クンスクレックは松田から奪還のラジャ王座初防衛に成功~2024年11月16日のRWS②
11月16日、ラジャダムヌンスタジアムで行われたRWS(ラジャダムヌン・ワールドシリーズ)興行のセミファイナル、同スタジアム認定バンタム級タイトルマッチは、王者クンスクレック・ブーンデクシアンが、挑戦者のケビン・マルチネス(スペイン)に勝利し、9月に日本の松田龍聖から取り返した王座の初防衛を果たした。
この日のRWSは三階級でラジャ認定タイトルマッチが組まれる豪華興行で、ミドル級タイトル戦では挑戦者のベテラン、ペットモラコット・ペットインディーアカデミーが、王者のジョー・ライアン(イギリス)を下し、王座交代を果たした(下記レポート)他、ライトフライ級タイトル戦では、王者のドムトーン・ルークジャオポーロントムがブーンチャイ・ソーメリットに勝利し、初防衛に成功した。
今回は、クンスクレックが初防衛を果たしたバンタム級タイトルマッチとライトフライ級タイトルマッチ、アンダーカードのヨニス対ジャガーについて紹介していく。
クンスクレック・ブーンデクシアン対ケビン・マルチネス
王者のクンスクレックはタイの東北部、コンケーン出身の19歳、今年4月のRWS JAPANでの松田龍聖との防衛戦で、まさかの王座陥落、連勝を41で止められた。しかし、9月のラジャダムヌンスタジアムでの再戦ではきっちりと松田にリベンジし、タイトルを獲り返した。戦績はこれまで82勝9敗2分。
挑戦者のケビンはスペイン出身の31歳、55勝25敗のキャリアを誇るが、今年1月にはRWSのリングでWMO世界王者などのタイトルを持つ強豪のペッシラー・ウォー・ウラチャーに、4月のRWS JAPANでは、ラジャスーパーフライ級王者の吉成名高にそれぞれ判定負けを喫している。
ケビンのラジャのバンタム級ランキングでは10位、タイトルマッチとはいえ、先に12月21日にワンチャイノイ・シッサラワットスアとのスーパーファイトが決まっているクンスクレックの調整試合の意味合いが強いか。
リングに上がると、スーパーバンタム級でも戦っているケビンの体格がひと回り大きく見える。サウスポースタイルから右ジャブを突いて、左ミドルを放ち、リズムを作り、クンスクレックに対峙する。後ほどテレビ放送を確認すると「ケビンはKO負けが少なく、なかなか倒すことは難しい」との放送席の解説だった。
1回を取ったクンスクレックだが、ペッシラー、名高と、強豪と連戦のケビンは臆することなく、ヒジ、パンチを積極的に繰り出し、2回にはケビンの左ストレートがクンスクレックの顔面をまともにとらえ、クンスクレックがピンチに至る。クンスクレックがKO負けした、RWS JAPANでの松田戦を彷彿させられるシーンが訪れた。左右パンチ、ヒジを振り回して迫るケビンに、クンスクレックはクリンチ、首相撲からのヒザで対抗、離れ際にはハイキックも放ち、ピンチを脱する。2回はジャッジ三者ともケビンを支持した。3回はクンスクレックが取るが、時折、強引なケビンのパンチを被弾することも。リングサイドでは、クンスクレックとのラバーマッチを目指す松田龍聖も見守っている。
そして最終5回、クンスクレックの左ハイキックがケビンの側頭部に命中し、この一撃でケビンはダウン。必死に立ち上がるケビン、試合は続行されるも、3‐0の判定でクンスクレックが初防衛を果たした。
クンスクレックは勝利者インタビューで「今日の出来は100点満点で、7点くらい。全然練習してきたことが出なかった。来月21日のスーパーファイトについては、今日よりも少しでもよくなるように取り組んでいきたい」と話していた。クンスクレックの次戦は、ブアカーオとの共演で、12月21日のワンチャイノイ戦となる。
ドムトーン・ルークジャオポーロントム対ブーンチャイ・ソーメリット
トリプルタイトルマッチの1試合目として行われた、ライトフライ級タイトル戦は、強豪同士の一戦、チャンピオンのドムートンはスラータニー出身、これまで71勝9敗1分、過去にオムノーイスタジアム、チャンネル7のタイトルも獲得している27歳。2月にペットヌン・ペットムエタイジムを下してラジャの王座を獲得し、今回が初防衛戦となる。挑戦者、ランキング2位のブーンチャイは52勝6敗1分の好戦績、チャイヤプーム出身の20歳、オムノーイスタジアムライトフライ級チャンピオンでもある。
初回は互いにキックを交換し合う。ドムトーンの多彩な蹴りが挑戦者を翻弄し、前蹴りで吹っ飛ばすシーンも見られ、ドムトーンがポイントを取る。2回はブーンチャイが距離を詰めて首相撲を仕掛け、積極的に攻めていく、揉み合いからのヒザ攻撃も有効、ブーンチャイのラウンド。3回、ドムトーンはブーンチャイの攻撃にも慣れたのかミドル、前蹴りで対抗しポイントを取り返す。4回もドムトーンが抑えて、そのまま最後までドムトーンが逃げ切り、初防衛を果たした。
ヨニス・アナン対ジャガー・ペットインディアカデミー
ヨニスはこれまで44勝6敗、アルジェリア系フランス人の父とタイ人の母を持つハーフの17歳、WBCムエタイスーパーフライ級王者でもある。ライトフライ級時代は石田そうまとも対戦し、判定勝ちしたこともある。兄のナビル・アナンはONEチャンピオンシップで活躍している有名選手。ジャガーは、スラータニー出身の18歳で、これまで50勝10敗。この試合はバンタム級3分3ラウンドで行われた。
ヨニスのセコンドは兄のナビル、ジムメイトでタイファイトで活躍するPTT・アピチャートファームが付く豪華布陣、しかし試合は初回からジャガーのペースで進む。パンチ、キック共にジャガーのほうがパワーを感じさせる。ヨニスが打開策を見出せないまま、3ラウンドが終了し、ジャガーが判定勝ちを収めた。
※ラジャダムヌンスタジアムで現地観戦、写真は著者撮影のものとYoutubeのWorkpointチャンネルより。
↓ ↓ ↓ 11月16日のRWS全試合(タイ国外では視聴制限が掛かる場合もあり)