酒粕は荷物の緩衝材?!28-2023/11/27
母の実家は酒屋だった。そこで育ったいとこは、現在は結婚して隣町に暮らすが、ひとり暮らしをされていた叔母(いとこのお母さん)が他界し、実家の跡片付けをしている。地元に足繁く通っているにちがいない。酒屋だったからか、地元の酒蔵とのつながりがあるのだろう。この11月の終わりに、搾りたて(!)という酒粕を送ってくれた。
こんなにいい香りがするんだ~というくらい香しい。
ふと、その昔、私が小学校低学年の頃だと思うが、、、母の実家の祖母が、手づくりの梅干しやらっきょうを箱に詰めて送ってくれたことを思い出す。箱には、(たぶん)いつも酒粕が入っていた。そうだ、荷物をあけて家族で喜んだ時に嗅いだ、あのいいにおいだ。
私は、梅干しやらっきょうよりも、この酒粕がなんだかとってもうれしかった。いや、酒粕が今でも大好きというわけでもない。だが荷物が届くと、母がとても嬉しそうに甘酒をつくってくれた。酒粕の香りが家中に漂う。ゆっくりとお玉でかき混ぜていた(ような記憶、、笑)。母が嬉しそうにして、酒粕の甘い香りが家中にひろがるだけで、私は十分に幸せだったんだ、、、と今、しみじみ思う。
荷物が届くとお礼を言うために、祖母に電話をかける母。東京都内北区の国鉄アパートに住んでいたあの頃、母は、周囲の人と話すときは茨城弁を出さなかった。だが、祖母との電話になると茨城弁の大全開。カセットレコーダーを買ってもらった後、その電話を録音してあとで聞かせる、なんてこともした。けど、今思うと失礼なことをしたものだ。しょっちゅうは会えないお母さんと、心置きなくふるさと言葉で話すことは、どれほど日ごろのストレスを解消できて、祖母の声や言葉に癒される時間だったことか。まだまだ子どもで、まったくわかっていなかった(苦笑)。
酒粕は、メインの荷物の隅々にさしはさまっていた。もしかして緩衝材?!と気づいたのはいつだったろう? 香しい酒粕が、荷物の隙間にさしはさまっていたなんて、母の実家が酒屋ならではだろう。おかげで、酒粕のいい香りとにこにこ顔の母との幸せ時間を私はもつことができたのだ。
搾りたての酒粕を送ってくれたいとこのおかげで、酒粕をゆーーっくりとかして作る母の甘酒の香りを思い起こした。酒粕を送ってくれたいとこに、ただただ感謝の気持ちでいっぱい。思えば、私は、悲しいかな、嗅覚はかなり鈍感。祖先は絶対犬じゃないと思う。だから、香りを思い起こせる思い出は、今のところあまり思いつかない。もしかしたら、この酒粕の記憶だけかもしれない(笑)。
たっぷりの酒粕で甘酒をつくったり、豚汁に酒粕を投入したりと、、、寒くなる今、酒粕は私やツレのカラダを温めてくれる強い味方。母の甘酒を想いながら堪能しよう。別れた人は私の中に生きているからね。
(表紙の写真は、古タオルにチクチクといいかげんに刺繍したスヌーピー。下書きなしでチクチクしたのが隠れた自慢。スヌーピーの表情が香しい香りだーーーと浸っているみたいで、はい、ここに選ばれました。)