ジャンジェーム(タイ)はイマネ(アルジェリア)にスピードで勝負~パリ五輪、女子ボクシング66キロ級準決勝
連日、各競技で熱戦が繰り広げられているパリオリンピックだが、大会9日目となる8月3日に、女子ボクシング66キロ級(ウェルター級)の準々決勝が行われ、タイ代表のジャンジェーム・スワンナペーンは東京大会の金メダリスト、ブセナズ・スルメナリを下し、銅メダルを確定させた。
タイ代表団では、これが今大会初のメダル確定である。ボクシングはタイは8人が出場権を獲得し、メダル獲得に挑んだものの、7人は既に敗退してジャンジェームが最後の砦であった。
ジャンジェームはノンカイ県代表としてアマボクシングの試合に出場しており、アセアンの大会・シーゲームスでの金メダル、世界ボクシング選手権での銀メダルなど、多くの大会でメダルを獲得してきた。昨年のアジア競技大会で銀メダルを獲得しており、パリ五輪のタイ代表入りを決めた。現在24歳で、ノンカイ県出身の初のオリンピック出場選手として地元でも人気があるようだ。
準々決勝で、前回大会王者を下して、金メダルも狙える位置に到達したジャンジェームだが、タイでは彼女の「銅メダル確定」よりも7日に控えるアルジェリアのイマネ・ヘリフ(イマネ・ケリフ)との次戦が話題となっている。
ジャンジェームは見た目は男っぽく、タイで多く見られる女性が好きなトムボーイのくくりかもしれないが、性別のカテゴリーは女性である。一方のイマネ・ヘリフは各報道をチェックしても正確な情報が掴めないが、タイの報道では、XY染色体を持つ男性(元男性)として扱われている。ジャンジェームと同じく、8月3日に準々決勝をハンガリーのアンナ・ルカ・ハモリに5ー0判定勝ちして準決勝を決めた。アンジェラ・カリーニ(イタリア)が、開始46秒で棄権した2回戦と同様、圧倒的パワーを見せつけた形だ。
ネットなどでも「ビー(ジャンジェームのニックネーム)は、もう銅メダルが確定したのだから棄権したほうが良い」という意見も多く見られるが、ボクシングタイ代表チームでは、ジャンジェームを次戦に進ませるようだ。陣営側のコメントとしては「過去にビーは、インドでの世界選手権でイマネと対戦したことがある。生理の時期ということもあり、力を発揮できずに0-5で負けたが、充分対応できていた」「イマネのパワーは怖いが、ジャンジェームはスピードで上回っており、その部分で勝負したい」と、再戦となるイマネ戦に自信がある様子だ。8月7日の準決勝に注目したい。
※追記(8月7日)「過去にビーは、イマネと同様のインド選手と対戦したことがある」としていたところですが、イマネ本人と対戦していたようです。訂正致します。翻訳間違いです。
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前回の東京オリンピックでは、ボクシング競技にタイ代表は男子1名、女子3名の合計4名が出場枠を獲得し、女子60キロ級(ライト級)でスダポーン・シーソンディーが銅メダルに輝いた。
東京オリンピックに出場していた元プロムエタイ選手のバイソン・マニコン(女子75キロ級)、元プロボクサーのジュタマース・チトラポン(女子54キロ級)の2人は、パリオリンピックの出場も叶った。しかしながら、いずれもメダル獲得はならなかった。
バイソンは初戦で敗退、元プロボクシングWBOアジアパシフィック王者のジュタマースは、初戦を勝ち抜いたものの、2回戦でモロッコのウィダットに判定負け。5人のジャッジの中でジュタマースを30-27でつけたものが2人に対し、全く逆のウィダット30-27とつけたものが1人、そして残り2人は29-28でウィダットを支持し、惜しい敗退となった。
ジャンジェームの準々決勝試合映像(見られるのはタイ国内のみの可能性あり)