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神話の地ギリシャ旅行記(5)テーバイ


デルフォイの夜明け

9月5日。朝食前にホテル前の道に出て、ギリシャ初の朝を迎える。
このすぐ上(道路左)がデルフォイ遺跡、右は深い谷。
神域の静けさと、くっきりと鮮やかな空の色が似つかわしくて、ついつい先へ行きたくなる。

だが、今日はテーバイ、アウリス、オイディプスの3叉路と、普通のツアーではまず行けない重要ポイントを巡って、午後にはこのデルフォイ遺跡を見学する盛りだくさんのスケジュール。
体力を温存しなければ。戻って朝食をとる。

レストランも絶景。朝日の差し初めた海が見える。

七門の都テーバイ

宿を出たバスは景勝地アラホバを通って、テーバイ(テーベ)へ。

「天空の街」アラホバをバックに記念写真を撮るための駐車場。

ギリシャ神話ではテーバイは重要な都市だ。
カドモスから始まって、ディオニュソス、オイディプス、ヘラクレスなど、錚々たる英雄や神のゆかりの地であり、やがて「七門の都」と詠われる。
門が7つ、つまりこの町から7方向への道がある交通の要衝にあり、それだけ繁栄していたということだ。

【神話】
オイディプス王がテーバイを去った後、その双子の息子は王位を争った。
負けたポリュネイケースはアルゴスに逃れ、王の娘婿となった。
王は彼に協力して、他5人の武将とともに軍を率いてテーバイの7つの門を囲んで攻めた。
しかしこのテーバイ攻めは失敗に終わり、七将の内生還できたのはアルゴスの王一人だった。

だが、現代のテーベは観光ガイドブックの索引にすら乗っていない。
以前「テーバイには何もない」と聞いて、私は荒れ野を連想していた。

丘の上のテーバイ市街。前日に遠望した街だ。

それは全く逆だった。
テーバイはあまりにも立地が良いので、石器時代から人が住み、古代から現代にかけてずっと人が住み続けている。
そのため発掘が難しく、「遺跡」があまりないということのようだ。
小綺麗な街を目にして、現地を訪れる意味を改めて感じる。

驚異の考古学博物館

そして、ツアー一つめの博物館「テーバイ考古学博物館」へ。
とんでもないところだった。

屋外に無造作にレリーフが並んでいる

石器時代から古代にかけての展示物。彫刻・レリーフ・この記事のタイトル画像のような見事な陶器などが、神話やテーマごとにまとめられるほど大量にある。

ヘラクレスコーナー。この有名な英雄はテーバイ生まれだ。

しかも、博物館の建設時に発掘された遺跡(住居跡)を、地下にそのまま残してあって、半屋外や床のガラス越しに見られるようになっている。

多分、街のどこを掘ってもこういうものが出てくるのだろう。

最初にこの博物館に来たことで、歴史の流れがざっくり把握できたと思う。
ここだけを見に来てもいいぐらいだと思ったが、今日はまだ始まったばかりなのだった。


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