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“第3の存在”による「マネージャー・モード」が、イノベーターの足枷になる?【Off Topic Ep243】
宮武徹郎と草野美木が、アメリカを中心とした最新テクノロジーやスタートアップビジネスの情報を、広く掘り下げながら紹介するポッドキャスト「Off Topic」。このnoteでは、番組のエピソードからトピックをピックアップして再構成したものをお届けする。
今回は「#243 「管理者(マネージャー)社会」の台頭と創業者モード」から「管理者社会」の弊害について。カール・マルクスを痛烈に批判した哲学者 ジェームズ・バーナム。彼が言及する「管理者(マネージャー)」とはどのような存在か。前回ご紹介したニーチェの「奴隷道徳」と「君主道徳」と重ね合わせながら、現代につながるイノベーションへのヒントを考えていく。
第3の存在「管理者(マネージャー)」
アメリカの哲学者であるジェームズ・バーナムは共産主義を支持する過激派の左派であったが、1940年ごろから政治的なスタンスが大きく変わったことでも知られる。バーナムは著書『The Managerial Revolution: What is Happening in the World』のなかで、カール・マルクスを痛烈に批判している。バーナムは同書のなかで、カール・マルクスが唱えた「ブルジョアジー(資本家階級)と「プロレタリアート(労働者階級))」という2層構造の枠組みを超え、第3の階層「管理者(マネージャー)」の台頭を指摘した。ブルジョアジーを追いやったのはプロレタリアートなどではなく、実際には第3の存在である「管理者」であったと、バーナムは唱える。そして、ファシズム、共産主義、民主主義の3つの政治システムが対立していた第2次世界大戦の真っ最中、バーナムは結果的にはいずれも同じ方向へと向かうとも主張していた。それが「管理社会(The Managerial Revolution)」。「管理者」が企業や政府における日常運営を担い、実質的な支配権を握る存在となる社会である。
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