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学校に入る大人に必要な3つのこと
先生じゃない大人が専門性を活かし、学校と関わること。今後この流れは拡大すると思っています。
でも、闇雲に専門人材を投入すると、学校にも本人にも何より子どもにも不幸な結果を招くことがあるとわかってきました。
学校の価値観が分かっている人が入ってこそ上手くいく、ということがだんだん分かってきたのです。
それは一体どういうことか、私は以下の3つの知識が欠かせないと感じています。ここでいう知識とは、宣言的知識と手続き的知識の両方を言っていて、経験によりわかった、なんてものも全て知識として扱っています。
私の指導教官が「自転車に乗れるのも知識だ」と仰っていましたが私も同様に考えています。
1 コミニュケーション能力
2017年の「ICT支援員の育成・確保のための調査研究事業」の成果報告書によると、ICT支援員に求める資質として、教育委員会担当者、会社の採用担当ともに、コミニュケーション能力が重要であると述べています。
ただ、一口にコミニュケーション能力といっても、これができるから一律にコミニュケーション能力がありますよ、という便利な指標を見つけられません。
ヒントは、ICT支援員の育成・確保のための調査研究事業 平成28年度 成果物に付属する資料編 にある、教育委員会担当者へのヒアリング結果にあります。「ICT支援員に求めるスキルや資質についてお聞かせください。(予算制約が無いことを前提とする)」という質問に対して、16自治体の担当者が回答した結果をテキストマイニングすると以下のようになります。
「コミュニケーション」は「先生」と結ばれていますが、「子ども」「児童」「生徒」とは直接結ばれていません。つまり、自治体担当者はICT支援員と先生のコミュニケーションをのぞんでいることがわかります。
ただ、学校に入るのですから、子どもとコミニュケーションできない、なんてことは可能性として排除されているのかもしれません。
ですから、「学校にいる人」とのコミニュケーション能力だと仮定することはできそうです。
学校にいる人の中でも「先生」と「子ども」は大多数を占めます。支援員の仕事の一つは先生をサポートし、先生のやりたい授業を実現する、と言えます。その際には困っている子供を素早く見つけ出し、先生の授業の流れに沿いながらサポートを行う必要があります。ですので、「授業の流れを壊す支援ではなく、先生の意向に沿った支援」を考えた際に、真っ先に「先生」の意向を確認するためのコミュニケーションが必要であり、そしてそれを理解したうえで、「子ども」のサポートも行う、ということが考えられます。
2 社会人的素養・基礎能力
ICT支援員は、採用の大前提として「社会人としてやるだろうと期待されていることは教育しなくてもやってくれるよね」というのがあります。何せ事前研修など1日や2日、最悪ナシで現場に直接行くのです。
ですので、「迷ったら確認する」「規約や規制や条例を確認せずにどんどんやらない」「その場にいなかった人が読んでわかる報告書を書く」「わからないことは聞く」「質問を放置しない」「質問されてわからなければ調べる」「質問されてわからなかったことは調べた後ご説明する」等のことに関して、言われなくても分かっている人を採用せざるを得ない現状です。
宇宙飛行士と大体同じですが、そういう基礎的なことはどこかで身につけておいてね、仕事の仕方も知ってるよね、ということが大前提としてあり、それを元に研修計画が立てられている場合があります。
ICT支援員の活動は、「報告書」が必須だと考えられます。今日はどこの学校に何時に出勤し、何時に退勤したか、という最低限の報告とともに、学校で1時間目は何年何組の授業の支援、2時間目は何年の国語の教材作成の支援等、「費用に見合う活動を行っているか」ということに関してアピールし続ける必要があります。
そのための報告書を、その場にいなかった人(例えば出張していた校長先生や、首長部局の財政課担当職員)が読んでも「ああ、確かにこれだけ仕事してるんなら」と納得してもらえるレベルで書かないといけません。
難しく考えなくても、支援員の活動がわかるように書けばよいだけなのですが、仕事で報告書を書いた経験がない、という人にはそう簡単でないことがあるようです。費用に見合う活動を行っているかチェックされるということについても、「目の前の先生がありがとうと言ってくれているならそれでいいじゃないか」という主張も聞かれます。いろいろな考え方がありますし、あまりに詳細を求めるのは問題だと考えます。
ただ、「お金を出してくれている人」に対して「あなたが払ったお金は十分価値がありますよ」ということをアピールするのはどんなことでも必要で、重要です。そのあたりの理解も含めてふわっと「社会人的素養」とした言葉でまとめてみました。
3 学校の理解
「学校にいる大人の中で大半を占める「先生」の価値観の理解」と私は解釈しているのですが、先生の価値観の最上位は「子どもが」と「授業」だな、と強く感じています。
先生とお話しする際に、「子どもが喜びます」という前提でお話しするととても話がスムーズです。また、「授業が止まると困りますので予備のタブレットを持ってきておきますね」という気遣いができる支援員を非常に重宝していただけます。
例えば授業中にいきなりプロジェクターの投影が途切れた場合、すぐに代替手段を取り出すのがICT支援員で、原因追及を行うのがSEだと大別されています。先生は授業の流れを止めたくないのです。原因も知りたいけどそれは今じゃない、ということを理解しておく必要があります。それを理解しておくと、びっくりするくらい頼りにしていただけます。
これら3つは、ICT支援員に限らず、学校に入るすべての大人に必要なのではと思います。この土台の先に、それぞれの仕事の専門性が活かされるんじゃないかな、と思っています。
トップの写真は Jill WellingtonによるPixabayからの画像 を拝借しました。3本のろうそくが3つの知識に対応するようしっかりコスモを燃やして勉強し続けます。