電気グルーヴ「TROPICAL LOVE」
2017年発売。前作ミニアルバム「25」から3年ぶりのアルバム。アルバムの96%がAppleのiOS「GarageBand」で作られており、仮歌もMacBook Pro内蔵マイクが使われており、中にはそのまま使用された物もある。
タイトル通り全体的にトロピカルな雰囲気が醸し出しており、コンセプトアルバムのような作りになっている。
初回限定版にはDVDが付属し、2016年に行われたツアー「お母さん、僕たち映画になったよ。」のライブ映像が副音声付きで収録されている。
同年7月には本作のインストアルバム「TROPICAL LOVE LIGHT」が発売されている。
このアルバムを初めて聴いた時、電気の新たなる新境地を感じた。
メンバー
石野卓球・・・ボーカル、プログラミング、シンセサイザー
ピエール瀧・・・ボーカル、瀧
※歌詞カードにはメンバーの記載がなかったので担当に関しては憶測で書いてます。
収録曲
人間大統領
作詞 石野卓球、ピエール瀧
作曲 石野卓球
ジャングルの奥地のSEから始まる瀧がメイン独唱曲。ちょうどアメリカでドナルド・トランプが大統領に就任したのが(比較的に悪い意味で)話題になっていたのでそれに影響されて作られたのかもしれない(PVに明らかに彼に扮しているような人物が司会役で登場している)。そう考えるとかなり皮肉めいた歌詞に聞こえてくる。ロックバンドRIZEのベーシストKenKenが本作にベースで参加している。
東京チンギスハーン
作詞・作曲 石野卓球
ドラマチックなサウンドが特徴。サンプリングが多い曲で、ギターウルフの楽曲「涙のタイムマシン」、元メンバーの砂原の名言「ケラさん逃げて!」、卓球に瀧を紹介してくれた友人による「最高」がちょくちょく登場する。アルバム「VOXXX」収録の「エジソン電」等に登場した女性ボイスも垢抜けた感じで久々に登場している。
顔変わっちゃってる。
作詞 石野卓球、ピエール瀧
作曲 石野卓球
軽妙なリズミカルなポップ調の曲で地味に癖になる主旋律のリズムがツボ。電気で顔に関する事は基本瀧にが多いので瀧に関する歌詞なのだろうか…?2分22秒で登場する中華風のBGMのサンプリングが味が出て良い。あまり全面に出てこないギターサウンドがこれまた味わい深い。
プエルトリコのひとりっ子
作詞・作曲 石野卓球
言葉の語感が異様に気持ちがいいトロピカル風味なアシッド・ディスコ調のの曲。ボーカルは電気の2人と歌手のトミタ栞が歌っている。あちこちで鳴り響く電子音が堪らなく、電気の名器の1つであるTB-303も大活躍。
柿の木坂
作詞・作曲 石野卓球
明るい曲調の中にどこかもの悲しさが混じるような感じの曲。東京の目黒区にある町の事だろうか、歌詞は妙にもの悲しい雰囲気。
歌詞があるのは前半のみでそれ以降は軽妙なリズムが続く。その間卓球が何かしら歌っているが何を言っているかは聴きとりづらい。
Fallin`Down(Album Mix)
作詞 石野卓球、ピエール瀧
作曲 石野卓球
シングル曲。サウンドは宙を舞っているような感覚のような爽快感な曲。表記通りシングル盤とはかなりミックスが異なっており、独特なベース音が追加されているほか原曲のCメロの歌詞がイントロにいきなり登場しそのフレーズも間奏部分等々にちょくちょく登場。
個人的にはシングル盤の方が宙に舞ってる感が強くてそちらの方が好み。
ユーフォリック
作曲 石野卓球
インスト曲。タイトルを直訳すると‘‘UFOに夢中‘‘。「Fallin`Down」同様宙に舞ってるような感覚の曲で、個人的に何もない草原の中誰しもが想像する円盤UFOが飛んでいくイメージが浮かぶ。3分04秒からの音数が段々少なくなる感じからのその後の戻るような盛り上がり(例えるなら「虹」の間奏のような部分)が特に好き。7分46秒と少々長い曲だが不思議と飽きが来ず、聴いていて気持ちがいい。
「TROPICAL LOVE LIGHTS」にはアシッドサウンドをプラスしたバージョンが収録されている。
トロピカル・ラヴ
作詞・作曲 石野卓球
全体的に落ち着いた雰囲気の心地の良いまさにトロピカルな曲。イメージ的にはどこか静かであまり暑くもなく空もどちらかというと曇り空の夕焼けの中ビーチで1人静かにたたずむ様な風景が浮かぶ。「柿の木坂」同様歌詞があるのは前半のみで後はサウンドが主体となる。曲の後半から「あ~ややややや」という謎のコーラスが入る。
是非南国のビーチでひっそりと聴きたいそんな曲である。
ヴィーナスの丘
作詞・作曲 石野卓球
怪しい妖しい謎の妖艶さが出た吉田サトシのギターが光るフラメンコ調の曲。ボーカルは歌手で女優の夏木マリが歌っている。歌詞全体がかなり好きなのだが特に「トドのつまり もう後の祭 息は詰まり ただ血祭り」がなかなかのセンス。
割とこのアルバムの中で結構好きな曲。それにしても夏木マリに「海綿体」を言わせちゃうかw
いつもそばにいるよ
作詞 石野卓球、ピエール瀧
作曲 石野卓球
アルバムの締めは瀧の独唱曲。タイトルからしてよくあるバラードかと思いきや、電気なので当然そんな事もなくどちらかというとストーカー的な意味で捉えられる「いつもそばにいるよ」。サウンドも瀧の歌い方もどこか粘っこい感じがいやらしい。妙に嫌な余韻を残してこの曲で終了する。
曲の終わりは1曲目の「人間大統領」のイントロ前のようなジャングルSEで締める為、1曲目へとそのままループするような感じになる。何気に瀧に始まり、瀧で終わるアルバムでもある。
現在所有しているアーティストCD・音源(邦楽編)
https://note.com/odmssyw/n/n4d7ea2d38165
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