続きの街から
通り過ぎてきた街の景色はよく覚えてる
活気のある商店街も
風情のある昔ながらの喫茶店も
改装前の古びた駅の改札口も
地下のライブハウスに向かう細い階段も
安くて美味い中華料理屋の赤い暖簾も
ただその街での暮らしぶりだけは
あまり思い出せない
良かったことも悪かったことも
きっとあったはずなのに
何も思い出せない
街を離れる時
住んでた部屋を引き払う時に
全て置いてきたんだろうか
たしかに関わりのあった人達の顔も
もう思い出せない
ゆらゆらと漂泊するだけの生活に
何も刻み込まれない空白の時間に
一体どんな意味を見出せばいい
ただただ転がるように生きた先に
一体何があるんだろう
何があったっていいさ
どうせ思い出せないんだから
続きの街からまた始める
ただそれだけ
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