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義母は今年の春までピンピンしていたが、転倒して救急車で運ばれたり、俺の携帯に「自宅の玄関で動けなくなった、助けに来て欲しい」と連絡があったりするようになった。1年半前に義父が死に、義母は憧れだった1人暮らしを始めた。うちから歩いて10分くらいのワンルームマンションで。元気だったころは、俺はずっと家で仕事をしているから、昼ぐらいになると「おかずをつくったから取りにこないか」と電話が来ていた。今年の春から転倒が増えて、歩くことが困難になって、整形外科クリニックに連れて行ったが原因がわからず。整形外科病院に行っても原因がわからず。高齢者向け病院でもわからず。札幌医科大学の神経内科の医師も原因を特定できず。もう一度、整形外科病院に行ったら、今度は北大病院から派遣されている医者がみてくれて、首をとおる神経が圧迫され、それが足の動きを阻害しているとのこと。さすが北大と思っていたが、義母は手術は受けたくないという。相方(いわゆる妻、義母の娘)も手術は受けさせたくないという。相方がリサーチしたところ、首の神経の手術は簡単なものだが、完全に歩けるようになることは滅多になく、とはいえ首の神経なので手術で傷をつけると完全に歩けなくなることがあるそうだ。85歳だから、手術を受けないメリットのほうが、受けるメリットより大きい、という判断になった。相方と義母が、北大から来ていたその医師に「手術は受けないことにする」と告げると、医師は露骨に嫌な顔をしたそうだ。大学病院の医師が、外の民間病院に出向くのは、手術案件を拾って大学病院で手術をするためもある、と聞いたことがあったが「本当にそうなんだ」と思った。それから1カ月足らずで、義母は1人暮らしをギブアップ。介護施設のショートステイを長期に使っている間に、相方と義姉が札幌ドーム近くの老人ホームをみつけ、ワンルームマンションを引き払う。引き払いは俺が担当。といっても便利屋を呼んで、部屋のなかのものをすべて廃棄してもらっただけだが。ワンルームマンションから老人ホームに持っていったのは、小さいテーブルと椅子2脚、洋服を5分の1くらいだけ。かつては郊外に、農園?っていうくらい広い家庭菜園用の庭がついた、2階建てのまあまあデカい家に住んでいたが、最後の(最後になると思うが)資産は、小さいテーブルと椅子2脚と、洋服少々だけになった。そこからの「落ち」が激しかった。ベッドから立ち上がって転んで頭をぶつけて、老人ホームの介護職員から相方の携帯に電話が入って急行して、脳神経外科クリニックに連れて行って、医者から「異常はなさそうですね」と言われて老人ホームに戻る、ということを3回くらい続けて、もう血がダラダラ出るまで脳神経外科クリニックに連れていかないことにした。そうこうしている間になぜか認知症が進み、相方が義母に「今、どこにいるかわかるか」と問うと、これまで一度も行ったことがない「大分県でしょ」と言う。さらに「昨日、クマが部屋のなかに入ってきた」とか。相方は休みのたびに老人ホームに行って、果物を食べさせたりしている。介護度は、今年の春まで要支援1だったが、夏には要介護1になって、今はもう要介護3。完全車いす。オムツ交換は、小便or大便をしてから数時間後。老人ホームは8畳くらいの個室で、便所もそのなかにあるがカーテンで仕切られているだけなので便所のような臭いが部屋中にたちこめている。しかしこれでも毎月数十万円取るような、世間では恵まれているほうといわれる老人ホーム暮らしである。そんな恵まれた生活を送れるのは、義父が高校の校長をやっていたので義母の年金が20数万円あり、さらにそこに義姉と相方が金銭的補助をしているから。日本の医療と介護、老人を長く生かしすぎだって、と思わずにはいられない。俺自身の母親は神奈川にいて妹が面倒をみているとか。どちらとも疎遠なので連絡はないが、死んではいなさそう。日本の医療と介護、老人を長く生かしすぎだって、と思わずにはいられない。俺自身の父親は、継父のほうは10数年前に死んでいて、実父のほうが俺が小3だか小4ぐらいのときに死んでいる。イギリスで安楽死法案が議会にあげられたそうだ。石破は、高額療養費制度の上限額を引き上げて高額医療を受けにくくする、といっていた。そりゃまあそうだよね、と思わずにはいられない。