回復後のロイヤルホスト
人は追い込まれると欲望が研ぎ澄まされるものなのでしょうか。
ワクチン3回目接種からちょうど24時間後。
重怠い体をベッドに横たえながら私はずっと考えていました。
「ロイヤルホストのクラブハウスサンドとオニオングラタンスープが食べたい…!」
◇
日曜日の昼下がり。
小さい子どもを連れたファミリー、お友達同志と思しきマダム、老夫婦とロイヤルホストは老若男女で賑わっていました。
ロイホランチをご褒美に!を合言葉に回復した私は、晴れてその仲間に入れることがとても嬉しかった。
店員さんからお勧めされた「ロイヤルホスト50周年(!)洋食小皿セット」なるメニューも大いに魅力的でしたが、
布団の中で何度も何度も思い描いた「クラブハウスサンドをオニオングラタンスープセットで」を真っ直ぐに告げていました。
◇
ロイホに来るといつもドリンクバーにソワソワしてしまう。
他のファミレスではお目にかかれないような魅惑のドリンク
-バンホーテンのココアやオリジナルのブレンドコーヒー、そして忘れてはならない「パラダイストロピカルアイスティー」という甘美な飲み物達が並んでいるのです。
それらをどう効率よくいただくか、うんと計算しながらセットの到着を待ちます。
◇
メインディッシュを前にオニオングラタンスープが運ばれてきました。
小さなココットの蓋にハラリとパセリが散っている姿もまたそそられるではないですか。
そっと蓋を開けるとお目見えするトラディショナルなビジュアル!
ぐずぐずに浸されたバゲットにとろけるチーズ、そしてその下に潜む飴色の玉ねぎスープはやっぱりロイホでしか味わえません。
かのマリリンモンローも新婚旅行で来日時に食し、この味わいの虜となり、3日間通い詰めたとか!
◇
続きまして、夢にまで見たクラブハウスサンドが到着。
噛み締める毎にジュワっと滴るベーコンの肉汁にさっぱりトマト、レタスのシャキシャキ感、優しいマヨネーズがたまらない!
おまけにわんさか盛られるフライドポテトで大満足な一皿です。
◇
幸せを噛み締めながら周りを見渡すと、
厨房でテキパキと調理するシェフ
「あちらのお客様からで〜す♪」と楽しげにお父さんにドリンクバーのジュースを差し出す小さなお客様
ゆっくりと英国風パンをちぎって口に運ぶ紳士
「うちの息子ったら何度も彼女に告白してやっとOKもらえたみたいなの」と近況報告するマダム
ほんの一日前は薄暗い寝室で「回復したらロイホ…ロイホ…」と小さくなっていた私の世界は一気にひらけて、これぞお外!社会!と思ったひとときでした。
美味しく食べられる体に、美味しさを真っ直ぐに感じられる心に、感謝です。涙