日常の地味なウェルビーイング
少し前に「ウェルビーイングのために」のお題企画への投稿として、古今東西の偉人・賢人の言葉を集めてみたのだけれど、もっと素朴なアプローチとして、日々の生活で満たされた気分になるための工夫や気づきを書きたいと思う。
ウェルビーイング、「満たされた状態に"ある"」と意識することは、じっさい、そんな難しくないんじゃないか、と思っている。
洗濯物を、果実の収穫や天日干しと捉える
さっそく変なことを言っているようだけれど。
晴れた日に、洗濯物を干す。洗濯物が日の光を浴びて、水分が取れてふっくらと実っていく。そうして夕方になり、靴下やパンツなどを取り込むとき、「いま自分は、ゆたかに育った果実を収穫しているのだ」と、頭の中で置き換えてみる。
また、ワイシャツなどの衣服やタオルをハンガーにかけて干す作業を、魚の天日干しのようにイメージしてみる。日にさらすことで魚のうまみが増すように、洗濯物の中に栄養価が宿っていく。
こんな風に思ってみると、なんてない洗濯物を干す・取り込む作業が、面白いことのように思えてくる。
アイロンがけとは、思考を整理すること
アイロンがけが好きだ。しわっしわになったハンカチにアイロンをあてて、しわを伸ばしていく過程は、なんとも言えない愉悦である。もはや、しわを伸ばすためにハンカチを使っている。
アイロンがけをすると思考が整理される気がする。モジャモジャとこんがらがる頭の中の思考。それがアイロンの熱とスチームによって、まっすぐに矯正されていく様子を、頭の中でイメージする。
ハンカチのしわが無くなり、きれいにととのったとき、脳内の思考がすこしばかり整理された気分になる。
部屋の中をウェットティッシュで磨くと体内が掃除される
部屋の状態は心身のストレスと比例する、という。散らかっている部屋は、思考が混乱している原因であり証拠だとか。
発想を転換して、部屋の中を磨いたり掃除したりすることで体内を掃除する、というイメージを持っている。広くない部屋の中、ウェットティッシュを手に、四つん這いになって床のフローリングを磨く。
アルコール除菌のウェットティッシュを買いだめして、部屋のあちらこちらに置いている。デスクの上、冷蔵庫の上、本棚の空いたすき間など。ホコリや髪の毛などが気になったとき、すぐに掃除できるようにしている。
散歩中は、意識を足の裏やふくらはぎらへんに寄せる
日々の生活では、すぐに頭でっかち、というか「考える」ことに偏って、「感じる」ことがおそろかになる。散歩中は「感じる」ことに注意を向けるようにしている。
意識というのは、プレゼンやセミナーで使うレーザーポインターみたいなもので、通常時は頭の周辺に、焦点である赤い点が灯っている。
散歩しているとき、その焦点の赤い点を地面に触れる足の裏に移動させる。もしくはひざから下、ふくらはぎ、そこらへんに。そして呼吸を整えながら散歩する。
しばらくすると、風に吹かれる気持ちよさ、樹々の揺れる音、鳥の鳴き声、日光の煌めき、そうしたものが感じられてくるから不思議だ。
メモする。文字を書くことは、最小単位の創造的行為
朝起きて、デスクに座り、つれづれなるままにメモ用紙に何かしら書く。
何も考えつかなくても「何も考えつかん」「良い天気だ」「今日は休日?」などと、とりあえず指で動かし、ペンを走らせる。
紙の上に、ペンのインクで文字が生み出されていく。どんな内容であっても、いまここで意味のあることばを生み出している。その事実に、ときどき思い出したように驚く。
書くということは、最小単位の創造的行為である。ペンがあり、メモ用紙があり、書く時間がある、すでに満たされた状態に"ある"のだと気づく。地味なウェルビーイングだけど、これで十分ではなかろうか、と。