じわじわと喪失感〜"ゴースト夫"に会いたくて〜
夫が突然いなくなるなんて正直想像すらしませんでした。
なぜなら、夫は退職以来、ほとんど家にいたので、私は毎日一緒にご飯を食べ、一緒に散歩に出たり、また日常の買い物に付き合ってもらったりと、夫がいることが当然という生活を送っていました。
それが、夫は突然のコロナ感染で、クリニックに行くと行って出かけて、そのまま帰らぬ人となってしまったのですから、私達家族はその事実を受け止めるのに時間がかかりました。ただ、そんな状況であっても、葬儀はやらなくてはならないし、死後処理も膨大にあって、それらを全部一人でやらなくてはならなかったので、悲しみに浸る時間もあまりなく、また私自身も夫と同様にコロナに感染してたので体力がイマイチで、今思うとあの頃一体どうやって生活していたのかと思います。
夫は健康にも気をつけ、大好きなお酒も週に2回と決めてカレンダーに明記していたし、血糖値を下げるサプリを飲み、コレステロールを下げる薬を飲み、長生きするためのメソッドをちゃんとやってました。手はこまめに消毒し交通機関ではきちんとマスクし、大声で話している人のそばには決して座らず、マスクなしのランナーが後ろから近づくと脇に避けてやり過ごし、私がちょっと咳をしようものならピッと視線を送って「大丈夫?」と心配というより、移さないでよという感じで圧力をかけて来るので、こんなに健康を気づかっている人いないのではないか、という夫でした。
こんなに健康にもコロナにも気をつけていた人がコロナに感染して命を落としてしまうなんて、信じろと言われても、無理です。
そんな中での心境を漫画にしました。
私だけでなく、突然最愛の家族を失った人は、きっと同じような気持ちなんだろうなあと思います。いるはずもない部屋で思わず声をかけて、あ、いないのか、とかこんな時は一緒に盛り上がったなあとか、「今何故いないんだ!」という気持ちがじわじわと押し寄せてきます。この喪失感はしばらく続くのだろうなあと思います。