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P-MODEL「Big body」
1993年発売通算9枚目のアルバムで所謂解凍期メンバーによる2枚目のアルバム。サウンド面においては前作とほぼ同じ電子音が飛び交うサイバーパンクなテクノサウンドが本作でも引き続き展開される。アルバム自体は小説家シアドア・スタージョンの小説「人間以上」をモチーフにしているらしい。
本アルバム発売後再びP-MODELは活動を休止し、平沢以外のメンバーが総入れ替えとなる。
ジャケットの彼は平沢が当時Amigaで制作した「ビッグ・ボディくん」という名前らしく、ある意味この時期のP-MODELを象徴するキャラクターである。
メンバー
平沢進・・・ボーカル、ギター、シンセサイザー
秋山勝彦・・・ボーカル、キーボード、コーラス
ことぶき光・・・ボーカル、キーボード、コーラス
藤井ヤスチカ・・・エレクトリックドラム
収録曲
CLUSTER
作詞・作曲 平沢進
開幕は平沢の雄叫びのようなシャウトから始まるシーケンサーの音が目立ったバリバリの心地よいテクノサウンド。
Clusterは集まるという意味なのでP-MODELに集まるファンの事を歌っている?のだろうか。
CHEVRON
作詞・作曲 平沢進
フランスの車の会社シトロエンのエンブレムからインスパイアされた曲で、シンセストリングスの音色がちょっと爽やかな印象を受けるなんだか晴れ間をイメージしちゃうようなドライブや散歩に合いそうな曲といった感じ。2分08秒からのギターソロとソロ終わりの名残惜しい感じでフェードアウトするのがまた良い。
2010年には平沢のセルフカバーアルバム「突弦変異」にて還弦アレンジされたヴァージョンが収録されている。
BIIIG EYE
作詞・作曲 平沢進
何回も登場する平沢の「ア‘‘ァ‘‘ア‘‘ーーー」という怒号のような声(歌詞の「I‘M SCREAMING」はこれを指しているのであろう)が非常に印象的な高速テクノナンバー。この曲でも炸裂したギターソロが登場する。
ちなみに2006年の平沢のライブ「LIVE 白虎野」の「Bonus Spot」で使用された曲に似ているがおそらくアレンジと思われる。
BIG FOOT
作詞・作曲 平沢進
タイトルのBIG FOOTはUMAの方でなくBIG「大きい」FOOT(足)という意味であろうな。人の声をサンプリングして作ったようなシンセサウンドが特徴のテクノナンバー。1分34秒からの鉄か何かを切るような音はギターなのかシンセなのかは分からない。
「聞こえてる 憩える声」の部分の声の響かせ方が妙に好き。
時間等曲率漏斗館へようこそ
作詞・作曲 平沢進
タイトルはカート・ヴァネガットの小説「タイタンの妖女」の引用。アシッド・ハウスを取り入れた高速テクノサウンド。特に間奏の突っ走る様な耳心地が良いサウンドはテクノ好きには果てしなく堪らない曲であろう。
歌詞は何かしらの分野の専門用語らしきものが登場していて正直全く理解できないが何かの注意書きもしくは説明のような内容となっている(前作収録の「PSYCHOID」にテイストが少し似ている)。サビの畳みかけるような「最後にシンクロ サマーディ サマーディ」が好きで2回目からのサビから前述の間奏に入るまでの流れが最高に気持ちがいい。
個人的にこのアルバムの中で一番好きな曲である。
JOURNEY THROUGH YOUR BODY
作詞・作曲 秋山勝彦
ここから3曲の流れは他メンバーによる作曲がメインとなる。ここまでの流れの勢いを一気に抑えたようなスローテンポで全体的に暗めなテイストのインスト曲となっている。
秋山によると大学で学んだ人体解剖と映画「ミクロの決死圏」をイメージした楽曲らしい。また、元々ボーカル曲として制作していたがレコーディング時にインストに変更されてしまったらしく、ボーカルヴァージョンはライブアルバム「Pause」に収録されているライブ版でしか聴くことはできない。
幼形成熟BOX
作詞・作曲 ことぶき光、平沢進
テンポが当バンドの中でも特段に早い曲でことぶきが唯一メインボーカルを務める曲。ひょうきんな感じのちょっと可愛らしい声をしている。
歌詞はなんかドラッグ的な内容という印象を受けちゃったんですが…。サビの「脳髄から 脳髄から 脳髄から分泌」はかなりインパクトがあるサビだ。
ことぶきは後に自身のソロアルバム「Desk Top Hard Lock」にてセルフカバーしており、最初に曲の印象とは真逆の静かなイントロ部分から急に(人によってはビビる)強引気味に入る。特にアレンジは変わっていないが歌詞は微妙に変わっている。
BURNING BRAIN
作詞・作曲 秋山勝彦
ドラマチックなテクノサウンドが特徴で、本アルバム唯一秋山によるメインボーカル。3分17秒からの訴えかけるような感じのアウトロが堪らない。
歌詞はおそらく妖艶の幻想に彷徨った男性を歌っている様子。何かもの悲しさが出ている。
前作の秋山曲でも感じたがこの頃は以前に在籍していた時代に出した「タッチ・ミー」などのようなはっちゃけた感じではなく、高橋幸宏を彷彿するような色気を醸し出した歌声に全体的に大人しめの作風になっている。
BINARY GHOST
作詞・作曲 平沢進
歌詞はタイトルの単語のみ(Amigaが所々何か喋ってはいるが)でほぼインストに近い曲。聴いていると何か不思議な感じと不安な感じが入り混じった感覚に襲われる。
後に改訂期でメンバーとなる福間創がアルバム発売と同年である1993年に行われたP-MODELの曲をファンがカバーするイベント「Form Errors of P-MANIA! Vol.3」に「スレイブマシーン」というバンド名で出場してギターとボーカルを担当している(審査員からの評価は辛口気味だったがw)。
HOMO GESTALT
作詞・作曲 平沢進
解凍期のフィナーレを飾る曲でもある故か、トゥルーエンド感を感じる曲で、タイトルは前述の「人間以上」に出てくる単語でこのアルバムの表題曲といえる。
サビの部分のバックのコーラスが地味に好き。
現在所有しているアーティストCD・音源(邦楽編)
https://note.com/odmssyw/n/n4d7ea2d38165
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