。体力と興味と相談しながら適宜活用すれば良いと思います。録画されているものもありますが、結局諸々に忙殺されるので、僕はその週の間に見ないものは諦めると割り切っています。
ということで、長くなりましたが、新学期の一週間の雰囲気が少し伝われば幸いです。
また授業が進んで内容が深まってきたら進捗を投稿しますね!