大林監督に勇気をもらった話

大学の特別講義に、大林宣彦監督が来てくれた事があった。

10年程前で、まだ肺がんの話が出る前だったと思う。

どういう講義だったのか内容までは覚えていないのだけど、大学生達を前にしても説教じみたり奢るような感じはなく、友に語りかけるようにまっすぐお話される姿が印象的だった。

そのまっすぐな瞳に心打たれて、講義のあとにあわてて感想レポート提出した後監督の元に駆け寄った。

「あの、お話ありがとうございました。私もこういう気持ちを持ってたのでほっとしたしなんだか勇気をもらいました。」というような感想を伝えたと思う。

著名な映画監督が学生へまっすぐに語っている姿を見て、何か自分の感じていた正義のようなものを肯定されたような、信じていいような気がしていた。

すると監督は笑顔を向けて握手をしてくれた。「僕はいつか『夢』っていう映画を作りたいと思っているんだ。」「世界中が平和になる、そんな夢みたいな幼稚な気持ちを映画にするんだ。」

感想を伝えたいち学生にもまっすぐに語ってくれる姿にさらに感動した。

私は講義を聴きながら、〈永遠なるもの〉という歌を思い出していた。

愛が、全ての人達へ・・・。あぁ、全てが人並みに・・・。あぁ、全てが幸せに・・・。あぁ、この幼稚な気持ちが、どうか、永遠でありますように。

私の求める感情が詰まったあの歌のような、それを地でいく、まっすぐ表現しようとしている大人がここにいる。なんて心強い事なんだろうと思った。

そんなまっすぐさに心を打たれたという話。

後に仕事で参加したセミナーでハービー山口さんのお話を聞いた時にも、同じくまっすぐ前を見据える考え方に心を打たれた。これはと心震えて講演後に駆け寄って、その場に集った数名とハービーさんとで写真を撮ってFBで繋がったなんて事もあった。大林監督と同じく気さくで気取らない方だと感じた。

まっすぐと前を見据える、恥じらいなく理想を語れる姿。今も覚えていて、気さくな人生の大先輩方には今も勇気をもらっている。



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