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1次情報を提供できなくなったジャーナリストの次の仕事は
情報というものは、1次情報、2次情報と数字が増えるにつれて価値は下がる。
1次情報とは、事が起きたことを最初に知らせたものである。
2次情報は、1次情報をベースにしてつくった情報のことである。
このように数字が増えるにつれて伝聞の数が増えるので情報が汚れていく。
なぜなら情報は伝聞の数が増えることで、情報に盛り込まれる主観が増えるからだ。
主観は情報を汚す。
新聞記者やテレビ局のディレクターのことをジャーナリストと呼んでおく。ジャーナリストは少し前まで、唯一、1次情報を扱える人だった。
事件や事故などの事が起きたとき、最初に現場に到着するのがジャーナリストだからである。
ジャーナリストたちは自分の目で事をみて、それを文字や映像にしてマスメディアにのせて公開した。
これが1次情報の提供である。
では1次情報をベースにして2次情報をつくる人とは誰なのか。
例えば、ニュース番組のキャスターやコメンテーターだ。
彼ら彼女らは1次情報を仕入れて、自分の考えや経験を盛り込んだ2次情報をつくる。
3次情報の担い手は、ワイドショーの司会者だろう。
彼らは2次情報を適当にアレンジして、情報弱者の視聴者にニュースっぽく情報を伝える。
こうなると情報は白湯や、せいぜい1対100くらいのカルピスぐらい薄まってしまうから知の価値はないが、しかしエンターテイメントとして有効である。
これが情報ビジネスの実態である。
そう、情報の消費者は別に1次だろうが53次だろうが気にしない。
情報を見聞きして面白ければそれでよいのだ。
しかしジャーナリストは1次情報にこだわる必要がある。
それがジャーナリストのレーゾンデートルだからだ。
さて、話は、かつての1次情報の担い手であるジャーナリスト(記者やディレクターたち)に戻す。なぜ私は「ジャーナリストは1次情報提供業務を失った」と言うのか。
それは新たに1次情報提供の担い手が現れたからである。
そう、SNSで情報を発信している人たちだ。
火事が起きても、交通事故が発生しても、誰かが誰かを殺しても、竜巻が舞い上がっても、今や最初にこれらを知らせるのはSNS発信者だ。
ジャーナリストは、SNS情報をチェックして、それを報道した時点で、2次情報提供者になり下がったのである。
「SNSによると」で始まるニュースのなんと多いことよ。
では、1次情報提供を失ったジャーナリストは、次にどのような仕事をしなければならないのか。
というより、どのような仕事がジャーナリストに残っているのか。
その答えは明白である。
情報を集めること。
集めた情報を分析すること。
情報の価値を見極めること。
情報を元に考察すること。
考察結果を伝えること。
そして、弱者保護と社会正義を貫くことである。
この7つの仕事をしないジャーナリストは職を失うだろう。
つまり情報屋になれるかどうかが死活をわけるのだ。