「説苑」から模試の話に-香川大学
今回の記事は、香川大学2016年の漢文からです。
「存亡禍福、皆在己而已」で始まります。
「存亡」は生き死に、「禍福」は幸不幸という意味です。
後半は「皆、己にあるのみ」と読みます。
生き死にや幸不幸はすべて自分に原因があるといっています。
これは漢文ですが「現代文」の形式で見ればこれについて読者を説得しようと書かれた文だと分かります。
最後に飛んでみましょう。
太甲曰「天作孽、猶可違、自作孽、不可逭」と書いてあります。
見たこともない漢字が二つも出てきましたね。
「孽」は「げつ」と読み「災い」を表すようです。
また「逭」は「のがれる」と読みます。
太甲とは書経の篇の名前なんだそうです。
「天の起こした災いは逃れることができるが自分で起こした災いは逃れることはできない」という意味になります。
どういう意味なんでしょうね。
天災からは逃れることができて、自分が起こした災いは直撃すると。
現代文もなんですが、基本的に筆者の主張が「まとまる所」までが本文に使われます。
つまり、問題提起をしてその問いに自分で答えを出したところで「カタマリ」となるわけです。
その意味でいえばこの漢文も同じような構造になっているようですね。
英語の長文の場合は一般的にこの形なのですが、大学によっては途中で終わりになることも多いです。
これは偏差値と関係しているような傾向にあります。
さて、間を見てみましょう。
ちょっと長いぞ。
ということで要点だけを書きますね。
詳しく知りたい方は「説苑の第10 敬慎」を調べてみてください。
殷で雀が烏を生みました。
スズメがカラスを生んだと書いてあります。
それはないですね。
とはいえ書いてあるので読み進めます。
このことを占い師に占わせたところ「小さいものから大きなものが生まれたということは良いことです。よい時代がやってきます。」というのです。
それを聞いた王は喜び政治を怠り最後には外敵に侵略され殷は滅びてしまいます。
単純な王ですね。
他の王の時代には桑やコウゾが朝廷内に生えてきたんだそうです。
これも占い師が「不吉な兆候」と言い、王はそれを聞きました。
王はそのことを気にして一所懸命に政治に取り組みました。
どちらの王も占い師に言われた事と逆に進んでしまいましたね。
この文章を深読みすると「模試と受験生」の関係と似ているなと思いました。
つまり夏前の模試でA判定でも取ってしまえば気の緩みから入試本番までそれほど頑張らないかもしれません。
一方、D判定でも取ってしまえば頑張るしかないのです。
話を進めると油断することで絶好の機会を失うこともあるわけですから受験生は模試で成功しても失敗しても気を緩めないように頑張るしかないんだと思います。
その意味で「冷静」に状況を分析して勉強は進めるべきだと思います。
「天の起こした災いは逃れることができるが自分で起こした災いは逃れることはできない」
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