ニッチからカルトブランドは生まれる、次世代ブランドの作り方
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はじめに
なぜ人は、Apple Storeに並ぶのか?なぜユーザーはGmailよりSuperhumanを選び、Liquid DeathやAtomsのタトゥーを入れるのか?これはカルト的なファンを味方につけれたからである。
現代のブランドは「人を繋げる義務」がある。繋げるのは、同じビジョンや思い、興味など。そしてさらにブランドはその考えやサイコロジーと文化も繋げなければいけない。
なぜこのタイミングでこのプロダクトを出し、なぜこのコンテンツを出し、なぜこのメッセージを伝えているのか?ユーザーから問われる世の中になってきました。そんな中、より参加型の経済になった今はユーザーが積極的にブランドとコミュニケーションをとったり、ブランドに対しての愛情を表現し始めている。
ブランド側もこの熱いコミュニティを作る必要性を理解している。GlossierのEmily WeissさんもGlossierを作った一部の理由は他社のコスメブランドのTシャツを誰も着たがらないから。逆にそれだけコミットしてくれるユーザーを作れると、大きなビジネスチャンスがあると思った。
人はプロダクトではなく、ソリューションを購入する。何かのニーズや問題を解決する物を購入する。ブランドとは、まず何故自社のソリューションが特別で、何故買うべきかを見せ、最終形態としてはブランドのライフスタイルを売り込むことが出来ると名ブランドとして覚えられる。ライフスタイルを売っている代表企業はApple、ナイキ、パタゴニア。
ナイキのまだ初期広告キャンペーンを見ても、ランニングシューズのプロモーションで「これはトレーニング用の靴では無い。これはレースの日のために作られた」と書いてある。
この言葉遣い、ビジュアルでナイキはどう言う人(プロのアスリート)がナイキの靴を履くべきなのかを表している。そこからはじめ、今では「誰でもアスリート」と言う名目で、より市場規模を拡大したライフスタイルを売っている。
パタゴニアは環境問題に対して大きく声を出すブランドとして有名になり、それがブランドの根本部分として成り立っている。例えばこちらのBlack Fridayの広告では、自社の商品を買わないように命じて、逆にリサイクルや再利用することをプロモーションしている。
こちらの広告では一切パタゴニアの商品を見せず、ただ環境を守るためのアクションを推奨している。
そして、パタゴニアはプロダクト内のタグにまでこの環境に対してのメッセージを組み込んでいる。
パタゴニアは良質なプロダクト、自社の思いやビジョンのコミュニケーション、そしてそれを組み合わせてアクションをとっているからこそいろんな世代から好かれているブランドになっている。そして、ブランドを立ち上げるのが簡単になった今では、カルトブランド・好かれるブランドとして認識されるのが非常に重要になってきた。
Snap調査によると、Z世代は各カテゴリー(例:ラグジュアリーアパレル)に対してより明確に好きなブランドがあると分かった。一つのカテゴリーで1つ〜3つのブランドしか選ばなければ、新しいブランドが出てきても今後ユーザー獲得に苦しむことになる。
直近でブランド(C向けでもB向けでも変わらない)を立ち上げたのであれば、この「カルトブランド」コンセプトを必ず考えたほうがいいだろう。これは「100 Fans」モデル、「Do things that don’t scale」、そしてニッチから始めるスタートアップ理論と似ている。今回はカルトブランドの特徴、作り方、そして何故今後カルトブランドが成功するのかを解説します。
上記のカルトブランドを見ると、最近ではB向けブランドもカルト化しているのが分かる。これはやはり過去に説明した文化からC向けからB向けの流れでもあるが、今後は機能性だけでB向けブランドは勝てなくなるのと、結局ユーザーとの関係性構築が出来るかが勝負になるので、結局カルトブランドの重要性はC向けでもB向けでも重要となる。
それでは、カルトブランドを作りの流れを説明します。
サブカル → メインストリーム → ライフスタイル
多くのブランドを調べたところ、なんとなくな成長の道のりが見えてくる。実際に聞くとそこまでビックリはしないし、色んな形で皆さんも聞いたことあるかもしれないが、ブランドが大きくなるためにはサブカルからスタートし、そこからメインストリーム(一般化)して、最後にはライフスタイルになるのが重要。
※サブカルは、ニッチカテゴリー・初期セグメント的な意味で説明しています。日本語でのサブカルと少し異なりますが、参考記事のニュアンスを残すため、ここではこのままサブカルと表現します。
この図を見た通り、今では大手であるApple、パタゴニア、ナイキ、Ralph Laurenでもスタートはかなりニッチだった。彼らのすごいところは、そのサブカルを圧倒した後、メインストリームへの戦略をちゃんと考え、そして最後にはそれ以上のライフスタイルとしてポジショニングをしたこと。幾つかの事例をより詳細に説明させていただきます。パタゴニア、ナイキ、Ralph Lauren、Appleなどの有名企業は皆さんもストーリーを理解されていると思うので、一旦飛ばして、Allbirdsからの事例を紹介します。
Allbirds
スニーカー市場自体はかなりのレッドオーシャンだが、Allbirdsはその中でも「世界一快適なシューズ」のニッチなポジショニングを取ることで人気になった。さらに初期ではテック業界で評判が高くなり、商品のバリエーションを増やし、2020年には日本展開など海外へ広げて拡大してきた。
2019年1月に資金調達したAllbirdsの時価総額は$1.4B。高すぎないかと言う方もいるし、Allbirdsが靴だけを売っていると考えるとそう思うのは仕方がない。Allbirdsは今では環境問題を戦うブランドと知られていて、初期から多少そう言うメッセージを出しているものの、最初はかなりサステナビリティに関してのブランディングを気をつけていたのが事実。初期はそこまでサステナブルな商品ではなかったので、どちらかと言うと機能的ベネフィット(快適さ)や感情的ベネフィット(快適なのでどこでも行ける気分)を推していた。ただ、直近のAllbirdsの動きを見ると、それ以上のブランドになろうとしていることが分かる。
まずは新しいカテゴリーの下着市場へ参入したこと。Allbirdsは2020年6月に自社の下着を開発。もちろん今までの靴と同じように、サステナビリティが基盤となった商品。
引用:Insider
そして次にAllbirdsは人気ストリート系ブランドのChinatown Marketとコラボ商品を作った。コラボの目的はサステナブルなデザインやクリエイティブを作りたかったと発表している。
さらにAllbirdsは自社商品に対して使うカーボンフットプリントを記載している。これも上記と同じように環境問題について考えている(もちろんカーボンフットプリントが良い評価基準とは言いにくいが、これだけサステナビリティに関して気にしているフットウェアブランドはいない)。
引用:Allbirdsサイト
もちろんこれ以外にアマゾンがAllbirdsコピーを出した際のメッセージやNew York Timesに出したアメリカで絶滅危惧種の鳥についての広告など思い出深いが、個人的にAllbirdsの今後のビジネスとブランド戦略を最も表すのは2020年5月にAllbirdsとAdidasが組んで環境に優しい靴を作ると発表したとき。
私や2PMのWeb Smithさんが考えるには、Allbirdsの動きはスニーカーブランドからテキスタイル・テクノロジーブランドへ進化させようとしていると思っている。私が思うには、Allbirdsはサステナブルな素材メーカーとして今後ポジショニングをしていくと思う。それをすることによって、Allbirdsは自社のブランドを保ちながら、何十倍と自社の市場規模を拡大することが出来る。
一例を話すと、Gore-Tex(ゴアテックス)という生地。皆さんもアウトドア用のジャケットを購入する際に見かけたことがあるかもしれないが、Gore-Texは軽く、水防止出来る有能な生地である。
実際にGore-Texはパタゴニアやナイキなど世界中のブランドが利用していて、Gore-Texを作る会社のGoreは去年$3.7Bの売上を達成。
アパレル業界の中ではサステナビリティトレンドが走っている中、AllbirdsがAdidasと組んだのは、自社が持っている特許を生かしたサステナブルな素材を作り、それをマスに売り込める実績作りだと思う。そして成功すれば今後Allbirdsは素材や生地の自社開発に取り組み、最強のサステナブルコラボブランドとして生まれ変わる。既存の大手ブランドのディストリビューションを使ってユーザーにAllbirdsのブランドビジョンを認知させながら、スニーカー市場以外のところへ拡大出来る。結果としてAllbirdsはこの戦略をとることで「世界一快適なシューズ」の立ち位置からサステナブルカンパニー、いわゆる第2パタゴニアとしてポジショニングを取りたいはず。
Glossier
Glosseriの大きなコンセプトは会社ではなく、ユーザーありきのブランドであることはみなさんもご存知だろう。プロモーション面でも同じで、CEOのEmilyさんはコスメ領域は特にブランドより個人の力の方が圧倒的に強いと理解している。コスメは友達間でどの商品を使うか話し合う。そうするとGlossierとしてはユーザーをどうインフルエンサーに変えるか理解するのが重要であり、Glossierの声としてのプライドやブランドの代表者として感じてもらうのが重要だった。
だからこそGlossierはユーザーの投稿を自社のソーシャルアカウントで共有したり、Glossierアンバサダープログラムでアンバサダー専用のLPページなどを作成した。直近のハンドクリームのPR動画ではユーザーがメインで出演していた。
このユーザーを最も前に置くこと、そしてユーザーがインフルエンサーであることから、Glossierは創業時ぐらいからソーシャルコマース領域に入りたがっていた。今後もGlossierはユーザー = インフルエンサーという軸で次の展開を行い、その軸を使ってライフスタイル化すると思われる。
Glossierはこの自己表現という観点でのライフスタイルブランドを目指している。だからこそ、Glossierでプロダクトを最近購入すると、選挙の投票することを推薦するステッカーなども提供するのは、ただブランドをよく見せる戦略ではなく、実際にブランディングにあったメッセージング。
Calm
Calmのスタートは瞑想とメンタルヘルス領域、そして後にASMR的なコンテンツ。Calmが一般化したのはセレブとコラボしたコンテンツをリリースしたから。有名なのはマシュー・マコノヒーのコンテンツ。
他にもハリー・スタイルズやレブロン・ジェームズなどともコラボしている。さらに、Calmは面倒で満足度が低い空港や飛行機の中への展開を行っている。空港内ではXpresSpaというマッサージ店舗と取り組みを行っている。
引用:CNET
CalmはUnited AirlinesやAmerican Airlinesなどと提携して、フライト内のコンテンツも提供している。
引用:Apex
Calmは将来的にヘルスケアやウェルネス領域に入り込んでいくだろう。彼らは何より強いコンテンツを持っているので、それをきっかけに新しいサービス・コンテンツを試してもらえる立場にある。
David Dobrik
人気YouTuberのDavid Dobrikさんは次世代シットコムを作っている(詳細を知りたい方は過去のOff Topic記事をご覧ください)。彼はVineやYouTubeからはじめ、今ではそのコンテンツではなく、自社のブランドを作れたおかげでグッズ販売でマネタイズできている(聞く話だとグッズ販売だけで億単位でもらっている)。
そして直近では新しいテレビ番組の司会の仕事が決まった。
引用:Dexerto
TikTokではDavidさんっぽく宣伝しているw。
さらにDavidさんは過去にリリースしたカメラ編集アプリ「Disposable」をSNS化すると言われている。
引用:Product Hunt
将来的にDavidさんがどういうライフスタイルを売りに行くかが気になるが、個人的には「友達」のコンセプトが強いと思う。
100 Thieves
2017年に100 Thievesを設立したMatt Haagさん(通称:Nadeshot)は人気ゲーム「Call of Duty」をプレーしていて、人気YouTuberになっていた。彼は100 Thievesを通して当時はサブカルとして見られていたeスポーツをブランド化した。
Nadeshotはまさに良いプロダクト(eスポーツ選手)をエンタメ化、カルチャー化、そしてコンテンツ化に成功させて成長できた。100 Thievesの動画コンテンツとアパレルはめちゃくちゃ人気で、eスポーツ界のSupreme的立場を取れている。
引用:Variety
100 Thievesは後ほど説明するカルトブランドの作り方を相当研究している。ファンとのエンゲージ、コミットグラフの理解、公共の場での会社の成長を共有、そしてドロップ文化によるアクセス権のコントロールを行っている。
毎回リリースする新しいアパレルは数時間以内に売り切れになる。
あるファンはインターンとして採用されたく、こんな動画まで作った。
ちなみに上記動画はインターン希望だったIvanさんがYouTuberのYes Theoryと組んで作ったもの(その裏を知りたい方はこちらの動画をご覧ください)。
100 Thievesは現代ブランドとしては完璧なコンテンツ、マネタイズ方法、そしてカルト的立場を持っているブランド。今後どういう風に一般化するのかが気になる。恐らく今後はSupremeではなく、ナイキ的な立場かロサンゼルス・レイカーズみたいなブランドになってもおかしくない。レイカーズ的なポジショニングだとよりスポーツチームぽく、ナイキだと「誰もがゲーマー」みたいなスローガンを作る。特に今ではゲーム領域がどんどん一般化しているため、市場と一緒に成長できそうなブランド。
Madhappy
Madhappy創業者のPeiman Rafさんはメンタルヘルスの会話を作るブランドになりたいと発言している。彼らの「前向きライフスタイル」は非常にZ世代から慕われている。
引用:Supermaker
彼らはアパレルだけではなく、The Local Optimistというブログや明るめのプレイリストを通してメンタルヘルスの情報提供などを行っている。
最近はThe Local Optimistでホットライン、いわゆるいつでもSMS上でメンタルヘルスの質問やサポートを受けられる「The Local Optimist Hotline」を作った。
Madhappyが開催するパーティーのデザイン性を見ると、このメンタルヘルスへのメッセージを重要視しているのが分かる。
Madhappyの名前の由来は「Mad」と「happy」と上がったり下がったりする感情を表している。いつも完璧な状態にはいれず、上がり下がりがあるということを認識するのが大事とPeimanさんが語る。
良いブランドを作るにはブランドを表す対義語を組み合わせることと言われているが、Madhappyは名前でそれが出来ている。Madhappyはまだ一般化フェーズに届いてないが、最近だとセレブがMadhappyを愛用し始めている。
まだMadhappyはアーリーステージの会社なので、どういう風に成長して、どういうライフスタイルブランドになるかは分からないが、今後も彼らのブランドが出す「前向き」な感情を軸とするのは間違いない。
ステップ⓪:サブカル選び
上記事例を見ると、最初にサブカルを選ぶのが重要なのが分かる。まず、大手ブランドと新ブランドが初期に選んだサブカルを見てみよう。
大手ブランドの初期サブカル
- Patagonia:登山用品
- Supreme:ストリートウェア
- Glossier:コスメ
- Superhuman:メール
- Robinhood:銀行
- Apple:コンピューター
- Lululemon:ヨガ・アスレジャー
- Ralph Lauren:プレッピー
新ブランドのサブカル
- Notion:メモ、タスク管理
- Liquid Death:水
- Atoms:スニーカー
- 100 Thieves:ゲーム、eスポーツ
- Figma:デザイン
- Madhappy:メンタルヘルス
- Topicals:アトピー
- StepChickens:コメディアン
- David Dobrik:YouTube、シットコム
- Miquela:インフルエンサー
- Peloton:フィットネス、ジム
- Billie Eilish:ASMR、ゴス
- MSCHF:いたずら
- Starface:ニキビ
- Dolls Kill:パンクロック、ゴス
上記以外の事例があれば、是非コメントやDMで教えてください!
大手ブランドと新ブランドのサブカルの選び方の違いはあるのか?
なんとなくだが、大手ブランドはどちらかというとプロダクトや全体の市場を軸にする傾向にあるかと思う。パタゴニアは登山用品、ナイキはランニングシューズ、Appleはコンピューターを選んだ。当時は一つの商品を選ぶだけでも大きなイノベーションを起こすことができ、競合もそこまでいなかったため、シェアを取りにいけた。
ただ、今ではプロダクトでサブカルを選ぶスタートアップもいるが、大体成功しているカルトブランドは場所、社会問題、感情などにアピールするブランドが増えている傾向。
「場所」から考えるBlue Room Theory
場所に関しては2PM Web Smithさんの「Blue Room Theory」を活用すると、今後のD2Cブランドは家の特定の部屋を支配することを目的とするべき説。この最も良い事例はAwayのブランド戦略。AwayはスーツケースD2Cとして有名だが、創業者のSteph KoreyさんとJen Rubioさんはレッドオーシャンなスーツケース市場ではなく、まだブルーオーシャンな「トラベル」領域で戦うために、まず空港を支配しようとしている。
このようにどのサブカルを選ぶ時に気にするべきポイントは、どれだけ入り込もうとしている場所・部屋がレッドオーシャン化しているのか。事例をあげると、過去2年ぐらいで20社以上のキッチンウェアブランドが立ち上がっているので、キッチン内の戦争はかなりレッドオーシャン化されている。
引用:2PM
この場所・部屋のコンセプトはミレニアル世代が今ようやく家を購入し始めている流れがあるから。ミレニアル世代はそもそもD2Cブランドを買い慣れているので、今後家を買って各部屋を飾る際にD2Cブランドを買うため、この機会を逃すのは勿体ない。だからこそ最近ペット領域のスタートアップが増えている。家を買って、家族を持ち始めているミレニアル世代はペットを飼い始めている。上記Blue Room Theoryはアメリカのミレニアル世代に当てはまるが、これを各国で似たような考え方で見ると、どの場所を選ぶかが見えてくる。
社会問題から選ぶブランド
最近だと多くのブランドは社会問題を軸としてカルトブランドを作っている。もちろん代表的なのはパタゴニア、そして以前説明したAllbirdsなど。アパレル業界だと特に環境問題に対してブランド作りするのはより簡単。何故なら環境問題を直接プロダクトと結び付けられるから。
Everlaneも最近問題になっているが、今まで社会問題になっていたファッション業界のサプライチェーンを可視化するブランドとして多くのユーザーをファンいコンバージョン出来た。
直近の新しいブランドのMadhappy、Haus、そして以前Off Topicでも解説したシリアルブランドのOff Limitsはこの社会問題を軸にしているブランド。Madhappyは若者層のなか、特にYouTuberなどより若い年齢で起業するZ世代とバーンアウトし始めているミレニアル世代が問題意識しているメンタルヘルスを軸にブランドを作っている。アルコールブランドのHausは、創業者のHelenaさんのMedium記事の通り、仕事場でのアルコールの飲み過ぎ文化を変えたいと思い作った会社。そしてOff Limitsは女性キャラが少ないシリアルブランドとローカルのアーティストをサポートするブランド。
上記3社は環境問題を軸としたパタゴニアやAllbirdsと同じく、社会問題をプロダクトにちゃんと入れ込んでいる。Madhappyの場合はブランド名、プロダクトの色合い、そして記載するメッセージなどで表している。Hausはそもそもプロダクトが他社の類似プロダクトと比較して低アルコール。そしてOff Limitsは自作の2名のキャラクターが女性である。今後ももっと社会問題に対して生まれるブランドがどんどん出てくると思う。
こう言うブランドの1番の問題点は、本当に社会問題を解決したくブランドを立ち上げたのか、それとも単純にビジネス判断、いわゆるプロモーションのために社会問題を選んだのかが場合によって明確ではない。個人的には特に環境問題を軸とするブランドはかなり疑問に見ている。ここで重要なのが創業者の思いやストーリー。私はパタゴニアのYvon Chouinardさんの話を知っているのと、パタゴニアの行動を見てこの会社は本当に環境問題を気にしていることを認識し、それによってパタゴニアと言うブランドが本当に好きになった。Hausも創業メンバーのHelenaさんとWoodyさんと会って話したからこそ分かる。同時に、過去に会ったアメリカのブランドで環境問題について語られて、全然その思いが腹落ちしなかったケースもあります。
社会問題はみんなが応援しやすい切り口でありながら、本気でそれに対して思いがないと、長期的にはユーザーは嘘を見破るはず。
スタートアップが最近Bコーポレーション化しているのは、まさにこの社会問題に対してのポジショニングが会社として必要条件になり始めているから。Bコーポレーションとは米国ペンシルバニア州に本拠を置く非営利団体のB Labが運営している認証制度で、環境、社会に配慮した事業活動を行っており、アカウンタビリティや透明性などB Labの掲げる基準を満たした企業に対して与えられる民間認証。
今はこのBコーポレーションになるのは流行っているが、将来的には生き残るためにはBコーポレーションのような社会的問題に対して解決をすることが会社の必須条件になると思う。今後は会社は経済的価値だけではなく、環境的価値と社会的価値が同等レベルで評価され、パタゴニアみたいにその価値観でマネタイズすることとなる。
感情(特にポジティブさ)を切り口にしたブランド
最近気になっているブランドの中で、一つ共通点があったのはネガティブに見られがちなものをポジティブに表すこと。実際に選んでいるサブカル自体は特殊ではないが、今まで見たことがないポジティブさでブランド作りをしているのが面白いと思った。
その代表例はStarfaceと言うニキビケアのD2Cブランド。2019年9月にローンチして、2020年2月に$2Mほど資金調達したStarfaceは「acne positivity」のムーブメントを作っていると創業者のJulie Schottさんが発言している。
引用:Starfaceサイト
今までのニキビケアのプロダクトはネガティブにニキビを見せるようにしていた。大手ブランドのClearasilの最近のInstagram投稿を見ると、ニキビは悪いので家を出ないほうが良いまで伝えている。50年以上この完璧な顔を広告などで見せつけていて、人の恥じらいを軸に商品を購入させていている。
Starfaceはニキビと言うネガティブと思われる発想をポジティブに変えようとしている。そもそもサイトのイメージや商品のパッケージの色合いを見ると、明るいカラーを選んでいる。
引用:Starfaceサイト
Starfaceはこのポジティブさを出すために自社キャラクターのBig Yellowを活用している。
引用:Starfaceサイト
Big Yellowはニキビのケアをするために宇宙から来たキャラクター。これは一見ただ変なブランドとして見られるかもしれないが、実は重要なポイントがある。StarfaceのJulieさんが言うには、多くの10代の子供たちは自分たちが変人、いわゆる宇宙からきたはずれものと認識してしまうので、Starfaceはそう言う面でも親近感を作っている。
Starfaceのサイトを見ると、Starfaceに関してのコミックまで存在する。そして実際にこれが上手く行っているかを見るためにStarfaceのSNSアカウントを見ると、Instagramでは10.8万人のフォロワー、TikTokでは46万人のフォロワー、そしてユーザーが作ったコンテンツが多い。
Starface以外にこう言う感情を基盤としたブランディングを行っているのはYes Theory、David DobrikさんやMSCHF。Davidさんは「友達」と言う切り口、そしてMSCHFは「いたずら」と言う非常に感情的な言葉をプロダクトと結び付けている。
以上、カルトブランドの前提条件であるサブカル選びのパートでした。これからはカルトブランドの作り方や、現代ブランドの必要要素を解説します。
カルトブランドの作り方
それではサブカルを選んだ後に、どう言う風にカルトブランドを作るのか?直近のテック業界やリテール業界でのカルトブランドを見ると、以下の要素が含まれている。しかもこの要素は自然と出来たものではなく、多くは各ブランドが計画して作ってきた。なお、過去の記事でも記載したように、このカルトブランドの流れは文化 → SNS → C向け → B向けと流れる。今までのApple、パタゴニア、Harley Davidson、Lululemon、Teslaのような会社があったからこそ今ではSuperhuman、Robinhood、Fast、Lambda School、Figma、Glossierなどが立ち上がっている。
ちなみに、大前提としては良いプロダクトを作っていること。そしてプロダクトだけではなく、全体のユーザー体験がしっかりしていること。良いブランドを作るには、まずプロダクト・会社を好むユーザーが必要であることを忘れないように!
ステップ①:敵を作ること
大体のカルトブランドの中心にあるのは敵。この「敵」の存在を使ってカルトブランドは違いや優位性を語れる。
・Superhumanがローンチした時に既存のメールソフトウェアがどれだけ遅いかを批判した。Superhumanは自社を「最も早いメール体験」と宣言している。
・Lemonadeは既存の保険会社の面倒なプロセスやインセンティブ問題などを批判。Lemonadeは「今までの保険に関することを全て忘れよう」と発言している。
・Fastはパスワードとチェックアウトの手間を批判し、それに関するソリューションを提供。正式ローンチ前から既にファンを集め始めた。
・最近だとEpic GamesがAppleに対して出した動画も、Appleが業界を支配しようとしているように見せた。
良い敵を見つけるには、知名度と慕われていないバランスを考えなければいけない。そして最適な敵はより漠然としていて、自分たちのファンが勝手に敵を可視化して作りあげられるのが大事。これは過去のAppleがMac vs PCのキャンペーンを始めた「Think Different」から、今ではNotion vs Roamと、アメリカではよく二択で分けたがる(政治がそうなっているのが強く影響しているかもしれない)。
聞くべき質問:
・敵を可視化できるか?
・敵は認知度が高く、会社・個人として嫌われやすいか?
・自社のブランドは他社と比較して劇的に違うか?
ステップ②:アクセス権のコントロール
ここ最近だと「アクセス」と言う言葉がどんどん重要になっている。VC業界だと「特定の案件にアクセス出来るのか」、テック業界だと「Clubhouseにアクセス出来ているのか」、NYだと招待ベースでしか入れない特定のホテルやレストランにアクセス出来ているのか、そしてブランドやインフルエンサーだとどれぐらいコミュニティーに入り込めているのかが重要になっている。今では情報、ネットワーク、商品・サービスへのアクセスがステータスシンボルとなっている。MSCHFやSupremeが行うドロップ商品もまさにこのアクセス権に関わる。限られた商品しかないからこそ、みんなが購入したくなる。
カルトブランドにユーザーが入るときの最初のモチベーションは自分のイメージやアイデンティティーがブランドとマッチしていて、その自己表現をしたいから。そしてそれが増えていくことによって、限られたアクセス権に対してFOMO(Fear Of Missing Out、取り残されることへの恐れ)が生まれる。
このアクセス権をどうブランドが作るかと言うと、幾つかGround Up VenturesのJordan Odinskyさんが解説している。
Testflight文化
元々Testflightは開発者が自社のアプリを検証やバグを見つけるためのツールだった。ただ、テック業界(特にVC業界)では、ここ数年でかなり変わってきていて、Testflight(ベータ版)を起業家がVCに送ってアプリストアでリリースされる前に見てもらって、投資検討の材料として投資をしてもらうようになった。
それが今ではさらに進化して、スタートアップ側とするとTestflightはアクセス権・FOMOを売りにしたマーケティングツールになり、VCとしてはそのアクセス権を持っているプロモーションツールとなっている。Product Hunt創業者のRyan HooverさんはTwitter上で自分がアクセス出来ているTestflightアプリを公開して、その影響で他のVCも同じことをやり始めた。
そして冗談半分ではあるが、Pear VCのアソシエイトのHarris Stolzenbergさんは「VCアソシエイトであればアプリストアからのアプリよりTestflightアプリの数が多くなければいけない」とツイートしていた。
直近ではTestflightのアプリストアを作っている会社も複数出ていて、その一つがAirport(もちろんTestflightアプリです)。
私も入っていますが、日々更新されていて、幅広いカテゴリーのアプリが存在する。8月24日時点ではTestflightアプリが300個、1.2万人のウェイトリスト、そしてアプリのビュー数が30万回。さらにAirportアプリのSlackコミュニティーもあって、今では1,000人以上(開発者は300人)が集まっている。
Testflightを使ったカルトブランドを代表するのはClubhouse。未だに5,000人も入っていない、誰もが入りたいアプリとなっている。Clubhouseにもっと知りたい方は以下記事をご覧ください。
Clubhouseはアクセス権、そして後ほど話すウェイトリストとインフルエンサー(Clubhouseの場合は著名VCやテック業界の起業家)を活用してこのFOMOを作り上げることができた。
ウェイトリスト
この手法はテック業界ではよく見かけるパターン。2020年2月にBasecamp創業者のJason FriedさんとDavid Heinemeir Hanssonさんが新メールサービスのHEYをローンチ。その24時間後には既に1.3万人がウェイトリストに登録していて、その半年後には10万人が登録(実際私も使ったが、今はHEYは使っていない)。
ClubhouseやHEYではサイトに行くとTypeformやGoogle Formなどで名前やメールを登録するのが普通。最近だとウェイトリストを簡単に作れるサービスもローンチ。
それ以外のウェイトリストを使う方法がSuperhumanが使った手口。Superhumanはローンチした時にウェイトリストに登録できる唯一の方法はSuperhumanユーザーからの紹介のみ。このおかげでVC・テック業界内で「Superhuman使っている?」と質問しあって、その会話がSuperhumanを広めた一部の理由。
ウェイトリストはよく使われるローンチ方法だが、誰もが使うべきではない。基本的にはPMFを達成する前に使うべき。B向け企業だとウェイトリストでクライアント候補社を増やしながら有名企業の導入を進め、その有名企業のロゴをサイトに載せてさらにウェイトリストの勢いを加速させるパターンが多い。さらによくあるパターンは「ソーシャルウェイトリスト」の概念で、ユーザーがウェイトリストの登録リンクを共有するとウェイトリストのランクが上がる仕組み。実際にRobinhoodはこれを上手く活かせて成功した。
過去にローンチ時にウェイトリストを使って成功した会社の事例はMailbox、Robinhood、Clubhouse、Gmail、Facebook、Dollar Shave Club、Haus、Superhuman、Monzo、Ipsyなど。
著名人・インフルエンサー現象
こちらの代表例はClubhouse、Atoms、Madhappy、MSCHF、100 Thieves。Clubhouseは途中でオプラ・ウィンフリーさんなどの著名人が参加したり、MadhappyはDavid Dobrik、100 ThievesはDrake、MSCHFはMrBeast、AtomsはAlexis Ohanianなどがユーザーだからこそ広がった。Rothy'sもメーガン・マークルさんが靴を履いてくれたおかげで一気に広がった。実際にRothy's創業者から聞いたのはメーガンさんが履いた影響はどのPR効果よりもあったとのこと。
公共の場(Twitter)でグロース
この手法は中々の勇気が必要だが、テック業界では2社が上手く活用している。その一社は最近調達した教育系スタートアップのLambda School。Lambda School CEOのAusten AllredさんはTwitterでリアルタイムでのステータスや戦略を共有している。さらにフォロワーと戦略を一緒に考えるTwitterスレッドなど、フォロワーと一緒に会社を成長させている感覚を作るのが上手い。特にAustenさんはLambda Schoolをアンダードッグ、いわゆる弱者のポジショニングをとっているからこそ、より応援する意味があり、成功するとファンもより喜ぶ。
最近だとfintech系のスタートアップFastがTwitter経由で会社を成長させている。Fast CEOのDommさんはチームの半分ぐらいTwitter経由で採用していて、共同創業者のAllison Barr AllenさんもDommさんからのTwitter DMで最初に会った。
実際にDommさんもThe TakeoffインタビューでTwitterは初期ユーザー、投資家コミュニティー、チームの採用、そしてサービスのコミュニティー作りに使っていると語っている。
AustenさんとDommさん曰く、公共の場で成長するには自社の弱みを見せられるのとオーセンティックであることが重要と語る。実際に公共の場で成長するプレーブックを作るのであれば、こんな風になるだろう:
・ユーザーからの本当のフィードバックのスクショなどを共有する
・プロダクトのアイデアをコミュニティーに聞く
・会社/プロダクトの知られてない部分のインサイトを共有
・新しいプロダクトのアップデートをチョイ出ししたり、フワッと共有する
・社内のカルチャーを見せるために会社のSlackメッセージのスクショを共有
・会社のかなり感情的なストーリーを共有する
今後はこの分散された、公共の場でアンバサダーコンテンツ制作が増え、「ブランドの裏の人間」がアメリカの2021年マーケティングトレンドとなりそう。Barstool、Glossier、Morning Brew、Fastなどを見ると、そのブランドだけではなく、ブランドを運営する人が重要な存在になっていることが分かる。
例えば人気ゲームのコミュニティマネジャーのOliverさんはTwitterで7万人フォロワーがいる。彼がFall Guysのアカウント運営をしながら、自分のアカウントではFall Guysの戦略などについて共有して、Fall Guysブランドをさらに拡大させている。
そしてそう言う個人がカルトブランドに関わると、このような素晴らしいコンテンツが生まれる。
聞くべき質問:
・どのインフルエンサーがブランドについて語ってくれているか?
・インフルエンサーがどれだけ他のインフルエンサーをオンボードしているのか?
・ブランドの外向きのペルソナを考えると、どれだけバイラル化出来そうか?
ステップ③:ユーザーのコミットグラフを作る
カルトブランドの次のステップとしてはコミットグラフを作ること。コミットグラフとはユーザーをどう囲い込んで、ブランドにコミットしてもらって他の人を囲い込ませるかの戦略。重要なのはユーザーがよりブランドにコミットすると、よりインサイダーになった気分になること。そうするとユーザーがブランドに投資を増やすほど、そのブランドの成功に対して戦ってくれる。
これを戦略的に考えるためにはブランドはユーザーがブランドのファンになるためのアクションステップを可視化しなければいけない。例えば以下は保険スタートアップのLemonadeがもしコミットグラフを作った場合に想定できるもの。
Lemonadeのコミットグラフだとサービスのビジネスモデルと常にエンゲージしてもらうのが重要なポイント。各ステップに応じてユーザーはLemonadeの社内構成を知ることでブランドのファンになり、各エンゲージメントはLemonadeが他社とどれだけ違うのかをハイライトしている。
さらにLemonadeはユーザーにフィードバックを公開するようにお願いしている。アメリカだからかもしれないが、多くのユーザーがそれをやってくれる。しかもそれを公式アカウントやLemonade従業員がちゃんとピックアップしてくれて、コメントしてくれる。
過去の記事でも記載したが、Lemonadeはユーザーの誕生日にメッセージをTwitterで送り、それに対してユーザーがTwitterで反応したのを見てLemonadeはさらにケーキを送った。小さく、スケールできない風に見えるかもしれないが、これでこのユーザー、そして彼の友達や同僚はLemonadeのファンになる。
もちろんこのコミットグラフは良いテンプレはあまりなく、各会社でかなり変わるもの。ブランドによってはユーザーが何かしらのアクションを達成してTwitterでブランドとエンゲージすることかもしれない。しかもコミットグラフはブランドとユーザーが進化するにあたり、どんどん変化するはず。大事なのは、どうやってユーザーはブランドを見つけて、そしてどういうアクションを取るとブランドを愛してくれるのか。これはよく言われる「Magic Number」方式とカスタマージャーニーマップの組み合わせと考えても良いかもしれない。
カルトブランドをちゃんと作っている会社は最もコアファンのコミット度合いに驚く(特には引くw)時があるだろう。過去にOff Topicのインスタグラムでも紹介した天然水D2CブランドのLiquid DeathはファンからLiquid Deathのロゴをタトゥーするとまでファンが宣言。
さらにAtomsの株主でもあり、大ファンであるShrug CapitalのNiv DrorさんもAtomsの特徴的な1/4刻みのサイズを自分の足にタトゥーした。
聞くべき質問:
・異常なユーザーエンゲージメント/ロイヤリティーがあるか?
・フォロワーをファンに変える機会があるか?
・ファンは外でブランドをどれだけ好きかをどんな時でも言ってくれるか?
それ以外に重要なポイントは誰がカルトリーダーなのか?良いカルトブランドは大体カルトリーダーがいる(もちろん複数人かもしれない)。TeslaカルトはElon Musk、Lambda SchoolカルトはAusten Allred、100 ThievesカルトはNadeshot、Barstool SportsカルトはDave Portnoy、RoamカルトはConor White-Sullivan、パタゴニアカルトはYvon ChouinardやRick Ridgeway、GlossierカルトはEmily Weiss。
現代ブランドの必須要素「4Cs」とは
これでなんとなくカルトブランドを作る要素を理解したと思うが、実際にどう言う風にエクセキューションをするのか?その答えは元Rebecca MinkoffのCMOでSociology of Businessメルマガを書いているAna Andjelicさんが考えた「4C」を活用するのが良い。
現代ブランドの4C
・コミュニティ
・コンテンツ
・キュレーション
・コラボレーション
世の中がより繋がっていながら、マイクロ化している。そして、ユーザーとは対照的なポジショニングするブランドはそのユーザーからバッシングを受ける時代になっている。直近ではEverlane、Glossier、Awayなどが従業員などからかなりネガティブな発言が出ている。
今ではブランドはわがまま、鈍感、不平等さ、思いやりの無さ、もしくは空気を読めない要素を表すとユーザーから何かしら言われる。これをベースにブランド戦略を考えなければいけない。アメリカ企業でこの文化と社会の変化に気づいてなければ、すぐにでもビジネスのやり方を考え直すタイミングでもある。ブランドが成し遂げるジョブとはソーシャルで共同なものであり、成功する一部の定義はどれだけ他の会社をサポートしたか、ユーザーの人生をどれだけ良くしているか、コミュニティのために何をしているか、社会的立場は何かなど。
コミュニティ
今ではブランドコミュニティは「nice to have」から「must have」に変わった。どのカテゴリーのブランドも何かしらの社会的ミッションやバリューをユーザーとコミュニケーションして、何かしらの方法でユーザーと繋がらなければいけないようになった。大手ファッションブランドのMarc JacobsもWFH、Drawn Together、GANNI Talksなどでオンライン上でユーザーに会社のバリューを伝えている。
ここで重要なのはコミュニティをユーザー獲得の戦略として考えず、コミュニティを長期的でロイヤリティー向上のための戦略として考えよう。そしてコミュニティを作る際にはコミュニティの管理が非常に重要で難しくなるので、そう言う人材を出来るだけ早めに囲い込んだほうが良い。しかもオフライン店舗を持っているブランドだと、オフライン店舗でのサービスが良ければ、オンライン上でのコミュニティのサービスレベルの期待値も高くなるはず。
直近で立ち上がったブランドもコミュニティを作っている。例えばコスメマーケットプレイスのGeenie。創業者のChana Ginelle EwingさんはコミュニティファーストでGeenieを作ったと語る。Geenieのコミュニティでは人種や性別がどうコスメ・ビューティー領域を影響しているかの会話を他の人とする場所であり、同時にお互いコスメ商品のレコメンドを出来る場所。
引用:Geenieサイト
女性向け在宅ホルモン検査のModern FertilityはSlackで女性の健康情報やアドバイスのコミュニティを作っていて、ビーガンビューティーブランドのVersedやプロダクトの前にFacebookコミュニティ「The Good Skin Crowd」を立ち上げた。
コンテンツ
これは別途記事にしますが、どのリテールブランド、そして後に全ブランドはコンテンツ化が必須になってきます。特に今のコロナではライフスタイル系のライブ配信コンテンツの需要が高まっています。アメリカでは多くのブランドは毎日のようにInstagramでレシピ、瞑想、バーチャルエクササイズ、家で仕事をしやすくするためのハック、映画リスト、詩の紹介、犬の写真などを共有している。
引用:Hausメール
キュレーション
このキュレーションを上手くやっているブランドは実は少ない。これはブランドとしての声やトーンがまとまっていて、ユーザーから慕われているときにやるべきこと。ブランドは今後自社のプロダクト以外に、ユーザーのライフスタイルを作ると考えると、そのライフスタイルのキュレーションをしても良い。ブランド視点からの合う映画、食べ物、家具、ビルデザイン、ポップカルチャーを早めに表現するとブランドの世界観が違う形で伝えられる。
このキュレーション戦略を最大限に活かしたのがRihanna。Rihannaは2020年4月にInstagram LiveでFenty Social Clubと言うオンラインパーティーを主催した。Instagram Live中は時々Rihannaが出演したが、ほとんどは彼女が選んだDJやアーティストが出演しただけ。
日本ではこのキュレーションを行っているブランドは既に存在する。「一冊の本を売る本屋」で有名な銀座の森岡書店は毎週1冊の本を選んで、それをベースにアート作品、写真、その他関連するものを展示している。
引用:森岡書店 Twitter
特にコロナの影響で家から仕事をしている方が多いので、コスメブランドでもZoomの電話会議に合う服装を提案するのも良いアイデアかもしれない。それを本格的にするのは次のコラボレーションが鍵となる。
コラボレーション
今ではSupreme x 〇〇のようなコラボ商品はよく見かけるし、それをバカにするブランドまで現れている。今後もこのようなファッションブランド同士のコラボ商品は出てくると思うが、今後は似たような社会的ミッションを持つ会社がコラボをする時代になり、そう言うブランドがユーザーからより好まれるようになる。最近だとヨーグルトブランドのChobaniとコーヒーブランドのTradeがコーヒー屋さんで一時解雇された従業員のためのコラボ寄付キャンペーンを始めた。
以前記事で出てきたアルコールブランドのHausも面白いコラボ企画を行った。コロナ中に資金面がキツくなったレストランのシェフとコラボして新しいHaus商品を作った。そして、コラボ商品の利益分を全てレストランに寄付すると決めた。
引用:Twitter
2020年6月18日時点では既に$160Kほど13レストランに振り込んだHausだが、このコラボプロジェクトのおかげで新しいHausファンも生まれたはず。Hausのレストランプロジェクトとそれに似たプロジェクトを立ち上げた日本ブランドが気になる方は、こちらの記事をご覧ください。
メンバーシップモデルを作る
今までカルトブランドの作り方を話してたが、多くのブランドはロイヤリティープログラムを作っているから大丈夫だと言われることがある。ただ、多くの大手ブランドのロイヤリティープログラムを見ると、ロイヤリティーではなく経済的なプログラムにしか見えない。結果としてどうユーザーを離脱させなく、金銭的ゲインを出せるかの計算している匂いしかしない。
例えばプロダクトのレビューを書いたりブランドのSNSアカウントをフォローするととポイントをもらえる仕組みは単なる贈賄でしかない。こう言う仕組みはブランドにとってそこまで価値がないオーディエンスを引き寄せることになる。そのオーディエンスとは利益を求めているユーザーであり、そう言うユーザーはポイントをもらったらそのブランドをアンフォローする。
本当のカルトブランド、本当のロイヤリティーとは感情的であり、時には合理性に基づかない行動を取ることである。そのレベルに至るにはブランドはポイント制の仕組みよりメンバーシップモデルを作るべき。これに気づいているアメリカのD2Cブランドはサブスクモデルやプライベートチャットルームの構築に投資している。
カルトブランドとして考えなければいけないのは認知されながら、どう言う風にプライベート感・インサイダー感を出すか。大手ブランドのプラダは招待制のメンバーシップクラブ「Prada Mode」を2018年にはじめ、2020年1月ではパリでパーティーを開催したが、その情報やアクセス権を持っていることが今ではステータスとなり、最も求められているもの。
メンバーシップモデルとはユーザーをインフルエンサーとして迎えることであり、同時にブランドのアイデンティティーを定義づけする瞬間でもある。ブランドのメンバーシップに入っていると言うのはステータスシンボルなため、どのユーザーを囲い込むかは慎重になるべき。その人たちがブランドの思いやビジョンを受け継ぎ、友達や世の中に発信していくことになる。
ここで重要なのは単純にコミュニティを立ち上げて、厳しいアクセス権をつけるのではなく、ファンに対してブランドのアイデンティティーと所属感を出すこと。プラダやRalph Laurenなどラグジュアリーブランドは招待制のクラブを作るのは分かるが、全ブランドがそうするべきではない。
ただ、重要なポイントはブランドとして常にオープンでマス向けに対してのコミュニケーションだけではなく、自社の最もコアファン層に当てはまりコンテンツ、思い、ビジョンなどを提供するのが大事と言うこと。ブランドとしては自社のユーザーを一つのグループとして考えるのではなく、色んなニッチやサブグループに興味があるネットワークとして考えるべき。ブランドのファン内での興味やテイストのコミュニティを作り、そのコミュニティのトーンを自社ブランドで固めると、自然とカルトブランドからメインストリームへ成長し始めるようになる。
カルトブランドの課題:カルトリーダーありきのブランド
大体どのカルトブランドを成長させるのはカルトリーダー。この記事にも記載した通り、このカルトリーダーがいるからこそファンがいる。逆に言うと、カルトリーダーにブランドが依存してしまうリスクがある。
このリスクは一部しょうがない。特にスタートアップ文化では創業者と言う立場自体がブランド化されていて、創業者への力や権利がここ10年ぐらいで圧倒的に増えている。だからこそテック企業が上場する際にデュアル・クラス・ストックの仕組みが作れる。それだけ会社にとってリーダーの存在が大きいからだ。
そうすると、どう言う風にカルトリーダーへの依存症からブランドは抜け出せるか?それは組織的な解決法とブランド・ビジネス的な解決法がある。組織としてはどれだけ各従業員、特に創業者以外の経営層がブランドビジョンを引き継げるか。パタゴニアが成長した一部の理由、そして個人的に心配している理由は創業者のYvon Chouinardさんが社長を退任しても、彼の意思を引き継ぐ人がいたこと。ただ、彼が万が一亡くなった場合、その思いが引き継げられるのかが心配。特に最近だとパタゴニアの社内にはビジネススクールに通ったMBA組が増えている。これは特に悪いことではないが、今までのパタゴニアとは大きく組織が変わってきている様に見える。
ビジネス・ブランド戦略は「Galaxy」モデルと呼ばれているもの。これはブランドが考えたストーリーが真ん中にあり、そのストーリーのイメージや環境をブランド体験やプロダクトで伝える仕組み。Ralph Laurenがこれを最も上手く出来ているブランドかもしれない。Ralph Laurenは東海岸の貴族ライフスタイルのストーリーを描いている(まさにグレート・ギャツビーやアメリカンドリーム的なストーリー)。Ralph Lauren店舗内では昔の有名ハリウッド俳優・女優を白黒の写真を見せてこの上流社会を表現している。そしてRalph Laurenはアパレルだけではなく、家具、寝具、オブジェなども売っているし、Ralph Laurenカフェやレストランまで運営している。これは全てRalph Laurenが伝えようとしている、東海岸のラグジュアリーライフスタイルのストーリー。
インフルエンサー業界でこの「Galaxy」モデルを作れているのはアーティストのカニエ・ウエスト。彼のストーリーをベースに音楽、スニーカーブランド(Yeezy)、奥さんのKim Kardashian、そして最近だとGAPとの提携などが入ってくる。
このモデルを上手く活かしているのはジョーダンブランド。もちろんジョーダンブランドの中心となるのはマイケル・ジョーダンとが描く、勝利へのこだわりやスポーツへの熱意を語るストーリー。ジョーダンブランドは未だにバスケ業界で最も売れているNBA選手の名前が入ったブランド。
引用:Statista
それが出来るのは、ジョーダンブランドのストーリーを囲い込むコンテンツやプロダクト。コンテンツとしては今年話題になったドキュメンタリーの「The Last Dance」、そしてプロダクトとしてはジョーダンブランドが提携しているバスケ選手。
そしてジョーダンブランドのGalaxyはバスケ以外の領域にも広がり、野球、アメフト、ボクシング、ゴルフ、テニスなどの選手とも契約している。そんな中、MLBのレジェンドのDerek Jeterとも契約していて、彼が引退した際のプロモーション動画がどれだけジョーダンブランドを進化させたのかが分かる。
まずこの動画自体が素晴らしい。ほぼ言葉を発さなくても、Derek Jeterに対してのリスペクトを素晴らしく表現している。そして実際に動画を見ると、ジョーダンは最後に出てくるだけで、逆に出なくてもすごく影響はなかった。ジョーダンブランドはマイケル・ジョーダンのビジョンや思いを引継ぎ、それをジョーダン無しでも活かせる状況までたどり着いた証拠でもある。
世代を超えるブランドを作るためには「時を遅らせろ」
このカルトブランドを話している理由は、今ではこれが世代を超えるブランドの必要要素だと思うから。この世代を超えるブランドを作るのに、参考となるブランドは何か?大体のアメリカ人、特にテック業界やD2C業界に「どのブランドが最も好きか?」と聞くと、大体2〜5パターンしか返ってこない。Apple、パタゴニア、ナイキなど、何世代を超えても、そして幅広い層から愛されるブランド。
その3社以外に出てくるのはRalph Lauren。そんなRalph Lauren本人にD2C業界では有名なWeb Smithさんが「どういう風にブランドを作り、何か隠された秘策があるのか?」を聞いたところ、Ralph Laurenさんの回答は以下だった。
"I slowed down time, young man."
「時の流れを遅らせたんだぞ、小僧。」
1967年から始まったRalph Laurenは未だに健在で、2018年では$6B以上の売上を達成。上がり下がりはあるが、53年間も生き延びて、これだけのものになったのはカルトブランドから初め、そして最も重要な点では時間をかけて競合に勝ち抜いたこと。今ではVC出資を受けている多くの会社が「hockey stick」成長をしないとダメな会社と思われる。ただ、実際にC向けブランドを作るには時間がかかる。ほとんどの場合、商品はソフトウェアの様に10倍よくならない。その10倍の強さを出せなければ、50年以上競合より1%毎日あり続けるのも一戦略としてある。
VC投資を受けるとカウントダウン式である程度考えなければいけない。投資家は大体5年〜10年の単位でリターンを考える。それまでに数千億規模の会社を作るには、ひたすらグロースにブランドはフォーカスしなければいけない。テック企業のAppleは設立から5年でIPOできるが、リテール系のブランドのナイキは16年、Ralph Laurenは上場まで30年かかった。
もちろんだからと言って出資を受けないという話ではない。ただ、投資を受ける際には、時間軸を考えなければいけないのも事実。ブランド、ユーザーに投資するお金を成長のために広告に回したり、10年〜50年スパンではなく、3〜5年スパンで会社の成長を考えてしまう。
Ralph Laurenさんの「時の流れを遅らせる」というのは長期的に考えること。そして長期的に考えると、初期のブランドを作る際にどれだけ顧客からファンに変えて、どれだけ愛されるプロダクト、そして後に愛されるブランドを作れるかが勝負。その発想がカルトブランド。
PayPalの創業者兼COOでYammerの創業者兼CEOのDavid Sacksさんはこのカルトブランド化の話をソフトウェア・スタートアップ業界でも起きていると直近のメルマガで話している。何故毎年17万人もが世界中からサンフランシスコに行き、DreamforceというSalesforceイベントに参加してSalesforce商品をひたすら売り込まれるために来るのか?それはSalesforceや成功するスタートアップはカルトを作れているから。Davidさんはこれをムーブメントと呼んでいる。Peter Thielさんも最も強いスタートアップはカルトっぽく、何かの真実をひたすら信じ続けるという。Davidさん曰く、このムーブメントを作るには以下要素が必要と語る:
1) 大きなコース・原動の定義付け
2) 課題を誰よりもうまく説明できる
3) 現状に対抗する
4) カテゴリーを作る・定義付けする
5) 良いチームを作る
6) ユーザーの声を使う
7) アップデート・ニュースを雷の様にインパクトとスピードで共有する
8) 注目を浴びるためにイベントを開催
9) コミュニティを育成する
10) 喧嘩選び
11) 変に嫌われない様にする
12) PRやインフルエンサーと上手く絡む
13) 現実的になる
このムーブメントのコンセプトはカルト化のコンセプトと近い。これはリテールやD2Cだけではなく、他の業界でもカルトブランドが増えそう。特にソフトウェア業界だとSuperhuman、Roam、Figmaなどパッションエコノミー系のツールがかなりカルトブランド化している。Superhumanに関しては、それが出来た一部の理由はオンボーディング。C向けプロダクトだと多くは割と使い方が分かりやすいが、ソフトウェアだと教育プロセスがある。その教育プロセスを短縮することで、ユーザーが一瞬でファンになる可能性がある。個人的にSuperhumanはまさにその事例だった。GreylockのSarah Guoさんもこのオンボーディングがコミュニティに繋がることを語っている。
SaaS系の会社は、今後サブスクではなく、メンバーシップモデルとして事業を考え直さないといけないかもしれない。ソフトウェアの機能を購入しているだけではなく、そのソフトウェアのブランドのコミュニティの一員になることを強調する必要が今後必ず来る。今後の出てくるソフトウェアは物凄いスピードでコピーされる。実際に、最近Justin Gageという方が1ヶ月でSubstackのコピーを作ったと発表。こういう現状の中だから、アメリカの投資家は今まで以上にコミュニティ(いわゆるカルト化出来ているのか)の話をしている。
カルトブランドを作るのは簡単ではない。大前提として良いプロダクト、そしてそのプロダクトに合う創業メンバーやチームがいること。さらにそのプロダクトをブランドと結びつけて、それをユーザーにプロダクトだけではなく、ブランドとしてのビジョンや思いを伝えて、共感してもらい、ユーザーにコミットしてもらってブランドの一員としてプライドを持ってもらう必要がある。それを作るのに最近だとアクセス権のコントロール、コミュニティ化、コンテンツ化、コラボ化、敵を作るなど様々な手法がある。
ただ、ブランドを作る人たちからすると、本記事で解説したのは今現在、2020年時点でのカルトブランドのガイドブックにしかすぎない。次世代ブランドを作るにはその先を読まなければいけない。Ralph Laurenが急遽ストリートファッションブランドとコラボし始めた様に、AllbirdsがAdidasと提携した様に、Appleが今サービスの領域にかなり投資している様に、今後の成長のためには今までの概念と常識を常に疑う必要がある。
現代ブランドは今まで文化、テイスト、クリエイティブアイデンティティー、社会的立場を利用するもの。そして社会が動くとともに、ブランドも変化しなければいけない。社会が製造業から体験型のトラベル領域、ラグジュアリー、アート、デザインにシフトした際に今のラグジュアリーブランドが成長した。これは今とここ数年後の世界・方向性を読み取る能力がある起業家がいたからできたこと。そう、ここでキーワードとなるのが「zeitgeist」(時代精神)。ブランドはこのzeitgeistを読み取る能力が高い順から成功できる可能性が上がると個人的に信じてます。今のミレニアル世代がバーンアウトし始めているからPattern Brandsが生まれ、その周りにコミュニティを作ったり、ミレニアル・Z世代がアルコールを飲まなくなり始めているからこそHausが生まれる。
実際にZ世代はGen X・Baby Boomer世代と比べてブランドの見ているところが違う。Snapが調査したところ、顧客に対してのケア、環境やコミュニティ重視、そしてどれほど限定商品を出しているなどがより評価されている。
このzeitgeistを読み取ることでブランドが立ち上がり、進化し続ける。そして世代を超えるブランドを作るためにはまずカルト化して、その後一般化、そしてライフスタイル化しなければいけない。Zeitgeistは常にシフトしていて、そのシフトを乗り越えられるのが次のナイキ、Apple、パタゴニア、Ralph Laurenになる。
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Written by Tetsuro (@tmiyatake1) | Edited by Miki (@mikirepo)
引用:
・https://jordanodinsky.substack.com/p/the-value-of-a-velvet-rope-effects
・https://medium.com/@jordanodinsky/cult-wars-the-making-of-a-cult-brand-152bce93981f
・https://andjelicaaa.substack.com/p/wheres-value-in-post-growth
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・https://masterthemeta.substack.com/p/100-thieves-series-b-redefining-esports
・https://www.wired.co.uk/article/how-to-build-a-brand-glossier
・https://qz.com/847460/glossier-girls-emily-weiss-on-how-glossiers-customers-became-its-most-powerful-sales-force/
・https://ajasinger.substack.com/p/real-brands-for-real-humans
・https://2pml.com/2019/12/13/blue-room-theory/
・https://www.voguebusiness.com/beauty/acne-patch-brand-starface-dollar2-million-investment-led-by-bbg
・https://www.refinery29.com/en-us/2020/07/9904326/starface-acne-skin-care-reviews
・https://www.highsnobiety.com/p/cultural-credibility-brands/
・https://andjelicaaa.substack.com/p/the-galaxy-of-kanye
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