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スアブラックは3連敗、クラップダムはダウン挽回して判定勝ち~ONE Fight Night 27 (2025年1月11日)
ONE CHAMPIONSHIPは、1月11日にルンピニースタジアムで格闘技のイベント、ONE Fight Night 27を開催した。このイベントの第1試合に出場したカレン族ファイター、スアブラック・トープラン9(スーブラック)は、ロシアのドミトリー・コフトゥンとムエタイマッチ、3回戦で対戦したが、判定負けを喫した。
昨年9月27日のONE Friday Fightsで、スアブラックにKO勝ちしていたクラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイはセミファイナルに登場し、ジョン・リネカー(ブラジル)とムエタイマッチ、3回戦で対戦、初回ダウンを奪われたものの、その後の猛攻で挽回し、判定勝ちを収めた。
この興行で行われた9試合のうち、スアブラックの試合、クラップダムの試合、そして、日本から参戦の和田竜光の試合をここで紹介したい。
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スアブラック・トープラン9対ドミトリー・コフトゥン
スアブラックは中堅ファイターから、ONEに参戦後に4連続KO勝ちでONE 側と本戦契約を勝ち取り、ONEドリームを叶えた28歳で、通算戦績はこれまで60勝20敗。ミャンマーからタイ中西部のペッブリー県へ避難したカレン族の暮らす、難民キャンプの出身で、その出自も併せてテレビ番組などで取り上げられることもある。
しかしながら昨年、ONE参戦後の連勝は6でストップし、ここ2戦は手痛いKO負け。昨年6月のキアムラン・ナバティ(カムラン・ナバティ、ロシア)との試合では初回失神KO負け、さらに9月にクラップダムにも3回KO負けを喫して、後がない状態である。
スアブラックは試合に掛ける意気込みをONEのSNSページを通じて、次のように語っていた。「リングに戻って、勝利することを決意しました。私は2連敗中ですが、3試合目でまた負けたくはありません。以前と同様にすべての戦力を備えたバージョンで力を見せたい。ヒジの攻撃(ヒジでKOを連発していた)も繰り出して、最善を尽くすことを約束します。良い状態を取り戻し、関係者やファンからの信頼を取り戻さなければならない」
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また、最近の状況については、SNSで2連続KO負けした彼を厳しく言うファンが多く、精神的に追い込まれたともコメント、しかし、一緒に練習するスーパーレックやスーパーボンのアドバイスで、リラックスすることができたという。
スアブラックの対戦相手のドミトリーはロシア出身の27歳、元ルンピニー王者でONEフェザー級で活動するシッティチャイが所属している、バンコクのシットソーンピーノンムエタイキャンプで練習をしている。11月にONEのリングでノンタチャイ・ジットムアンノンに2回KO負けしており、スアブラックと共にこの試合が復帰戦となる。詳しい戦績は不明だが、5歳から空手を始め、プロのムエタイ(キックボクシング)は13戦、ONEでは1勝1敗となっている。
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リング上で対峙する二人は、同じバンタム級(ONEバンタム級=65.8キロ上限)だが、身長ではスアブラックより8センチ高い、178センチのドミトリーが上体も発達し、ひと回り大きく見える。共にサウスポー。初回、ドミトリーはガードを高く、ぎこちない右ジャブを突いて前進する。スアブラックは下がりながら一撃必殺の左カウンターのパンチ、ヒジを狙っていくが、なかなか決まりそうに見えない。時折、揉み合いになり、組みヒザを交換し合い、スアブラックがドミトリーを投げる。
ややスアブラックが優勢に見える中で、2分10秒過ぎにドミトリーの左ヒジがスアブラックの右側頭部に命中すると、スアブラックは腰からキャンバスに落ちるダウン。立ち上がったスアブラックはダメージも残っている様子だが、ラウンド残り30秒を首相撲と、ガードでドミトリーの追撃をこらえて、インターバルに逃げ込んだ。
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2回もドミトリーは右ジャブを突いて前に出る。右ジャブから左ヒジの攻撃パターンが多い。ローキック、前蹴りも少ないが出していく。応戦するスアブラックは右目を切って流血、顔が血に染まる。
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3回の序盤、スアブラックの左ローキックからの左カウンターという得意パターンでの攻めも見られるも、ドミトリーのしつこい前進と左ヒジ攻撃は止まらず。組み合ってからの離れ際のヒジ攻撃も効果的な様子。そのまま試合は判定決着となり、ドミトリーの判定勝ちとなった。
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スアブラックは試合後「私は戦い続けます」とSNSを通じて、ファンにコメント「昨日の戦いについては以前より良くなっていますが、それは十分ではありません。応援ありがとうございます、また勝てなくてすみません」とした。初回のダウンがあったが、何とか立て直して判定まで粘ったが、第1試合での再出発となった試合も落とし、3連敗となったスアブラック、ONEで引き続き試合を組まれるのか、今後も注目していきたい。
クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ対ジョン・リネカー
クラップダムは元ルンピニースタジアム認定ライト級、スーパーライト級王者、2018年には来日し、REBELSで梅野源治にKO勝ちしている。通算72勝20敗、ONEでは前戦でスアブラックをKOするなど、8勝(5KO)5敗の戦績となっている。一方のリネカーはMMAで37勝11敗、UFCなどで活動の後にONEに移籍し、ONE世界MMAバンタム級王座を獲得したこともある34歳、昨年1月のONE日本大会で青木真也と対戦し、敗北した後にムエタイに転向し、2戦2勝(2KO)を記録している。
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元ルンピニー王者でもある、クラップダムの圧勝が予想されたこの試合、ゴングが鳴ると160センチと身長ではクラップダムより8センチ低い、小柄なリネカーが飛び上がるように左右フックを振って前に出る。まだ様子見のクラップダムに連打を繰り出し、最後は左アッパーをクラップダムの顔面に突き上げて開始40秒でまさかのダウンを奪った。
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立ち上がったクラップダムはまだダメージも残っている様子で、リネカーの追撃に腰が落ちかけるが、サウスポースタイルからの右左ワンツー、左ストレートがリネカーの顔面を捉えて、リネカーがふらつく。左ミドルなど交えて猛攻を仕掛けるもリネカーを倒すことができないまま初回は終了、2回、3回とクラップダムは左ミドルキック、左右パンチ、組みヒザなどでリネカーを沈めようとするも、初回同様に思い切り振ってくるリネカーの反撃で最後まで仕留めきれず、判定決着となった。
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スコアカードは初回のダウンにより、初回は10‐8でリネカーに付けられ、3者ともに28‐28のドロー採点となっていた。しかし、原則引き分けのないONEではジャッジの判断で、優勢点を付けて勝敗を決める。この優勢点をクラップダムが獲得し、判定勝ちとなった様子だが、「すっきりしない判定だ」「2人は再戦の必要がある」など、タイの ONE CHAMPIONSHIP ファンからも厳しい意見が寄せられ、一般紙のバンコクポストでも紹介されている。
和田竜光対サンジャフ・ザキロフ
和田は2018年より参戦したONEでは6勝5敗、MMA通算26勝12敗2分の36歳、ウズベキスタン出身のザキロフは21歳、MMAは12戦全勝でONEでは3勝をあげている。昨年3月には日本の本田良介に2回KO勝ちしている。
5分3ラウンドのMMAマッチ(ONEストロー級=56.7キロ)で行われたこの試合は、当日の第4試合に組み込まれた。スアブラック対ドミトリーのムエタイマッチから、澤田千優対メン・ボー戦、アーロン・カニャルテ対エンク・オルギル・バータルフー戦とMMAの熱戦が続き、会場も暖まったところでの和田対ザキロフ戦となったが、この試合も和田が最後までザキロフに食らいついて、好試合となった。
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しかし、ザキロフのヒザで和田が金的への被弾を繰り返すハプニングが起こる。特に2ラウンドの3度目の被弾は、休憩から試合再開後の和田の動きが急に悪くなったように見えた。和田のバックを取ったザキロフは足四の字ロックで和田を固定し、背後から和田の顔面の狙って、打撃を放つ。必死にガードする和田だが、顔面の痛みもひどくなる。なんとか2回終了ゴングまで堪えた和田、3回は挽回を狙って前に出続けるも、ザキロフの打撃も多彩で、左ジャブ、左アッパーなど反撃を喰らう。試合の判定は、ジャッジ三者共にザキロフを支持し、和田は悔しい敗戦となった。
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※ルンピニースタジアムで現地観戦、写真は著者撮影のものと一部、試合映像(Channel 7のYoutube)から。