
料理と芸事の下ごしらえ
こんにちは。
タップダンサー・振付家のおどるなつこです。
関東はあたたかい陽射しにつつまれた良いお正月でした。みなさまいかがおすごしでしたか。
お正月の料理
我が家は基本粗食なのですが、お正月には2種類のお雑煮をつくります。江戸っ子の祖母が教えてくれたおすましの関東雑煮と、娘につながる熊本の根菜たっぷりのっぺ汁のお雑煮。まったく違う味わいなので、飽きることもなく楽しい。
おせちで欠かせないのは数の子とニシンの昆布巻き、かまぼこ、祖母に教わった菊花カブ、大晦日に食べ切ってしまったお煮しめ。
購入するものはさておき、丁寧につくるとめちゃくちゃ美味しいのがお煮しめです。
料理の下ごしらえ
お煮しめは野菜それぞれを下ごしらえします。こんにゃくもクルンとひねり下茹で、ごぼう、レンコン、里芋、それぞれを塩水で適度に茹でて、こうしたものを鳥を焼いた油で絡めて、生の人参も加えて、椎茸のお出汁と醤油でまとめます。ちょっとだけ黒糖もいれ、サッと煮たら味がしみるまでおいておきます。あくまで私の自己流ですが、ひとつひとつの野菜の個性がはっきりして、歯応えもよく、ほんとに美味しいお煮しめになります。

我が家はほんとに粗食なので冬はよく大根を煮ますが、かならず、面取りして、隠し包丁をいれます。これをしないとするでは大根のご馳走感がまるで異なります。

皮は切り干し大根に、面取りした細切れはサラダにするので、無駄にはなりません。

そうして米のとぎ汁でことこと煮て、今日は何のお出汁で煮ようかなと考えつつ、火が通ったらお出汁に入れて少し煮て、あとは味が染みるまで置いておきます。出汁をひいたあとの鰹節を猫がしっかり待っています!
舞台と似ている
野菜の下ごしらえは芸事修行と似ているなぁと思うのです。本番で実力を発揮できるまでのしたごしらえは、目立たない作業だけれども、確実に結果を出すための行程です。大根の煮方のように、こうすればよい、ということがわかっている。やらなければそこそこの結果になる。
舞台が即興だとしてもそれは同じ。自分が下ごしらえがきっちりされた素材でいるかどうか。これはいつも、料理をしながら思うことです。
そんな素材が集まったら、そりゃ、おもしろいんですよ。
鬱病のひどい期間はあらゆる意欲がなくて、料理もあまりしていませんでした。何を食べていたのかも記憶がないけれど、なんとかスローモーションでも踊っていた。そんな動画がYouTubeに積み重なっているのもふりかえってみると不思議です。
タップ板を磨く
音という環境に左右されるものを表現としていて、私が頼りにしているのはタップシューズと無垢材タップ板です。これらは状態の変化で音がかわります。
靴は履き慣れていくほどに表現力を増し、板は傷が増えるほどに響きを失ってしまう。なのでなるべく板を傷つけず、軽い力で音を引き出すように踏んでいます。(これは私の場合です)
このことは身体の磨耗とも関連していて、年を重ねて踊り続けるための技法でもあります。

板を磨いてつやつやにすると、音は変わります。
これも私にできる下ごしらえのひとつです。
私と、私の表現の相棒であるシューズと板が、いつもよい状態でいるように、毎日を積み重ねていくのです!
2025年も、どうぞよろしくお願いします!!!
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