マクドナルドよ、“店舗体験”を取り戻せ!? カルチャーづくりへの次なるステップ【Off Topic Ep227】
宮武徹郎と草野美木が、アメリカを中心とした最新テクノロジーやスタートアップビジネスの情報を、広く掘り下げながら紹介するポッドキャスト「Off Topic」。このnoteでは、番組のエピソードからトピックをピックアップして再構成したものをお届けする。
今回は「#227 ファストフードのモノカルチャー化」から、マクドナルドをはじめとしたファストフードチェーンの課題、これから重要性を増す「店舗づくり」について。あの日、あの店舗で食べたマクドナルド──。記憶と体験を呼び覚ますマクドナルドを、同社はいかにして取り戻すことができるのか?
ファストフードが成長を続ける理由
ファストフード産業全体と同じく、事業成長を続けるマクドナルド。宮武は、まずその背景から考察していく。アメリカは現在、記録的な負債レベルを迎えている。それをわかりやすく表すのが消費者のクレジットカードの負債額だ。その額は全体で1.1兆ドルとまでいわれている。アメリカ政府の調査によれば、Z世代の約15%、ミレニアル世代の約12%、X世代の約9.6%、ベビーブーマー世代の約5%が、クレジットカードの限度額を超えているのだそうだ。これは後払い決済を含めない結果であるので、実際にはさらに多く、また支払延滞額も特に若い世代で増加傾向にある。
2020年の3月から2021年の9月までの18ヶ月間、アメリカ人の貯蓄額は大幅に増加した。2021年8月時点で、その額は2.1兆ドル、1人当たり平均約8000ドルである。パンデミックによる政府の支援や、株式市場の活況からくるキャッシュアウトなどが要因に挙げられ、それにともなって消費者の消費額も増加していった。
しかし、過去2年間でアメリカ全体の経済市場が悪化し、インフレが加速。2.1兆ドルにものぼったアメリカ人全体の貯蓄額は、一転してマイナスに転じている。こうした背景から、より低価格なファストフード店に足が向かう傾向が強まっているのではないか、と宮武はいう。そうした消費者行動に呼応してか、マクドナルドは5ドルのバリューセット($5Meal Deal)、ウェンディーズは3ドルの朝食コンボ($3 Breakfast Deal)を展開し、話題となっている。
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