P-MODEL「LANDSALE」

1980年発売P-MODEL2枚目のアルバム。内容としてはほぼ前作と同じで初期特有のピコピコサウンドが炸裂した作風となっている。本作ではメンバーである秋山勝彦による作詞作曲された曲とボーカル曲が収録されている。また、その秋山は本作をもって一時脱退する事になり初期メンツによるアルバムは本作が実質最後となる。
ちなみにタイトルはランドセルと売国奴のダブルミーニング。

メンバー
平沢進・・・ボーカル、ギター、シンセサイザー
秋山勝彦・・・ベース、シンセサイザー、コーラス、ボーカル、ピアノ
田中靖美・・・キーボード、シンセサイザー、コーラス、ピアノ
田井中貞利・・・ドラム

収録曲
オハヨウ
作詞・作曲　平沢進
ピアノとストリングスをフィーチャーした爽やかな曲で、サウンド面においては本アルバム収録曲の中で唯一異なったテイストとなっている。この曲のピアノは田中靖美が弾いている。優雅な朝を迎えるような曲調に対して歌詞は非常にもの悲しい子供の心情のような感じ。
平沢の子供っぽい歌い方で「おはよう」と「さよなら」に萌える人がいるとかいないとか。
外伝的アルバム「SCUBA」には「オハヨウⅡ」としてセルフアレンジされたヴァージョンが収録されている。

ダイジョブ
作詞・作曲　平沢進
DEVOを彷彿するニュー・ウェイヴサウンドである意味このアルバムの真の始まり的な感じ。歌詞は前作の「子供たちどうも」などのようなディストピア感全開な内容で全然ダイジョブじゃない。

「ラヴ」ストーリー
作詞・作曲　田中靖美
初期P特有のピコピコサウンド全開の曲で、歌詞の印象は恋愛に縛られた男の嘆きと悲痛を歌っているように感じる所謂アンチ・ラブソングといえる。この曲の平沢の歌い方はなかなか独特で特にサビの部分の作り笑いのようなところは歌詞の男の叫び、もしくはラブに対する嘲笑いのどちらかに聴こえる。
この曲はもっと評価されるべき。

ドクター・ストップ
作詞・作曲　平沢進
この曲は平沢と演奏陣コーラスとの掛け合いが注目ポイントでおそらくP-MODELの曲の中で特に田中の声が目立つ曲といったところだろうか。そして田中節の間奏部分は相変わらず気持ちがいい。
歌詞はドクター（国の偉い人の比喩表現？）の言うことは絶対というこれまたディストピア感溢れる歌詞。
個人的にこのアルバムの中で一番好きな曲。

タッチ ミー
作詞・作曲　秋山勝彦
シンセサウンドがほどほど抑えられたロックサウンド寄りの曲で本アルバムで唯一秋山によるボーカル曲。
歌詞は要約すると、自分を見てほしいという願望が表れた切ない内容で多くの人が共感できそう。というか秋山が自身の事を歌っているような印象にも聞こえて歌い方もどこか悲壮感を感じる。でもその歌い方がかなり愛らしく感じる。

ナ・カ・ヨ・シ
作詞・作曲　秋山勝彦
引き続き秋山による作詞・作曲でボーカルは再び平沢に戻る。当時メンバー不仲説が流れていたため皮肉で作った曲らしい。
最後のサビの段々と盛り上がっていく感じで「僕達ナ・カ・ヨ・シ」がループされるが途中でぶった切ってピアノの音が2音鳴り響いて終了という不穏な感じで終わる。(・д・)ﾁｯ

ミサイル
作詞・作曲　平沢進
ミサイル発射を意識してるであろう ﾎﾟｰﾝ ｶｰﾝの音が可愛らしいP-MODELの中でも人気のある曲。後にシングルとしてレコードが発売された。
間奏のとぎれとぎれで不協和音気味のソロギターがまた味わい深い。またサビの平沢の歌い方は今にしてみればなかなかの愛嬌がある。
2010年の平沢のアルバム「突弦変異」では還弦リメイクとしてセルフカバーされた。

リトル ボーイ
作詞・作曲　田中靖美
タイトルは原爆に使用された爆弾（リトルボーイ）を小さな少年とかけているのだろうか…？サウンドは全体的に普通だが、サビ部分のシンセ音が非常に不気味に聴こえてくる曲。深く考察するとちょっと恐ろしい曲かもしれない気がする。

I AM ONLY YOUR MODEL
作詞・作曲　平沢進
ほぼサビしかない曲で田中氏のキーボードプレイがかなり炸裂した曲。間奏部分ではちゃっかり前作に収録されていた「サンシャイン・シティー」のフレーズを弾いちゃうひょうきんさ。
歌詞はおそらくP-MODELのミーハー寄りなファンの事を歌っていると思われる。

ワン ウェイ ラヴ
作詞・作曲　平沢進
軽妙なギターサウンドが特徴の曲。タイトル通り片思いを歌っており、どちらかというと束縛気味な印象の歌詞。
間奏のギターとキーボードの並走みたいな部分が好き。

異邦人
作詞　平沢進
作曲　平沢進、田中靖美
平沢と田中の共同作曲で、前身のマンドレイク時代からある曲をテクノポップ色にアレンジを施され、ところどころ前面に出てくるシンセの音が今聴くとまさに80年代の歌謡チックなレトロチューンな雰囲気が漂う。
歌詞はこれまたディストピア寄りで非常に暗い未来を暗示したようなネガティブな内容。割と個人的にはサウンド含めて堪らない曲。

地球儀
作詞・作曲　秋山勝彦
ラストを飾るのは秋山曲。曲数が足りないということで急遽作られた曲でそうした事情も兼ねてか、サウンド事態はビリビリの電子音と単調なドラムのリズムと軽く口ずさんだようなボーカルも合わさって全体的にチープな印象の曲。どことなくゴジラのテーマに似てる。

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