NiNa「NiNa」
1999年発売、メンバーはJUDY AND MARYのYUKI、アメリカのニュー・ウェイヴバンドB-52‘sのケイト・ピアソン、四人囃子やPlasticsなどのメンバーで数多くのアーティストの音楽プロデューサーを務めた佐久間正英、同じく佐久間とPlasticsのメンバーだった島武実によるグループ。NiNaとは、YUKIが27歳の時に結成された事に由来する。きっかけは佐久間がPlastics時代に親交深めたB-52‘sメンバーのケイトと一緒に音楽活動ををやりたいと思っていたところOKが出たため島武実と共にスタートし、自身がプロデュースをしていたJUDY AND MARYがちょうど活動休止していた為佐久間がYUKIを誘い、NiNaを結成。活動していたのは1999年だけでシングル2枚とそれらも収録された本アルバムが唯一の作品である。
収録されている9割近くが英語詞によるもので、海外で活動する事を意識していたらしい(実際は各々の所属レコード会社の違い等で実現せず、日本国内だけでリリースとツアーを行った)。
佐久間正英とトム・デュラックによる共同プロデュース。
メンバー
YUKI・・・ボーカル
ケイト・ピアソン・・・ボーカル
佐久間正英・・・プロデューサー、ギター、ベース、キーボード、プログラミング
島武実・・・コンセプト、ビジュアルエージェントプロヴォケーター
ミック・カーン・・・ベース
スティーブ・ウルフ・・・ドラム、パーカッション
収録曲
Take 27
作詞 Kate、Yuki
作曲 NiNa
編曲 Masahide Sakuma、NiNa
30秒のジングル的な曲で、サウンドはシンセベースとドラムマシンのテクノサウンドで歌詞は「Hello Everyboby nice to meet you we`re NiNa」のみ。実はこの歌詞はこのアルバムに収録されている「Route 246」の冒頭の歌詞で、つまり没テイク・・・?
Super Hero
作詞 Kate、Yuki
作曲 Masahide Sakuma、Kate、Yuki
編曲 Masahide Sakuma、NiNa
結成して最初に出来た曲。うねうねしたベースと異様に存在感が大きいたまに唸るギターが特徴のバンドサウンド。タイトル通りスーパーヒーローを歌っている曲だが、この曲に登場するスーパーヒーローは女性でワンダーウーマン的な存在かしら。最初のサビの後のメロのみ日本語歌詞のラップとなっている。
Hairspray
作詞 Kate
作曲 Masahide Sakuma、Kate、Yuki
編曲 Masahide Sakuma、NiNa
全体的にリズム感が凄くいいアメリカンテイストな曲。イントロのギターがどこか西部の荒野のガンマンの勝負時に流れる様な感じで妙に印象に残る。ヘアースプレーを使いたくてしょうがないご婦人方の心境を歌った曲。歌詞の「Willy Nilly Willy Nilly」の繰り返しの部分はなかなか歌いにくそうだ。
また、この曲以降作詞が単身の場合作詞者がメインボーカルとなっている。
Aurora Tour
作詞 Kate、Yuki
作曲 Masahide Sakuma、Kate、Yuki
編曲 Masahide Sakuma、NiNa
2枚目のシングル。バラエティ「新ウンナンの気分は上々。」のテーマソング。全体的に爽やかな感じがにじみ出ており、青空の下ドライブに非常に向いてそうな青春チックな曲。BメロCメロのみ日本語詞。歌詞は自分たちでは気づけない、忘れてしまうけど心の中にオーロラ(光、輝き、美しさ)があるよという事を気づかせてくれる曲だと思う。
個人的に前述通りドライブソング。日曜の晴れ間に車の中で聴きたい気分。
In The Park
作詞 Kate
作曲 Masahide Sakuma、Kate
編曲 Masahide Sakuma、NiNa
前曲の雰囲気を落ち着かせたようなテイストの曲。歌詞は公園で散歩していて周りが幸せそうにしているのを見て自分も幸せな気分になれるというポジティブな内容と捉えた。
個人的に前曲がドライブソングなら、歌詞通りにどこか大きな公園を歩きたいウォーキングソング。この曲ほどポジティブにはなれないが・・・w
Rest In Peace
作詞 Yuki
作曲 Masahide Sakuma、Yuki
アニメ「アークザラッド」のエンディングテーマ。全体的に切なげなギターサウンドが印象的なバラードソング。本バンドの曲で唯一日本語詞がメインの曲で、YUKIによる物悲しげな語りが時差挿入されている。歌詞は戦争もしくは事故か何かで親しかった人達を失った悲しみと、その人達の分も頑張って生きていこうという詩的な曲。「青い花が揺れてた。5月の雨にそっと濡れて揺れていたの。」という歌詞が好き。
全体的に暗すぎる歌詞とサウンドが逆にちょっと堪らなかったりして、個人的にこのバンドの曲の中で一番好きな曲。
Hashi Yasume
作曲 Masahide Sakuma
本作唯一のボーカル陣が一切参加していないインスト曲。タイトルはそのままの意味で「箸休め」で小休止的な曲である。ヒップホップ的なリズムに意味深なピアノの音が途中から混ざり合う。
Route 246
作詞 Kate、Yuki
作曲 Masahide Sakuma、Kate、Yuki
編曲 Masahide Sakuma、NiNa
駆け巡るようなスピーディーで明るいサウンドが特徴。歌詞は国道246号線のひどい渋滞みたいに忙しい自分が意外と好きという内容だと思う。これもドライブになかなか良さそうな曲だ。
Happy Tomorrow
作詞 Kate、Yuki
作曲 Masahide Sakuma、Yuki
編曲 Masahide Sakuma、NiNa
1枚目のシングル曲。ドラマ「彼女たちの時代」とアニメ「アークザラッド」の主題歌なのだが、同時期にダブルタイアップという今では考えにくい扱いだった。全体的に爽やかなトゥルーエンドチックな雰囲気が特徴で歌詞もとにかくポジティブ思考で頑張っていこうという応援ソング。間奏のギターソロがまた堪らない
ドラム(そうる透が担当)以外の音は佐久間による演奏らしく、ミック・カーンとスティーブ・ウルフは参加していないと思われる。
Old Delhi
作詞 Kate、Yuki
作曲 Masahide Sakuma、Kate、Yuki
編曲 Masahide Sakuma、NiNa
何かちょっとしたバトルが始まりそうな熱いサウンドが特徴。わざと音を外しているようなイントロが印象的。歌詞は辛いカレーが食べたいという内容。タイトルはそういう事か。
I Remember You
作詞 Kate
作曲 Masahide Sakuma、Kate
編曲 Masahide Sakuma、NiNa
サウンドは「Rest In Peace」とほぼ同じメロディで新たにギターサウンド等が追加されているのでアディショナル的な立ち位置の姉妹作といえよう。こちらは全編英語詞で歌詞の内容も「Rest In Peace」と大体同じだがこちらは語りパートが存在しない。
Film
作詞 Kate
作曲 Masahide Sakuma、Kate
編曲 Masahide Sakuma、NiNa
どこかアジアンに近いテイストのサウンド。歌詞はおそらく人生を映画に例えているような内容で、美しい自分にピックアップして輝きたいというような詩となっている。非常に前向きな歌詞である。
When I Ask You
作詞 Yuki
作曲 Masahide Sakuma、Yuki
編曲 Masahide Sakuma、NiNa
スローテンポなナンバーで最終曲だからかどこか哀愁感ある落ち着いたサウンドに仕上がっている。歌詞は大好きな人が自分といつまでもいてほしいという願いがこもった客観的に見て若干片寄り気味なラブソング。アウトロの叫びのようなギターがいい。
名残惜しい感じでアルバム及びNiNaが幕を閉じる。
個人的にはメンバー陣の豪華さも相まってこのアルバムの完成度が高いのでこのままもう少しだけでも続いていればよかったのになぁと改めて全曲を聴いて思った。
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