25年のOEK定期を彩る4人の日本人ピアニスト
唯一無二の個性! 国際舞台で大活躍の旬のピアニストたち
オーケストラ・アンサンブル金沢の定期公演2024/2025シーズン。今年は絶大な人気を誇る日本人ピアニストが4人登場。亀井聖矢、牛田智大、角野隼斗、務川慧悟――若くして確かな演奏スキルを携え、着実にキャリアを積み重ねながらも常にチャレンジングで今後が楽しみな気鋭ばかりだ。しかしそれぞれが持つ個性はプログラムと同じくらい千差万別。できることなら4公演聴き比べてみてほしい。(文=上田弘子/音楽ジャーナリスト)
2025年の干支は「巳」。「鋭い洞察力を持ち、粘り強く自分の道を切り拓いていく」というのが巳年生まれの特長らしい。作曲家ではシューベルト(1797~1828)やブラームス (1833~97)が巳年にあたるが、その作風や生き方からも、何となく納得してしまう。という2025年、巳年生まれではなくても、粘り強く生きていきたい。明るい希望を持って。
さて、オーケストラ・アンサンブル金沢(以下、OEK)にも、 巳年に相応しいピアニストたちが続々と登場する。まさに鋭い洞察力を持った、独自の路線を極め邁進中の4人。
1/26・亀井聖矢(第490回マイスター・シリーズ)
1月の亀井聖矢は、彼の代名詞も言えるサン=サーンスの「エジプト」。高度な技巧が求められるピアノ協奏曲だが、いわゆる超絶技巧ばかりを注視するのではなく、他に類を見ない亀井の美音を聴いてほしい。特に最近の亀井の音色は、緩急問わず多彩を極めている。サン=サーンスがピアノに求めたものを、亀井が弾き示してくれるだろう。
3/8・牛田智大(第491回フィルハーモニー・シリーズ)
3月の牛田智大はモーツァルト。それも「第24番」というのが興味深い。幼少期から活発な活動を展開していた牛田も今年26歳。誤解を恐れずに言うと、今の牛田が最も彼の本質ではないかと感じる演奏が多く、そのいずれもが心に沁みるのだ。意志の強いハ短調で開始される「第24番」だが、穏やかな第2楽章、そして変奏形式の第3楽章まで、“牛田のモーツァルト”が楽しみでならない。
5/15・角野隼斗(ファンタスティック・オーケストラコンサート)
5月の角野隼斗は、まさに自分の道を切り拓いているピアニスト。その角野が、独自路線の大先輩であるグルダ作品を演奏する。フリードリヒ・グルダ(1930~2000)は 「ウィーンの三羽烏」と言われたほどの大ピアニストで、と同時にジャズの分野でも活躍した。その昔、電子ピアノとモダンピアノとでバッハの「平均律クラヴィーア曲集」を演奏し たグルダ。あの忘れ難いコンサートから月日は流れ、角野が巨匠グルダに挑むステージには興味が募る。
10/24・務川慧悟(第498回フィルハーモニー・シリーズ)
10月の務川慧悟も楽しみでウズウズする。名ピアニストでもあったプロコフィエフのピアニズムを、職人気質の務川がどのようなアプローチをするか。読譜の深さと精緻な技術、そして古楽器からも多くを学んでいる、知 性・教養・センスの塊である務川。これは絶対に聴き逃せない。等々、OEK通いが止まらない一年になりそうだ。
公演詳細・チケットのご購入
※チケットの発売は5/15公演は2/15、10/24は7/24の発売です。