石川善一:その後トピックス7 (偶然)
2023/8/2
石川善一52才です。
バンド【O/D'S】のリーダー:落合さんとの出会いで
私はシンセサイザーというモノを知った。
*「 夢の続きが始まりました【第三十章 (自信) 】」参照
1988年…まだ高校3年生だった私の心に、
いつか自分も曲を作ってみたいという気持ちが芽生えた。
最低でも
① 鍵盤
② シーケンサー
③ エフェクター
④ MTR(マルチトラックレコーダー)
が必要で、40万円くらいだった。
いつか…いつか…。
だが私がまずやるべき事は、
荒れていた父から、母を解放してあげる事だった。
*「 夢の続きが始まりました【第三十五章 (主役) 】」参照
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両親は私が大学に行くと思っていた。
私も行きたかった。
私は歌手以外の人生だとしたら、
学校の先生もいいな…と思っていた。
小学校3年生の時の担任、久保田先生は、お兄さん先生で、
ドッジボールには必ず参加して遊んでくれたカッコいい存在だった。
…あんな先生になりたいなぁ…
だが私は両親には黙って、歌手以外の夢である学校の先生の道を閉ざし、
大学には行かず就職を決めた。
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会社の内定が決まった時、18才の私は1人で引っ越し先を探した。
私は母に、夜逃げの計画を一切言わなかった。
きっと母は
「そんな計画がバレたら叩かれる」…「怖い」って言うと思ったからだ。
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1人で向かった不動産屋さんは
「事情は分かったけど保証人がいないと …… ね ……」
18才の高校生が社会的に無力だという事を味わった。
……………………………………………
途方に暮れ、原付で走っていると、
ある民家の壁に【空き家あります】の張り紙。
4件並んだ借家の奥に大きな家があり、
張り紙に書いてあった大家さんの名前の表札が…。
私はいちかばちかチャイムを鳴らした。
出てきたのは優しそうなおじいさんだった。
「家を貸して下さい」…たった一言で涙が溢れてしまった私を、
おじいさんは部屋に入れてくれた。
私は一部始終を話した。
その時…
「ただいま~おじいちゃん…お客さん?」
「お茶持ってきてくれるかい?」
なんと……
お茶を運んできたのは小中学校が一緒で、
1度だけ同じクラスになった事がある【みどりちゃん】だった。
「石川君なら大丈夫だよ」…と
【みどりちゃん】の口添えもあって契約する事ができたのだ。
ここは【みどりちゃん】の家ではない。
最近おばあさんの体調が悪くて、
時間を見つけては看病に来ていたという。
この【偶然】がなければ私の夜逃げ計画は達成できなかっただろう。
……………………………………………
春になり社会人となった私は、懸命に働いた。
時はバブルの時代。
入社してたった3ヶ月しか経っていないのに
夏のボーナスは35万も貰えたのだ。
ほんの少し…
少しだけ余裕ができた私は
ケーキを買って大家さんに渡した事を覚えている。
頑張って働いて、いつかシンセサイザーを買うんだ…。
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同期入社で新たにできた友人達は、皆、自分の車を持っていて
遊びに出かける時、私はいつも助手席だった。
母は
「お母さんの為にあんたに不憫な思いをさせてごめんね」…と言っていた。
●大学に行けなかった事で学校の先生になれない事
●欲しがってるシンセサイザーを買えない事
●車を買う余裕がない事
…母は毎日どちらかの言葉を私に言っていた。
「ごめんね」
「ありがとう」
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夏のボーナスを貰ってから生活は徐々に安定した。
すぐにシンセサイザーを買おうとは思わず、
もっと余裕ができてから…と思っていた。
お金が無いという事が、恐ろしい事だと分かっていたからだ。
友達づきあいやバンド活動は普通にできていたが
高校生の時のバイト代3万円という生活水準を崩さずに過ごしていた。
引っ越し(夜逃げ)の手伝いをしてくれたバンドのメンバー、
●落合さん ●シンさん ●刀川さん は
私が就職した後も、バンド練習後のファミレスの支払いを
他のメンバーには黙ってしてくれていた。
特に落合さんにはお世話になった。
洋服をたくさんくれたし、入社式のスーツまで買ってくれたのだ。
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父が荒れたのはサイドビジネスで失敗し、
借金を抱えてからだ…と、後に聞いた。
父は借金返済のために家を売りに出した。
…そんな事、普通は知るよしもない事。
気付いたのは母の友人【越智さん】だった。
新聞折り込みにあった不動産のチラシ。
普段は見ないらしいが、
【偶然】 目に入った家の間取りが我が家と同じ…。
【越智さん】には知り合いに弁護士がいて、
「相談してみたら?」…と母に勧めたが、母は断った。
もう関わりたくない…怖い…。
そりゃそうだろう…
私が母に強引に離婚届を書かせ、部屋に置いて逃げたのだから。
だが私は【越智さん】の申し出に関心があった。
苦労した母の痛みを金に変えるチャンスだと思った。
私は母に内緒で【越智さん】と一緒に弁護士に会った。
ドアを開けてソファーに座った事以外、全く覚えていない。
99.9%【越智さん】が話を進めてくれたのだろう。
結果…800万円の慰謝料が入った。
私が19才の時の出来事だ。
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母は
「これでシンセサイザーを買いなさい」…と、
私に100万円をくれた。
私は少し迷った。
このお金は母の苦労した見返り…受け取っていいのだろうか…。
母は
「あんたの、この1年の苦労の見返りだよ」…と言った。
「このお金であんたは、自分のやりたい事をしなさい」
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私はシンセサイザーを買った。
しかし…説明書がわからない事だらけ (>_<)
*「 夢の続きが始まりました【第十三章 (チャレンジ) 】」参照
1989年…当時はネットも無い…
調べるすべも無く、こうかな?…こうかな?…と触って研究し、
1991年1月19日…20才の時、
初のソロオリジナル曲【あの日君と】が誕生した。
初めてにしては満足のいく出来映えだと思った。
やはり私は歌手になるしかしかない。
学校の先生…なれなかったのは母さんのせいじゃないよ。
小学校3年生(9才)の時から歌手になるって目標があったんだからね。
*「 夢の続きが始まりました【第八十七章 (引き際) 】」参照
そうだ…歌がうまいねって褒めてくれたのも、
3年生の時の担任:久保田先生だったんだ。
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シンセサイザーを買った残りのお金で、私は免許をとり、車を買った。
お金にシビアだった私だが車はもちろんローン。
買ったのは
憧れの落合さんと同じ車で色違い(シルバー)の四輪駆動車\(^O^)/
ソロのオリジナル曲もできた。
車も買った。
私は少しだけ落合さんに近づけた気がして嬉しかった\(^O^)/
*この写真は25才当時*
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50人いた同期入社の仲間は、3年の間にどんどん辞めていった。
私は取り残されている気がした。
皆、それぞれ楽しくてやりがいのある仕事を見つけたのだろう…。
今思えば良い会社だったのだが、若い私は戸惑っていた。
今すぐに歌手デビューの話なんて無い。
生活を立て直すために進路相談の先生が勧めるままに入社した会社。
私は会社に不満はなかったものの、求人を見るようになった。
そして【偶然】、学童保育と巡り会ったのだ。
私が21才の時の事だった。
子供…好きだよなぁ…俺
*「 夢の続きが始まりました【第三十一章 (子供) 】」参照
小学校3年生の時の担任、久保田先生みたいになりたいな\(^O^)/
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母さん…俺…大学行けなかったけど…
学校の先生になれなかったけど…
学童保育の先生になったよ\(^O^)/
ちゃんと自分のやりたい人生を送れているから心配しないでいいよ。
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最初の就職先で使った履歴書写真が残っている。
就職が内定したら母を連れて逃げるんだ!!!
…そんな事を考えていた当時の写真。
まだあどけなく、弱々しくも見える表情の奥には、
揺るぎない決意と覚悟があったのだ。
あっぱれ…よく頑張ったな…若い日の俺。
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【偶然】
●みどりちゃん
●越智さん
●学童保育の求人
数々の【偶然】に助けられ、今の私があるのだ。
…運を使い果たしたから今は派遣社員なのかな…?(笑)
それにしても…23年、派遣社員て…永くない?(笑)
もうすぐ53才。
このまま派遣社員継続記録を毎年更新していくのだろうか…?
それとも【夢の続きが始まりました】が出版され、
違う人生が待っているのだろうか…?
私は1人で歌を宣伝している。
【夢の続きが始まりました】を宣伝している。
可能な限りの時間を費やしSNSで広めようとしている。
バズったらいいなぁ…と思っている。
だから今コレを書いている事は必然。
でもコレを読んでくれる人の中に出版社の人が現われるとしたら
それは【偶然】
ドラマ関係者や映画監督の目にとまるとしたら
それも【偶然】
そんな【偶然】が起きる事を願っている。
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*【石川善一オリジナル曲BEST-YouTube】はこちら↓
https://www.youtube.com/playlist?list=PLs17csMUXKMKbEN5JRFHLP68bbgQnaUbM
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