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〝かみさまがすまう森〟で見た極彩色の夢

子連れ出張も折り返しで、一緒に民泊を拠点にしていた友人家族たちと別れて単独旅程へ。

後半の3泊4日は土日も入るので家族旅行の合間にリサーチを入れていくスタイルです。(途中に宿でノートパソコン開いて仕事もしつつ。。。)

そして1泊目の昨日、その中の目的の1つであるチームラボの屋外展示へ行ってきました。

〝かみさまがすまう森〟と名付けられた、御船山楽園という巨大な庭園を舞台にしたデジタルアートの体験。

暗闇が必要なので太陽の落ちた時間から日暮れの後に始まるため、4歳と1歳の娘たちにはちょっと眠い時間帯かと心配していましたが、道中の車内で寝てくれたので無事に寝落ちすることなく見てくれました。

・・・と、ここから先ちょっとネタバレにもなるので、これから行く人でネタバレが嫌な人は戻ってくださいね。この展示に関しては前情報取らずに行った方が感動が深いと思います。


体験してみて不思議だったこと

この展示は前述のように歴史ある庭園で、かつ斜面の山道を使っていて、高低差+池やさまざまな樹種のある森が舞台になっています。

そこにプロジェクションマッピングとプログラミングされた光の演出で神性を感じさせる環境アートを作り出しているのですが、実際に体験してみて不思議な感覚だったんです。

俗っぽい言い方だけれど、まるでゲームの中の世界に入ったような、不思議な没入感があったんですね。

非日常の空間としての光の演出と暗闇、そこに流れている幻想的なBGMと効果音。わかる人はわかると思うのだけれど、FF10というRPGのマカラーニャの森みたいな雰囲気。

そして、もう一つ不思議だったのがプロジェクションマッピングなどに使われている光の色味で、LEDのRGBがベースになっている極彩色のビビットな色味なのに、なぜかそこに和の雰囲気を感じたんです。



日本の神性と森に宿る神秘

「八百万神」という言葉は聞いたことありますか?ヤオオロズと読むのですが、古来日本に住んでいた祖先様は全ての物に神が宿るという多神教の概念をベースに生きてきたみたいなんですね。

ここら辺は文化人類学的な話になっちゃうのですが、いわゆる一神教と多神教の生まれる地域差や環境の差というのが結構あるそうです。

痩せた土地や砂漠などの過酷な環境ほど一神教が生まれやすく、海や山に囲まれて食うに困らない環境ほど多神教が生まれやすいのではないか?という仮説の話を昔先生としたことがあります。

日本では、そうした「あらゆるものに神が宿る」という概念で生きてきた歴史を持っているわけですが、その理由の一端がこの展示で体験した謎の和の雰囲気なのかもしれないと思ったんです。

プロジェクションマッピングなので投影する対象がないと見れないわけで、当たり前ですが空に向けても反射する雲は遠すぎて減衰する光ではマッピングできない。

必然的に何かに投影して見せるわけですが、この展示ではそれがスクリーンではなく森の木々、岩、湖面という自然物だったのがおもしろくて神性を感じるポイントになっていました。

スクリーンではなくアンコトローラブルな自然物に投影するのは難易度高いと思うのですが、抽象的な表現を織り交ぜつつ見事に調和させていたのはすごかったです。

(滝はスクリーンだったので、写真で撮ると圧巻なのですが実物では平滑感と薄さが目立ってしまい、他の投影に比べて質感に欠けていた気もします。)



アートは発明、デザインは発見と再定義

今回行ってみて、アートは発明でありデザインは発見と再定義なんだと改めて感じました。

そういう意味ではこの展示会は一見するとアート的に見えて、実際は非常にデザインの手法に寄っている表現だったと思います。

文化や宗教観などの歴史に文脈を捉えつつ、現代的に翻訳して、新しい技術を混ぜる。そうすることでまだ見たことないのに、なぜかイメージでは知っていたような、未知なのに既知というギャップのある不思議な体験を引き出す。

この発見と再定義というデザインの手法を、アートの方法論で発明するというのがチームラボの作品のおもしろさなのかもしれません。

4歳の娘が展示を体験しながらこう呟つぶやいていました。

「こういうの、来たかったんだよねぇ〜!」

前情報は特に与えておらず、この手のプロジェクションマッピング系の大規模な屋外展示も初体験なのに、ぼんやりとした夢の世界のようなイメージには通じるものがあるかもしれません。


極彩色なのになぜか和を感じる不思議さ。


素通りしている人が多かったけれど、真上を見上げると正方形に切り取られた枝葉が浮かび上がっている作品。これは現代アート的でとても好きな作品でした。


通路も雰囲気を壊さずにちゃんと作り込まれていて、ここら辺は店舗の導入部分のデザインなんかで参考になるなぁ〜と思ったり。


展示かと思ったら普通に野生のカマキリが乗っていただけでしたが、おもしろかったです。帰り道で見たらカマドウマに変わってた。


ちょっと東京から行くにはハードル高いけれど、夜の森での壮大なデジタルアート、神秘的なのに未来館もある不思議な体験でオススメです!


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ヤマシタ マサトシ
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