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双極性障害Ⅱ型のわたしが、障害者雇用で就職するまで(日記101)


はじめに

今日は、双極性障害Ⅱ型のわたしが、就労移行支援に通って、障害者雇用で就職するまでのことを、まとめようと思います。
いま、進む道がまっくらで、後戻りもできなくて、どうにもこうにもならないなあと思っている、どこかの誰かに、届いたらいいなあと思って書きます。
あなたにとって、ほんのすこしだけ、役に立ちますように。

双極性障害Ⅱ型とわかるまで

双極性障害Ⅱ型とわかったのは、2019年のこと。
それまでわたしは、病院に通院せず、服薬もしていませんでした。
10代のころから、病のサインはあったのだけれども、それに気が付くこともなく、浮き沈みする波に振り回されて生きてきました。
就職しては退職をする、を繰り返して、転職回数が増えていく日々。
正社員になる勇気もなく、非正規雇用で転々とし、そのうち正社員になれるような立場でもなくなりました。
どうにもこうにも行かなくなって、心療内科にかかり、診断名がつきました。
わたしの場合は、恐らく10代から病気を発症していたんではないか、とのことでした。

就労移行支援に通うことになったきっかけ

「就労移行支援」という言葉を知ったのは、双極性障害Ⅱ型と診断がついて、わりとすぐの頃だったと思います。
もう社会で働けない、ふつうの会社では働けないんだ、と思っていたわたしは、ありとあらゆる情報を調べまくっていました。
生活保護の申請もしたことがあります。
わたしの場合は、ルームシェアをしていることがネックになり、申請は通りませんでした。
「就労継続支援」という、いわゆる「作業所」のことも調べたことがありますし、そこならばなんとか自分でもやっていけるのではないかと思っていました。

でも、主治医に「就労継続支援A型に行きたいのですが」と相談したところ、こんなことを言われました。

はじめさんは、就労継続支援に行ったら、浮いてしまうと思うよ。就労継続支援は、様々な障害の方がいるから、たぶん、疲れてしまうと思う。
それよりも今は、とにかくゆっくり休んで、こころの波を小さくすることをがんばりましょう。
社会復帰の話は、症状が安定してから、もっとあとになってからですね。

わたしだって双極性障害Ⅱ型なのになあ、と当時は思ったし、早く社会復帰しないと、と焦る気持ちがあったのですが、それ以上言い返すこともできず、主治医の指示に従うことにしました。

2019年から4年経ったころ、2023年、今度は主治医から、こんなことを勧められました。

そろそろ、「就労移行支援」に通ってみてもいいかもしれませんね。
生活リズムも整うし、わたしが担当している患者さんで、「就労移行支援」に通って調子がよくなった方がいますよ。検討してみてくださいね。

当時のわたしは、2021年12月から始めた、双極性障害Ⅱ型をオープンにして雇ってもらった障害者雇用のアルバイトを2023年4月に退職して、数か月たったころでした。
はじめて自分の障害をオープンにしてやっと手にした「障害者雇用」だったのに、それすらうまくできなくて、もう何も考えられない状態で、毎日家で眠り続けていた時期でした。
「就労移行支援」の話をされたときは、ぼんやりしていて、そうなんですか、という返事くらいしかしなかったのを覚えています。
でも、そこで教えてもらった「就労移行支援」という言葉が、自分の中に残っていました。

就労移行支援に通う

2023年の9月の終わり、わたしは主治医に言われた言葉を思い出して、最寄りの就労移行支援に見学の申し込みをしました。
「就労移行支援」と検索すると、たくさんの会社が出てきます。
わたしは、とにかく家から一番近いところを選びました。
「通勤訓練のために電車やバスに乗って通ったほうがいい」とか、「社会で通用するスキルを得るために、ITスキルに特化したところがいい」とか、色々あるのはわかっていたんですが、当時のわたしには、気力が全くなく、「とにかく家から一番近いところで、通い続けられるところ」を第一条件にしました。
2,3ヶ所比較して決める方が多いと聞いたのですが、わたしはほかのところに見学も行かず、とにかく家から一番近い、という理由で決めました。

就労移行支援を選ぶときのポイント

わたしのように、「通い続けられるかどうか」を一番の条件にしている場合は、自宅からの通いやすさが大切なポイントになると思いますが、そうじゃない方も、たくさんいると思います。

何より大切なのは、「就労移行支援で自分が何をしたいのか」ということです。

とにかく生活リズムを整えたい。毎日同じ時間に起きて、同じ時間に外で活動する習慣を取り戻したい。

生活リズムは問題ないから、PCスキルをもっと磨きたい。

対人コミュニケーションに不安があるから、コミュニケーションの練習をたくさんしたい。

などなど、ぱっと思いつくだけでも、これだけ目的がちがいます。
気力がないときに、こういうことを考えるのはほんとうにしんどいと思うけれど、どんな単純なことでもいいから、「自分の条件」を決めておくといいと思います。

もしかしたら、自分が望んでいることによっては、「就労移行支援」は必要なく、PCスクールに通ったほうがよい場合だったり、ハローワークの職業訓練を受けたほうがよい場合もあります。
また、ひとくちに「就労移行支援」といっても、提供しているプログラムは千差万別です。
「通い始めてみたら、自分の思っていたプログラムと違った」
というのは、とても残念なことだと思うので、通い始める前に、自分の気持ちをよく確かめてみるといいのかなあと、思います。
就労移行支援のひとは、質問すれば、なんでも答えてくれるはずです。
見学に行くときに、「どんなプログラムをやっているんですか?」とか、「それはどれくらいのレベルの内容ですか?」とか、「通っている人はどんなひとがいますか?」とか、聞いてみるといいのかな、と思います。

就労移行支援の日々

2023年9月のおわりから、2023年10月いっぱいをかけて、就労移行支援の体験プログラムを受けて、2023年11月から、正式に利用を開始しました。

はじめは、週2日の、午前中だけの通所から始めました。
それだけでも、へとへとに疲れて、就労移行支援から帰ると、毎日ぐったりと寝ていたのを覚えています。

その後、毎月、「週3日午前中だけ」「週4日午前中だけ」「週3日午前中・週1日は1日通所」という感じで、だんだんと通所時間を伸ばしていきました。

わたしが通っている就労移行支援は、通っている方が様々な障害をお持ちなので、提供しているプログラムの学習レベルとしては、「簡単~中級」くらいの体感でした。
(たぶん、生活リズムがしっかりしている方で、PCスキルのさらなる向上を目指したい方だと、物足りないと感じるレベルだと思います。)

わたしは生活リズムを整えることが目標だったし、対人コミュニケーションにも不安があったので、まず通所に慣れることが大変でした。グループワークのプログラムは最初は見学にしてもらい、慣れてきたころから参加して、段階を踏んでやっていきました。

就職活動をはじめるタイミング

2023年11月に正式入所してから、半年後くらい。
2024年5月に、はじめての会社見学に行きました。

これは、自分でのぞんで行ったわけではなくて、担当支援員さんから進められて参加したものでした。
「まずは、会社見学がどんなものか、体験してみましょう」
という趣旨で、とりあえず行ってみたのでした。
会社見学するだけなのに、前日から緊張して、当日も緊張して、すごく疲れたのを覚えています。
このあたりから、担当支援員さんが少しずつ、就職活動に向けて求人情報を紹介してくれるようになりました。

職場実習に行く

2024年7月に、はじめての職場実習を受けました。
わたしの場合は、当初、「在宅勤務ができる仕事」を希望していたので、「在宅勤務」の実習をさせてもらいました。
期間は全部で10日間。
実習なので、お給料が出るわけではないのですが、すごく緊張して、実習が終わる頃にはぐったり疲れてしまいました。
ですが、はじめての実習で、久しぶりに就労移行支援以外の方と関わって、学ぶことがたくさんあったし、とても良い刺激になりました。

2回目の職場実習に行く

2024年9月の終わりに、2回目の職場実習に行きました。
ここまでの日々の中で、会社見学にも数社行っていました。
会社見学や、求人の情報は、担当支援員さんが随時教えてくれました。
こちらの通所の様子を見て(休まず通えているか、心身の波は落ち着いているか、自分の障害への理解は深まっているか)、その都度タイミングを見ながら情報をくれるので、とても助かりました。
もちろん、自分で求人情報を検索して、「この会社が気になるんですが」と、担当支援員さんにお伝えしたりもしていました。
そうした相互のやりとりによって、少しずつ自分に合う仕事の方向性が見えてきたように感じます。

9月の終わりから行った職場実習は全8回で、今回は、疲れすぎることなく、落ち着いて取り組むことができました。
職場の環境もよく、通勤も思っていたほど苦ではなく、「ここなら長く働けそうだなあ」と感じました。
その結果、2024年11月から、トライアル雇用で入社することになりました。

トライアル雇用で働く

トライアル雇用は、お給料はもちろん出ますし、雇用保険にも入ります。
原則として3ヶ月のあと、常用雇用に移ります。
精神障害の場合は原則6ヶ月なのですが、わたしの場合は、「3ヶ月トライアル雇用」→「契約社員」→「正社員」という流れになりました。

トライアル雇用とは

「トライアル雇用」とは、働いた経験が少ないことから、期間の定めのない「常用雇用」での就職に不安のある人が原則3カ月間企業で働く制度です。常用雇用への移行を前提として行われ、企業は3カ月間で仕事への適性を見極めて正式に採用するかどうかを判断します。

トライアル雇用とは?試用期間や研修期間との違い 
https://jp.indeed.com/%E6%B1%82%E4%BA%BA%E5%BA%83%E5%91%8A/c/info/what-is-a-work-trial

◆トライアル雇用(一般トライアルコース)の対象者
・紹介日(ハローワークが職業紹介をした日。以下同様)の前日から過去2年以内に2回以上離職や転職を繰り返している人
・紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている人
・妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で安定した職業に就いていない期間が1年を超えている人
・紹介日時点でニートやフリーターなどで45歳未満の人
・紹介日時点で就職の援助を行うにあたり、特別な配慮が必要な人
例)生活保護受給者、母子家庭の母、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、中国残留法人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者

トライアル雇用とは?試用期間や研修期間との違い
https://jp.indeed.com/%E6%B1%82%E4%BA%BA%E5%BA%83%E5%91%8A/c/info/what-is-a-work-trial

さらに、わたしの場合は就労移行支援に通っていたので、「定着支援」というものを使えます。これは、就職したあともちゃんと働き続けられるように、担当支援員さんと会社とわたしを含めて、定期的に面談を実施してくれるというものです。

これから働き続けるにあたって、「定期的に相談できる相手がいる」というのは、とてもありがたいことだなあと思っています。

おわりに

必要な情報を、なるべくぎゅっとまとめてみました。
もう少し短くできればよかったのですが、長くなってしまったので、少しずつ読んでもらえたらいいなあと思います。

わたしにとっては「就労移行支援に通うこと」がプラスになりましたが、みんながみんなそうとは限りません。
「障害者雇用で働くこと」も、同じだと思います。
わたしにとってはプラスだと思うけれども、みんながみんな、そうとは限らない。
いちばん大切なのは、とても当たり前のことになってしまうけれど、「自分に合っているかどうか」、です。
だから、自分に合っている場所がわかるまで時間をかけることが必要なのかなあと思います。

社会には、実は、いろんな道があります。
ひとつしかないと思っていたけれど、意外とそうでもなかった。
いろんな方法があって、相談することを諦めなければ、その道を教えてくれるひとと、きっと出会えるはずです。

しっかり休んで、すこしだけ勇気が出たら。
その勇気を使って、すこしだけ行動してみてほしいです。
そうしたら、自分のなかで、何かがすこしだけ、変わるんじゃないかな。
そのすこしだけ変わった何かが、今まで知らなかった場所へ、自分に合う場所へ、自分を連れて行ってくれるかもしれません。

これを読んでくれたあなたが、すこやかに、こころおだやかに、生きていける時間が増えますように。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。




投げ銭?みたいなことなのかな? お金をこの池になげると、わたしがちょっとおいしい牛乳を飲めます。ありがたーい