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詩集

161
詩、ポエム、詞のタグが付いた投稿を一つにまとめたものです。
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2020年7月の記事一覧

灰の夢

灰の夢

現実
認めたくないことだらけ
ただただ耐えるだけなら
ここは仮住まいと割り切るだけ
何もなかった
そうさ 何もなかった

二度目があるかは分からないから
今を大事にできたなら
こんな風に色彩の乏しい
諦観にしがみつくこともなかった

すべて灰の夢
もう染まることのない

チアノーゼ

チアノーゼ

目が覚めた
その後の気だるさだけは
いくつになっても
そのまま
変わらない

街路樹の木々は
見慣れて
褪せてしまった
鐘が鳴ったから持ち場へ
ああ 
だるい

音が鳴る
その前のゆらぎのような
その瞬間があれば
大丈夫

通り雨が降って
頭から
濡れてしまった
風が強すぎて
後ろを向く
ああ
寒い

一瞬で飛べ
目測を誤れ

青白灯

青白灯

電気の力によって
高速で動く鉄の塊から
金属を叩くような音と
左右交互に点滅する赤い光で
私たちを遠ざけてくれる安全装置を
暗闇の中照らすにしては
あまりに不気味で異質な
青白く鈍い灯りが
街の中でも
そこだけが何か特別な場所
であるように際立たせ
その場に人が立つことを
心理的に拒否するように
誘導しようと
輝いている

黄色と黒色が交互に
配色されたしなる棒が
青い光の中
ゆっくりと降りてくる

もっとみる
いらない

いらない

リスクだけ置き去り
甘い汁すすりたい
あの人の不幸は
明日への活力

うつむく姿を
見て見ぬフリして
あの人の居場所は
明日にはもうない

いらない物はいらないと言えば
いらないことがなくなるかも

思うよりも早く
腐敗は進んで
あの人の願いは
きっと届かない

答えは知ってる
気づいてる本当は
あの人の本音は
誰より分かってる

いらない

溢落

溢落

完全なる拒絶 完璧なる虚脱
聞く耳持たず 石になる

形は終わる 気配は消える
握る手離す 影を切る

世界は暗闇 光は差す
まぶしすぎる 何も見えない

後悔だけ先立つ 恒星には遠い
開く眼見えず 霧の中

他界は実在 頭の中
冷めきってる フリしてるだけ

こぼれる朝
こぼれる夜
こぼれる夢
こぼれる人

➕➖✖️➗

いないいらない
しないしたない
ねないねたない
こないきたない

0をたして
0をひいて
0をかけて
0でわる

そないそないに
しらんしらんし
ごろんごろんと
がらんがらんどう

1をたして
1をひいて
1をかけて
1でわる

なんかのこんの
しらんしらん

ランダマイズ

ランダマイズ

得た
失った
何を
何から

見た
見てた
前を
上から

醒めない夢を見てたい

知った
忘れた
顔も
声すら

落ちた
こぼれた
するり
するりと

醒めない夢も見れない

架空のサウンドトラック

架空のサウンドトラック

目を覚ますと
鳴り始める
誰にも聞こえない
本当は鳴っていない
空気は震えていない

BPMは歩く速度
残りは頭の中

ヘッドホンは
必要ない
音漏れは決してない
本当に鳴っている
雑踏のヒスノイズ

BPMは心臓音
全ては体の中

薄暮の魔物

薄暮の魔物

夕暮れから夜になる
ほんの数分の間の出来事

仕事帰りのあの人も
酒場の前に座り込む猫も
信号待ちの高級車も
駆け抜けていく自転車も
道路工事の赤いコーンも
降りたままの遮断機も
一方通行の標識も
漫画喫茶の看板も
ただ突っ立ってるだけの老人も
下を向きながら歩いている子供も
燻んだ瞳で虚空を見つめる無表情も
誰かの幸せそうな満面の笑顔も

高層ビルの最上階から
だんだん消えていく

薄暮の魔物

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路傍の世界

路傍の世界

過去もない
先もない
今だけ
夢見る

くたびれた体と
弛緩しきった頭で
夢想する世界の
稚拙さ

熱もない
愛もない
今さえ
見送る

動かない心と
伝わらない言葉の
交錯する世界の
客人

路傍の世界
横たわるだけの世界

コラージュ

連なる言葉に
意味を持たせたくても
伝えたいことが何もない
空虚な時間の経過が招く
パズルのピースが足りない 足りない

知らないことは
忘れることもできない
からツギハギだらけ

遠くまで来たつもりになって
あたりを見渡せば
見慣れた景色もチラホラ
遠くと近くが入り乱れて
混ざり合って
痕跡はどこかにある探そう 探そう

知らないことも
忘れたことも等しく虚ろ
アザだらけ
ツギハギだらけ

正午

カーテンの向こうが少し
明るくなった頃に瞼が
重くなってそのまま眠りに
ついたような気がする

眠る前とそれほど気分は
変わるはずもなく
少しだけ上がった体温に
気持ちがついていかない正午

抜け殼
燃えかす
それすらも
はるか遠く

上下がわからなくなる
太陽はどっち?
頭上?足下?

ストーリーにだんだんと
興味が薄れていく
心の動きが鬱陶しくなる
葛藤とかもういい

薄暮の時間に見えてた

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よる

よる

通りは誰もいない 点滅 街灯
聞こえる音は空気の振動

いつまで続くかな
どこまでやれるかな

細い糸 太い糸
からまる ほどけない
引っ張るとちぎれそう
ちぎれたらほどけるか

よるのこえきこえる

ぼやけた視界

ぼやけた視界

いつからか滲んでしまった世界を
元に戻してくれたのは誰だろう
名前も知らない誰か
きっと誰かのおかげ
想いは確かに伝わる

あたりまえの世界をあたりまえに
してくれたのは一体誰だろう
ぼやけた視界の先
晴れていく世界
言葉はなくても続く

あなたが指し示してくれなきゃ
あの人の居場所もなかったかも

あなたが発明してくれなきゃ
あの人の顔見る事も出来ない

歩き回る事さえ出来ない