リアル店舗大量閉店の波がくる / 次世代のお店とは?
休業要請にしたがって多くの商業施設が営業を止めている中で、聞こえてくるのは閉店や退店のお知らせばかり...
苦境の飲食店はもちろん、ライブハウス、劇場、そしてアパレルでも撤退や大量閉店の発表が多くされています。
アパレル大手のオンワードは不採算店舗を700店舗閉鎖。三陽商会も今期150店舗を閉鎖。
これはおそらくIRとして織り込み済みだったものがこのタイミングで出されたのかと思うのですが、ECシフトは今に始まったことではなくここ10年ほどジワジワと進んできた事にすぎません。
ただし、ここにきて一気に急加速した感じです。
リアル店舗のメリットとデメリット
この騒動でリアル店舗の前提条件である「人の集まる場所に出す事で、不特定多数にリーチできる」という最大の武器が封じられました。
さらにその状態でリアル店舗のデメリットである「地価と家賃の高さ、人件費、倉庫機能の弱さ」はそのまんま残ってます。
メリットは封じられ、デメリットだけ残ってコストが出血し続ける...
経営判断として、出血している状態で進むならそれ以上のメリットが得られる確信がないと難しい。通常であれば、この場合は止血するのがセオリー。
そう考えると、アパレルの大量閉店はまだまだ序の口で、緊急事態宣言の延長や外出自粛ムードが続くようであれば大量閉店の波がくるのは確実でしょう。
また、多くの企業においてリアル店舗を回しているのは派遣社員など非正規雇用に頼っているのが現実なので、良くも悪くも雇用コストの調整弁としても機能しています。
正社員のリストラには手をつけづらい日本の労働法下において、契約更新しないで手離れよく雇用コストを削れる非正規雇用は便利なのです。
不採算店舗を閉鎖し、非正規雇用を削り、利益率の高い事業に集中してリソースを投入して財務改善する。たった1行ですが、多くの企業がこの数ヶ月で舵取りを事業の保守・継続重視へと傾けるでしょう。
大量閉店の本質とは何か?
それでは、大量閉店した先でリソースはどこに振り分けられるのでしょうか?
一つは、事業リソースはECを中心としたインターネット上のものへ向かうでしょう。同時に、まったく真逆のアナログな方法に回帰するところも少しですがありそうです。
あえてのダイレクトメールのポスティングや、訪問販売などです。
そして、大量閉店によって一時的に解雇された労働力は店舗以外の分野に吸収されるので、中長期的には現在のオーバーストア(店舗過剰)の状態が改善されていく可能性が高いです。
これは都市部への人口集中の問題や、極端な地価の高騰などを改善する効果もありそうなので、長い目で見ると喜ぶべき変化なのかもしれません。
ただし、この価値観シフトにどう対応・適応するか次第では、淘汰されて消えていく企業もかなり出そうです。
そもそもの服が売れなくなる
リモートワークの達成率は東京ですら未だ20%台なのでそれほど浸透しているとは言えません。
SNSはそもそもリモートワークが可能な人が多くやっているので、SNSではみんなリモートワークをしているように感じるだけです。
実際はまだ朝は満員電車ですし、工事現場には朝から職人さんが集まっています。
しかし、遠からず医療崩壊阻止のためにリモートワークは強く推奨されていき、奨励金や補助金などのインセンティブによって可能な職場はリモート基準や業務の外注化を推し進めるでしょう。
そうなった場合、今までのように服は売れなくなる可能性が高い。もちろん、服に限らずほとんど全ての商品・サービスに言えることですが...
1日の可処分時間のうち、自室で過ごす時間が多ければ、外に服を着ていくというシチュエーションがそもそもなくなるわけです。これはアパレルブランドにとっては恐ろしい事態です。
もちろん過ごしやすいルームウェアやルームシューズ、ビデオ会議でパリッと着こなせるリラックスウェア、顔色をきれいに見せるインナー、クリーニング不要でシワにならないメンテナンスフリーウェアなどは需要があるでしょう。
それでも全体としての「服を買う」という動機は大きく損なわれて、欲求としての順位を下げることでしょう。
これは大きな価値観の転換=パラダイムシフトそのものであり、ここから元の価値観に戻ることはなさそうです。
今のやり方をガラッと変えて適応しない限り、ジリ貧で出血し続けるような事態になる。それらを見越した上で、多くの企業が不採算店舗の撤退・閉店を決断していく数ヶ月になりそうです。
後半、定額マガジン読者さん向けには、この壮絶な逆転した時代の先でどんなお店なら通用するのか?を模索してみたいと思います。
まだどれも仮説なのですが、いくつかは当たると思っています。一緒に明るい未来に繋がる道を探しましょう。
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