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DIY(セルフビルド)でお店作りのメリット&デメリット

実はここ1年ほどコア事業を「クライアントさんとの二人三脚でのDIYな店づくり」にしようと思って検討を重ねています。

というのも、OFFRECO名義で担当する物件の7割くらいがセルフビルド案件なんですね。

もちろん設備工事とかはDIYはできないので、セルフビルド率は5割〜9割まで色々だけれど。

で、まぁそれなりの件数をお施主さんとDIYやってきて見えてきたこともあるので、ちょっとまとめてみます。これからお店をDIYで作ろうと思ってる方の参考になれば。

【セルフビルドのメリット】

1.コストが抑えられる

なんといってもコレ。

ほとんどの人は工事のお金を抑えたくて自分でやるのを選択します。

逆に言えば、自分でやって高くつくなら最初からプロに頼む。

だいたい、同じ材料や仕上げでプロに依頼した場合の半額〜2割弱くらいになります。予算150万なら300〜400万円くらいの仕上げにできる感じ。

まぁ、でもコスト抑制目的のDIYって割と的確に指示ができて製作をリードできる設計者がつかないと難しい。

何より、コスト抑えてチープになっただけで結局お店の魅力も半減したら安かろう悪かろうなだけですから。

それに、工事の時間はプロよりかかるし、その間の人件費&生活費ってタダじゃないからね。

つまりは自分でやるってのは、頼んだ場合のプロの工賃−自分の労務費ってことです。

自分の時間あたりの稼ぎが高い場合はコスト抑制はあんま意味ない。

だからセルフビルドって若手オーナーさん向きではありますね。


2.施工現場での変更が容易

工事を進めていくとアレコレと不都合が出てきます。

その時に、設計施工をプロ任せの場合って変更が効かない場合が多い。

たとえ変更できても作り直しとかで結構お金かかったりね。

その点、施主DIYでやっていると現場のちょっとした事情に合わせてその場で相談→即決済可能!

このスピード感と痒いところに手の届く感は大きなメリットです。


3.思い入れが深まりメンテナンス知識がつく

自分で作ったお店だとオーナーさんや従業員さんってお店を大事に使ってくれます。

これね、結構大きな違いなんですよ。

掃除やメンテナンスの行き届いたお店ってやっぱり気持ちがいいじゃないですか?

細かいところだけれど、そういう迎える側の心意気って伝わるもんです。

自分で塗った壁なら、ちょっとお客さんのカバンなどがぶつかってハゲても塗り直せる。

棚をつけたり、緩んだ家具のネジを締め直したり、ガタついたテーブルをなおしたり。。。

そういう小さなことの積み重ねがお店の価値を作っていきますからね。

自分でやっているのか、丸投げなのか、その違いは長い目で見るといきてくると思います。


4.価値観やヴィジョンの共有ができる

設計者にとっての大きなメリットはこれです。

オーナーさんと一緒に作る=目指す世界観を共有して、作りながら設計知識を伝えられる。

そうすることで、お店の備品なんかを揃える時にも統一感が生きてきます。

よく見かけませんか?とても素敵なインテリアデザインのレストランなのに、トイレの中の百均のプラスチックフックや謎の広告ポスター。

明らかにオープン前にあわてて近所のスーパーで買ったであろう荷置カゴや、なぜそれをっていうチグハグな傘立てとか。

細かいことです。でも、こういうチマチマした減点ってバカにできません。

センスのいいオーナーさんの場合は逆にデザイナー側が感化されたりもします。それが設計に反映されたりもするので、ヴィジョンの共有は大切です。

ちなみに、きちんとした店舗展開をしている企業さんは店舗担当のハンドリングをする専門部署があります。それだけデザインが売上に直結する要素だと認知されているって事ですね。


【セルフビルドのデメリット】

1.意外に安くならない場合もある

セルフビルドなら安くできると思いがちですが、安くならない場合もあります。

まず、家賃が高い場合。次に、自分の人件費が高い場合。

家賃が高い場合は当然DIYしている時も1日ごとにコストがかかっていきます。

プロに頼んでもそれは同じですが、プロは高いぶん仕事も早いです。一方、素人仕事で段取りも悪く人手も足りなければ、やはり時間はかかります。

自分の人件費、つまりは1時間あたりどれくらい稼げるのか、その稼げる金額が高い場合も同様です。最低でも2週間、規模によりますが長ければ数ヶ月はDIYベッタリです。その間、自分で自分に給料を払う状態になります。

見落としがちですが、予想工期×(家賃+自分たちの日当)の試算くらいはしておいた方がいいでしょう。

だいたい内装工事費用(厨房器具とか除く)で100〜300万円くらいの予算の案件ならDIYに挑戦できる範囲です。それ以上の規模は部分的にDIYに挑戦して、広いところはプロに頼んだ方が結果的に早く&安く上がります。


2.仕上がりがラフになる

施工のプロはやはり完璧なものを仕上げる経験と知識と技術が揃っています。

たとえプロの指導が多少入るとしても、素人仕事の限界はあります。

まぁ、良くも悪くもラフに上がるのが前提になります。

プロに頼んだ場合はプラスマイナス1-2mmの世界で仕上げてくれますが、自分でやると・・・ズレる、曲がる、ハミ出る。

これに関してはそういうモノなので、作る側の技術も含めて設計・デザイン側がコントロールすれば解決できます。

多少のラフさは許容する。もしも完璧を求めるなら、やはりプロに頼むべきです。


3.できない工事もある

工事の中には安全のために国家資格の所持者や、各自治体の許認可が必要なものがあります。

つまり、工事全てを自分で完結させることはよほど特殊な資格コレクターでない限りは無理です。

水道工事、電気工事、ガス工事、空調工事、これらの設備工事はまずプロに依頼すべきです。

他にも保証の関わってくる防水工事や、消防署への届出の必要な防災工事など、素人の手の出せないものがあります。

これらは安全のために必要なコストなので、削ろうというのは間違いです。


4.怪我する可能性がある

慣れないDIYで一番恐ろしいのがコレですね。

特にスケジュールに余裕がなく寝不足な場合や、焦っていて現場の片付けが適当な場合なんかに事故が起きやすいです。

建設現場は3K労働と言われているように、肉体労働としては割とハード&危険です。

今までの現場でも程度の差はあれ、一緒に工事している時に病院へ行くレベルの怪我は何回かされています。

2mくらいの脚立から落ちるだけでも当たりどころで入院や検査はあり得ます。

電動工具の中には扱い方次第で指が飛ぶレベルの大けがをする危ない道具もあります。

こうした高所作業や危険な加工作業などは、できればプロに依頼した方がいい。

挑戦する場合はリスクを認識した上で、万全の体制でやるべきでしょう。


・・・こんな感じですかね。

デメリットはちょっと脅しっぽくもなっていますが、工事中の怪我や事故は場合によっては取り返しがつかないことになります。

それもあって、ちゃんとした工事現場では朝礼や終礼、清掃の徹底、労働時間の管理や防災対応の徹底がされています。

あとはね〜・・・請ける側のうちはあんまり儲からないんですよねぇ。。。ここはまぁ、一緒に作るクライアントさんやそのお仕事が魅力的かどうかが全てです。ただ、コア事業にするなら利益率は改善しないとです。

そんなこんなでDIYでのお店作りってとっても楽しいし、メリットもたくさんあります。でも、リスクもある。

これも踏まえた上で、どんどんDIYでお店作りに挑戦する人が増えて欲しいです。個性的で愛情あふれるお店を増やして、世の中をもっと楽しくしましょう!

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