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ハイタッチ(日記96)

今日は、とてもとても眠い日だった。
薄曇りで、涼しくて、時折ぱらぱら雨が降って、ずっとずっと、まどろんでいたいような、うとうとしていたいような、そんな陽気だった。


そういうときは、自分に抗わないと決めている。
こんな季節だもの。
今週がんばったもの。
自分をめいいっぱい甘やかしてあげるように、すぅすぅ、ぴーぴーと、寝た。



昨日は、就労移行支援で、ちょっとした集まりがあった。


その集まりのために、8月から、何人かのメンバーで、準備をしてきた。


支援員さんも一緒になって、その集まりに来てくれる人をもてなすために、いろんな企画を考えたり、会場の装飾を考えたりしていた。


わたしは主に、装飾部隊だった。
装飾部隊はわたしともうひとり、利用者のKさんだった。


Kさんは、わたしよりもうんと若い。
お話するのが苦手で、漢字の読み書きも、ちょっとむずかしい。
でも、どんなプログラムでも、一生懸命真面目に受けている。
きっと内容がよくわからないプログラムであっても、休むことなく受講して、一生懸命ノートをとっている。


任された仕事は、最後までこつこつとがんばる。
例えばそれが、たくさんの資料のシュレッダーであったりしても、2時間もくもくと、シュレッダーできる人。
それがKさん。


Kさんは、装飾部隊に配属されたことを、当初はとても驚いていた。
そうだろうと思う。
今までKさんが任されてきた仕事とは、あまりに違うから。
でも、わたしと2人のペアで仕事をするから、わたしは、Kさんに、ちょっとでも安心してもらえたらいいな、と思っていた。
Kさんの良さが存分に発揮されるように、一緒に協力できたらいいなと思って、8月からずっと、やってきた。


Kさんとわたしは、協力してがんばった。
支援員さんからの要望や、企画を考える方々からの要望で、いろんなものを作った。


主にわたしは、全体の日程を把握して、作るものをリストアップして、Kさんにお願いできる工程を切り出して、Kさんが手持ち無沙汰にならないように、作業を準備していった。
パソコンでつくるものは、わたし。
工作系は、Kさん。
そんな感じで、分担して、がんばった。


なによりKさんの力を発揮してもらえたのが、「絵を描くこと」だった。
実はKさん、絵を描くことがほんとうに上手で、それを前々から知っていた。
だからわたしも支援員さんも、Kさんの絵を、会場の装飾に活かしたい!と、思っていた。


Kさんは、わたしたちのオーダーをもとに、こころよく絵を描いてくださった。
もくもくと、絵を完成させていくKさん。
それをパソコンに取り込んで、印刷物として、完成させたときは、うれしかった。


そんなこんなで、昨日、8月から準備していた集まりが開催された。


来場してくださった方々も、楽しんでくださっている様子が見えて、ほっとした。
でもなによりもうれしかったのは、会場中Kさんの絵がたくさんあったことだ。


これ、全部Kさんが描いたんですよ!って、言ってまわりたいなー、って、本気で思ってた。
だって、ほんとうにすごいことだから。



そうしたら、支援員の方が、集まりの最後に、この絵はKさんが描いてくださったんですよ、と、みんなに紹介してくださった。
自然と湧き起こる拍手。
あんまり笑わないKさんが、とってもうれしそうに、ニコニコと笑った。


わたしは、その笑顔をみて、ああ、2ヶ月がんばってきてよかったなあと、心底思った。
Kさんと一緒に作業ができて、ほんとうにたのしかった。ほんとうに、ほんとうによかった。


わたしはKさんの背中を、ちょんちょんと、指でつついた。
「?」という顔をして、振り向くKさん。
両手をかかげて、ハイタッチを求めると、パチン!と景気良く、やってくれた。
そして、ニコニコと、笑ってくれた。


Kさん、ほんとうに、ありがとう。
Kさんと一緒に作業ができて、わたしはとても、うれしかったです。
みんなに見てもらえて、ほんとうにうれしかった。
わたしが自慢したいくらいでした。
2ヶ月がんばったことが実をむすんだのは、Kさんのおかげです。
ほんとうに、ほんとうに、ありがとう。


この経験は、わたしのたからものになるな、と思った。
もしできたら、Kさんにとっても、この経験が自信に繋がっているといいな、と、思う。


明日からの実習も、Kさんのように、こつこつ、愚直に、がんばろう。

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はじめ
投げ銭?みたいなことなのかな? お金をこの池になげると、わたしがちょっとおいしい牛乳を飲めます。ありがたーい