アリさんの行列となにして遊ぶ?9-2022/06/07
テレビで「アルゼンチンアリ」という強力な外来種の蟻について伝えていた。ものすごく繁殖力が強く在来種を駆逐して生態系を破壊するそうだ(参考『アース害虫駆除なんでも事典』」。アルゼンチンアリの報道を見ていて、家に帰ったらダイニングキッチンの食卓の下にぎょーっとするほどのアリの行列!!そんな光景を思い出してしまった。
これも1978年の話だ(8-2022/05/27参照)。父が意識のない状態で病院に運ばれてから1か月もたたない日だったと思う。ちょうど今と同じ6月。誰もいない締め切った6月の家というのは、とんでもなく湿気ていて、なんだか嗅いだことのない臭いまでした。
「アリさんたちが行列してるーーー!!ひえーー!!」
かれらの狙いは、砂糖入れだったか、お菓子の食べかすだったか。ただただ、父も母もいない家に侵入してきたアリたちの姿に、日常が大きく大きく変わったことを実感した。当たり前に家族が元気に過ごした日はなくなったと思い知った(当時母は父の入院先にずっと泊っていた)。
あの日、アリたちの行列をどうしたらよいかわからず、しばらくオロオロした。集団のままわが家から退散してもらえるとよかったのだが、どうしたもんか考える力もなかった。結局、「ごめんね」とか言いながら、1匹ずつ払いのけたりつぶしたり(涙)。ごめんなさいと今思い出しても涙が出る。涙は、アリさんたちへの申し訳なさ。でもあの時溢れた涙は、父の病で、自分の人生の先行きは不安ばかり、、、そんなことをアリさんたちに暗示されたように思ったからかもしれない。アリたちをどっさり殺生したことを、母には話せなかった。殺生したことがまた、心痛めつけて悪のぐるぐるワープだったな。生態系をも破壊するというアルゼンチンアリは、あの時の恨みじゃないだろうかーとか思ってしまう。
こんな思い出話は、ちっとも面白くない。クラウンの母(8-2022/05/28参照)にアリさんの行列のこと、話せばよかったと今思う。なんといって笑いとばしてくれただろうか。
・列なしたアリさんたちとダンスしたら楽しかったかも。
ほんとにラインダンス!(笑)。
・綱引きもおもしろかったかも。いくらさっちゃんが小さくても、
アリたちになら勝てたよ(笑)。
・大玉運びもできそうだけど、重すぎるとアリたちぺちゃんこで
アリせんべいになっちゃうね(笑)。
あの時、私はアリの命を奪いながら人生の先行きの不安に怯えていた。それは、人生のフェイズの変化の時だったからだけど、今考えてみれば、その変化をまず実感させてくれたのがアリたちだったんだ。あの時18歳。あれから44年。アリたちが生き物としてわが家で行列作って生き延びようとしたように、私も生き物として何とか生き延びてきたのかも。アリの殺生は今も心苦しい。あらためて、ほかの命に支えられて生き永らえていることにいっぱい感謝せねばならないと思う。殺生ではないにしても、自分の命を全うするために、自分が知らぬ間にどこかで人を傷つけることがあったかもしれない。今こうして生きていることに感謝、感謝、感謝ばかり。
(表紙の写真は、クラウンたちと某公園で綱引きしたときのもの)