「ルーツは何ですか?」という問い
8月に入るとさすがに暑いですね。油断していました。
そういえば実は先週から、odolのInstagramアカウントに、#ソフ写真館というタグのついた写真がアップされています。ハッシュタグの通り、撮影したのはodolのベース、シェイク ソフィアン。
そして、今回のnoteのヘッダーも彼が撮影してくれたものです。
「ミゾベのnote」、第7回ではギターの井上(イノさん)と出会った頃のことを振り返ったのですが、今回はベースのソフィアンとのことを話そうかと思います。
ソフィアンとの出会い
ソフィアンと初めて出会ったとき、まだ彼は高校生でした。当時、僕にとっては大学の友人だったギターのイノさんのバンドのライブに行ったとき、そのバンドでベースを弾いていたのが他でもない、ソフィアンです。最初に話したことってなんだったんだろうな…。おそらく「シェイク」と「ソフィアン」どっちが名前でどっちが苗字なのか、だった気がします。笑
(2019年10月 髭を剃る前のソフ、僕は髭ある方が好き)
当時イノさんとソフィアンがやっていたバンドについては、いわゆるハードコアを想像してもらえればわかりやすいかと思います。イノさんはラップコアって言ってたっけなー。今のodolでのプレイスタイルとは全然違ったベースを弾いていたのが印象的で、全曲と言って良いほどスラップしていたはずです。当時はまさか同じバンドを何年も一緒にやる事ことになるなんて思ってもみなかったな。
そして時は流れて、僕らは「odol」を結成しました。ソフィアンと一緒にやることになった理由は大きくふたつあって、ひとつめはイノの前のバンドのメンバーとして信頼されていたこと。そしてふたつめは、僕とドラムの垣守がodolの前に一緒にやっていたバンドを、ソフィアンが好きでいてくれたことです。自分がやっていたバンドを好きでいてくれるメンバーと一緒にやれるなんて、今思えばとてもありがたいことで、その頃の僕にとっては大きな心の支えになっていました。それに気を良くして、偉そうなこともたくさん言ってしまったことは反省しております。笑
誰かに届き始めてから
僕らはodolを結成して、今思えば、かなり早い段階でフジロックの「ROOKIE A GO-GO」に出演させていただきました。たしか5回目のライブだったんだっけ。当時はライブハウスでライブをしてもお客さんは数人、無料で配布していたdemoもほとんど貰ってもらえない中で、「ROOKIE A GO-GO」は光が差し込んだかのような出来事でした。森山から報せの電話が来た時には、飛び上がるくらい嬉しくて、大学で人目を気にせずに大声を出したのを覚えています。
(2019年12月 髭を剃ったソフ、今はこっち)
そしてその約1年後、僕らはめでたく初のアルバムを出すことに。バンドを代表してインタビューを受けさせてもらったり、ラジオで話したりしていくうちに、僕はだんだんと自分がバンドの中でフロントマンであるという自覚や、それまでと違い、誰かが自分たちのことを見ている、という意識がようやっと芽生えてきました。アルバムを出す前は、誰かに「気づいてくれ」と叫ぶように音を鳴らしていたけれど、それは作品を出すごと、ライブをするごとに誰かが「聴いてくれている」という実感に変わっていきました。そんな中、デビューをしてから一番と言って良いほどによく訊かれ、僕にプレッシャーを与えつづけた言葉がありました。「ルーツは何ですか?」という質問です。今でもそうですが、デビューをした当時からずっと、誰も聞いたことのないような、新しい音楽を作りたいという気持ちがあります。もちろん今ではなぜルーツとなった音楽があんなに訊かれるのかわかります。しかし未熟だった頃の僕には、その質問は僕らの音楽までも見透かそうとしているもののように感じていて、僕は答えをはぐらかしたり、答えることを避けたりしていました。それと同時に、自分には「これだ」と胸を張って言えるルーツはないのか、とコンプレックスを抱いていたようにも思います。
傍目から見ると、ソフィアンはそれとは違っているようでした。兄の影響でレッチリを好きになり、どんどん音楽にのめり込み、そしてベースを始めて、大学ではジャズをやって、というある種優等生コースともいえるベーシスト像。ルーツが透けて見える彼のことをときには羨ましく思ったりしたけれど、今では純粋なリスペクトに変わっています。本人には言わないけど。笑
当然ですが、バンドをやるということは、ただ一緒に音を鳴らすということではありません。その人の好きな音楽にも、音楽以外の好きなものにも、たぶん嫌いなものにも影響を受け、だからこそ一緒に音楽を作るときに、他の人ではわからないような、微妙な違いを汲み取れるのだと思います。その素晴らしさに、5年かけて、やっと本当の意味で気がつくことができてきた気がします。
おまけ
これもソフィアンが撮ってくれた写真で、今回どっちをヘッダーにしようか迷った。
バンドマンには車移動はつきものなんだけど、この大きな車に最初に乗った時は感動しました。