SEKAI NO OWARI「Tree」
2015年発売通算3枚目となるオリジナルアルバム。本作は彼らの最もな知名度を誇る「RPG」や一時期話題を大きく挙げた「Dragon Night」など有名曲が多く収録されており、セカオワ初心者にはうってつけなアルバムと言えよう。本作に対してFukase曰く「「日本の音楽シーンに合わせて、それに対応しながらやっていかなきゃいけない」という葛藤と戦いながら制作していたが、本作は「そういうことを考えずに、好き勝手に制作した」らしい。
余談ではあるが、収録されている曲の多くがアルバム発売前に発表されたシングル曲とそのカップリングやダウンロード販売されていた曲などで、収録曲の大半が既出済でどちらかというとそれらの寄せ集め+新曲を含めたベストアルバムのような印象が少しある。
更に余談だが、個人的に初めて買ったセカオワのアルバムである。
前作同様に初回限定版には2014年のライブの模様を収録したDVDが付属している。
メンバー
Nakajin・・・リーダー、音楽プロデューサー、ギター
Fukase・・・コンセプター、ボーカル
Saori・・・ショープロデュース、ピアノ
DJ LOVE・・・サウンドセレクション、DJ
収録曲
the bell
編曲 SEKAI NO OWARI、CHRYSANTHEMUM BRIDGE
曲ではなく、鐘の音のSEのみで38秒というセカオワの中で最も短い。
炎と森のカーニバル
作詞・作曲 Fukase
編曲 SEKAI NO OWARI、CHRYSANTHEMUM BRIDGE
シングル曲。ブラスバンドを用いた賑やかなで華やかなパレードソング。参加ミュージシャンはセカオワ史上最多の人数で、東京都葛飾区にある高校の当時の吹奏楽部部員の名前が一人ずつ記載されている。サウンド的にはイントロからAメロに入るまでの部分が特に好き。
歌詞は魔法使いやミイラ男などが登場する非常にファンタジー要素が多く含まれたラブソングだが、なんとノンフィクションで実在するストーリーらしい。そうなると歌詞の「この恋は秘密にしておくんだよ、さもなければこの子の命が危ない」と」の部分の意味は大体察せる。
歌詞は「悪魔のDJを観に行こうか 月のカクテルを買ってくるよ」という部分が好き。
スノーマジックファンタジー
作詞 Fukase
作曲 Nakajin
編曲 SEKAI NO OWARI、CHRYSANTHEMUM BRIDGE
シングル曲。ドラマチックなイントロから始まるポップで壮大なアレンジが施されたセカオワメロディー。曲の雰囲気は少し前曲と似ている。合間合間に聞こえてくるチェンバロの音がどこか古風チックな西洋感溢れる印象。
歌詞は主人公が冬の妖精のような女性に恋に落ちるという少し切ないファンタジーなラブソング。Cメロの歌詞が特に儚くて健気で好き。
ムーンライトステーション
作詞・作曲 Fukase
編曲 SEKAI NO OWARI、CHRYSANTHEMUM BRIDGE
セカオワの曲としては珍しい和風チックな曲で汽笛や走行する音の他に三味線や琴などの和楽器が使用されている。サビの沖縄風味のそれに近いメロディが非常に気に入っている。
歌詞は現代版かぐや姫いや、宮沢賢治が「銀河鉄道の夜」をベースにして描いたかぐや姫といった印象。
アースチャイルド
作詞 Saori
作曲 Nakajin
編曲 SEKAI NO OWARI、CHRYSANTHEMUM BRIDGE
シングル「RPG」のカップリング曲。洒落た演出のイントロから始まる「RPG」同様な壮大なサウンドに同じ「冒険」をテーマにした曲。
歌詞は子供のままではいたいけど成長したいピーターパンという感じの内容。どこか自分たちを事を歌っているようにも感じる。
「世界中の暴言非道 もしも自分に向けられても 変わらない為に僕らはいつまでも 変わり続けるよ」という歌詞が素晴らしい。
マーメイドラプソディー
作詞 Saori
作曲 Nakajin
編曲 SEKAI NO OWARI、CHRYSANTHEMUM BRIDGE
映画「海月姫」の主題歌で、メンバーが映画の撮影現場を見学したときに得たインスピレーションを元に制作された。海の中を意識したアクアリウム的サウンドが特徴の楽曲。世界に1台しかないと言われているテラシシステムという会社が制作した楽器「メラオラ」が使用されており、水の音にあたる部分はこの楽器によるものらしい。
歌詞はアクアリウムという大好きな場所に住む人魚が、人々の自己満な正義の為に海に帰されるという内容。余談だが、昔どこかの国の小人症の人たちによるプロレスを「障害者を見世物にするなんてひどい」と唱える同じくして自己満な正義を振りかざした人たちのせいで彼らが好きでやっていた事を奪った出来事と似ている…。
水族館が大好きな自分としてはサウンド面においても、歌詞のファンタジーチックな面も大好きな曲。
本作では唯一Nakajinの歌唱パートが存在し、Aメロの語り部のような部分を担当している。
ピエロ
作詞・作曲 Fukase
編曲 SEKAI NO OWARI、CHRYSANTHEMUM BRIDGE
シングル「炎と森のカーニバル」のカップリング曲でこちらも同様のブラスバンドが参加している。軽妙な低音部分のピアノとリズムマシンのイントロや、演奏のバックで聞こえるサーカスと観客の声が個人的に堪らない。
歌詞は陰ながら努力しているピエロを陰ながら見守る主人公の目線で語られる応援ソング。サビの「危ないから空中ブランコなんてしなくていいんだよ」という部分がこの曲のミソだと思う。
銀河街の悪夢
作詞 Fukase
作曲 Nakajin
編曲 SEKAI NO OWARI、CHRYSANTHEMUM BRIDGE
シングル「スノーマジックファンタジー」のカップリング曲。Fukaseの「いってきます」から始まる、雰囲気はまるで外を散歩しながら歌っているような情景を想像でき、自身の足音と外で聞こえてくる鳥の声、子供の声などが演奏とほぼ変わらない音量で聞こえてくる他の曲とはちょっと変わった構成の曲。3分25秒から聞こえてくる踏切の音がそのまま演奏に加わる部分が好きだが、ちょっと不気味にも感じた。
歌詞はFukaseの実体験を元にした曲。また歌詞とは別のサイドストーリーとして「人生を終わらせ家を出て踏切まで来るが、結局家に帰ってくる」というものがある。
Fukaseの「いってきます」「ただいま」に萌える人がいるとかいないとか。
Death Disco
作詞 Fukase
作曲 Nakajin、Fukase
編曲 SEKAI NO OWARI、CHRYSANTHEMUM BRIDGE
配信デジタルシングル曲。映画「マダム・マーマレードの異常な謎」の主題歌。アコースティックギターがフィーチャーされたディスコ調の曲。サビのダークな讃美歌のようなコーラス部分がなかなかゾクゾクする。
歌詞は自分達が当たり前と思っている事が本当に本当の事なのか、改めて問われて答えが出るのか、というアグレッシブな内容で所謂セカオワの持ち味の一つでもある闇の側面を持つ曲のひとつ。
broken bone
作詞・作曲 Fukase
編曲 SEKAI NO OWARI、CHRYSANTHEMUM BRIDGE
カートゥーンチックなスピーディーなテクノポップ調の曲。サビのびっくり箱を開けたようなSEが気が抜けた感じで好き。
当時Fukaseが左足を骨折していた為、歌詞は彼のその時の心境を書いたもの。
実は「RPG」のシングルのCDケースの中にURLが記載されており、読み込むと当時未発表曲だった本曲がダウンロードできたという所謂隠しトラックとして収録されていた。
PLAY
作詞・作曲 Saori
編曲 SEKAI NO OWARI、CHRYSANTHEMUM BRIDGE
Saoriが初めて作詞と作曲両方を担当した曲。「RPG」と同じ冒険をテーマにしているが歌詞やゲームSEのような音がちらほら登場するなどこちらは「ドラゴンクエスト」やなどの従来のゲームをかなり意識した内容。ゲーム好きにはそこそこ刺さる曲ではないだろうか。
本作では唯一Saoriの歌唱パートが存在し、Bメロを担当している。
RPG
作詞 Fukase、Saori
作曲 Fukase
編曲 SEKAI NO OWARI、CHRYSANTHEMUM BRIDGE
シングル曲でアニメ映画「クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!」のエンディングテーマ。門出を迎える若者を称えるような壮大で重圧なサウンドが特徴のマーチ調の曲。この曲を発表して以降あたりからセカオワの知名度がグンと上がり、サウンド面においても本作以降シンフォニックな曲が多く生まれてきたのでまさに彼らにとっての出世作と言っても過言ではないだろう。
作詞はFukaseとSaoriによる初の共作詞で内容はまさにゲームのRPGの主人公の冒険や仲間たちとの絆を描いている。ちなみにこの曲が出来る前にFukaseとSaoriが大喧嘩したが、色々あって仲直りした後にこの曲が生まれたらしく、そう考えながら聴くとなかなか感慨深いものがある。
「「世間」という悪魔に惑わされないで 自分だけが決めた「答」を思い出して」という歌詞が好きで、この部分のきらめいた感じのサウンドも好み。
個人的にセカオワの存在を知るきっかけとなった曲であり、彼らの中で一番大好きな曲である。
Dragon Night
作詞・作曲 Fukase
編曲 SEKAI NO OWARI、ニッキー・ロメロ
シングル曲。セカオワのドキュメンタリー映画「TOKYO FANTASY SEKAI NO OWARI」のエンディング曲。本アルバムでは唯一共同編曲にCHRYSANTHEMUM BRIDGEが参加しておらず、オランダ出身のDJニッキー・ロメロが参加しており、プロデュースを手掛けた。
サウンドは祝い事を盛り上げるようなノリノリなセカオワ流クラブDJ音楽のダンスナンバー。間奏部分で少し登場するマンドリンや木琴の音が異様に印象深い。
歌詞は第一次世界大戦に起きたクリスマス休戦(対峙していたドイツとイギリスのある軍がクリスマスを共に祝った非常に微笑ましい出来事)を意識した内容。
サビの「Dragon Night」が‘‘ドラゲナイ‘‘に聞こえる事とプラスしてFukaseがこの曲においてトランシーバーを用いて歌う姿が大衆的にはシュールに感じたのか、一時期ネットで話題になっていた。
現在所有しているアーティストCD・音源(邦楽編)
https://note.com/odmssyw/n/n4d7ea2d38165
現在所有しているアーティストCD・音源(洋楽編)
https://note.com/odmssyw/n/n9e4b10ae1dce
現在所有しているアーティストCD・音源(その他)
https://note.com/odmssyw/n/n34964b507575
現在所有しているアーティスト DVD・Blu-ray
https://note.com/odmssyw/n/n47d6b0d7eb31