小学校プログラミング教育を実践するときに確認が必要な環境についての9つのこと 後編
ICT支援員が学校に訪問し、小学校プログラミング教育実践のご支援を行う際に、事前に確認しておくと後が楽だよ、というポイントをまとめてみた。ICT支援員が行っていない学校の先生方にもお役に立てるようできるだけ平易な言葉で、そしてそのレベルから?という内容を書いてみる。前編ではオンライン版プログラミングについて説明したので、今回は、オフライン版プログラミング。何せ授業中にインターネットが途切れて固まることはないため、授業がそういう意味では止まらない。
その場合に確認することを順番に述べる。オンライン版でご紹介した3つのプログラミングソフトのうち、明確にオフライン版インストーラーが提供されているscratchと、ついこの間windowsPC対象のオフライン版が公開されたViscuitについて書く。
準備2 オフライン版プログラミングを検討する
1 使いたいパソコン・タブレット等に既にインストールされていないか確認する
学校のコンピュータ室が最近更新されていれば、既にインストールされているソフトがあるかもしれない。使いたいソフトが入っていないか、一度確認する価値がある。
2 環境復元が実施されているかそうでないのか確認する
学校のコンピュータ室あるいは授業で使うパソコンは環境復元の設定されていることがある。デスクトップに置いたファイルが再起動すると消えていた、という経験があるICT支援員もいるだろう。復元の設定がされていると、苦労してインストールしても再起動すればすべて消える。
したがって、復元を解除してインストールするための必要な手続きを取る必要がある。方法は整備されている自治体がほとんどのはずだが、費用の問題も出てくる。学校の情報担当の先生、あるいは自治体の教育委員会担当者、ICT支援員ならICT支援員管理者に確認する方法もある。
3 インストール権限があるかどうか確認する
インストールを開始しようとすると、「管理者権限が必要です」というメッセージが表示されることがある。学校のコンピュータ室や授業用パソコンのの管理者権限は開示されていないこともあるため、それぞれの自治体の手続きに従う必要がある。2の環境復元を解除してインストールするための手続きが整備されていれば、インストール時の注意事項として権限についても言及されているはずだ。2の確認時に併せて確認しておくと便利。
4 動作要件を確認する
最近のパソコンはスペックが問題になることはほとんどない。しかし、動作要件については必ず確認が必要だ。Scratchオフライン版に必要な動作要件をまとめると以下のようになる。あくまで2019年6月16日現在の状況なので、最新の情報は必ずScratchサイトで確認を。
なお、Viscuitのwindowオフライン版は学校限定で公開されており、このページから申請が必要だ。自治体で一括して申請もできるため、教育委員会の担当者に確認してみることも一つの手だ。
5 動かしたいように動かせるか確認する
無事にインストールできても、授業で実際に動かしたいように動かせるか確認することが必要だ。
子どもがログインするアカウントで、同時に何台か動かしてみよう。管理者権限のあるアカウントと子どもがログインするアカウントでは動作が違う可能性がある。先生機と児童生徒機でも違いがあることがある。それぞれ確認しておく必要がある。
準備2まとめ
確認することが多すぎる! と思われたかもしれない。だが、これだけ確認しておけば、授業でプログラミングソフトを使うときかなりスムーズだといえる。裏を返せば、それだけ学校には制約が多いということだ。
現状打破は必要だが、たった今目の前でプログラミングの実践を行う、と言った時に現実的な対応を支援員はする必要がある。それがこの9つの確認というわけだ。
もちろん、これで日本全国津々浦々を網羅、ということではない。あくまで「大概の場合」になってしまう。それでもこれだけたくさんの確認が必要だ、ということを学校関係者以外で知っている人はどれくらいいるのだろう。
プログラミング教育の理念は非常に立派であり、今後子どもたちに必ず役に立つと思う。それを実行できるための環境づくりの一翼をICT支援員が担っていきたい。専門である「ICT」を活かして、学校の先生の負担を少しでも肩代わりし、学校にいる先生以外の大人として子どもたちと接したい。
トップ画像は HeidelbergerinによるPixabayからの画像を拝借しました。花言葉「真実」の意味を持つ白いアネモネが9本映っているのでイメージにぴったりです