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ペットモラコットがジョー・ライアンを下し、ラジャ認定ミドル級王者に~2024年11月16日のRWS①

ラジャダムヌンスタジアムで毎週土曜に行われているRWS(ラジャダムヌン・ワールドシリーズ)だが、11月16日のRWSでは、同スタジアム認定のタイトルマッチが3階級で行われる豪華興行となった。

メインイベントのミドル級タイトルマッチでは挑戦者のベテラン、ペットモラコット・ペットインディーアカデミーが、王者のジョー・ライアン(イギリス)を下し、王座交代を果たした他、バンタム級タイトルマッチでは、王者クンスクレック・ブーンデクシアンが、挑戦者のケビン・マルチネス(スペイン)に勝利し、9月に松田龍聖から取り戻した王座の初防衛を果たした。

ジョー・ライアン対ペットモラコットは”スーパーファイト”の扱いとなった。

また、ライトフライ級タイトルマッチでは、王者のドムトーン・ルークジャオポーロントムブーンチャイ・ソーメリットに勝利して防衛を果たした。

ペットモラコットとクンスクレックは、今年日本のリングにも上がっており、日本のファンにもお馴染みの選手と言える。今回は、ペットモラコット王座獲得と、前チャンピオンとなったジョー・ライアンの弟、カール・ライアンの試合について紹介したい。


ジョー・ライアン対ペットモラコッド・ペットインディーアカデミー

ラジャ認定ミドル級王者のジョー・ライアンはイングランドのリバプール出身の20歳、プロ17戦16勝1敗、昨年12月にペッチマイ・ソーコ―レークワッタナを下し、ラジャダムヌンスタジアム認定ミドル級王座に就いた。4月にRWSのリングで初防衛を果たして、今回が2度目の防衛戦となる。

今年8月にはスコットランドのグラスコーで、日タイハーフのベッカム・ビッグウィンチャンピオンジムに勝利し、WBC世界ムエタイミドル級王座を手に入れた。同時にWMO世界ミドル級王者でもある。17歳の弟のカール・ライアンはウェルター級で、これまでの戦績は8勝1敗、この日のRWSプレミアムバウトでオスカー・デ・キャンパス(フランス)と戦い、判定勝ちを収めている。

挑戦者のペットモラコットはウボンラチャタニー出身の30歳、元ルンピニー王座二階級制覇のベテランで200戦(171勝38敗2分)を超える経験と実績では、大きくチャンピオンのライアンを上回る。ペットモラコットは、かつては、所属するペットインディープロモーションが撤退した、ONEチャンピオンシップにも参戦しており、2020年には初代のONE世界ムエタイフェザー級王者となった。2022年9月に現王者のタワンチャイ・PKセンチャイに敗れて、ONEの王座から陥落した。

入場前のペットモラコットとジョー・ライアン。
呉越同舟の状況。

その後、RWSに参戦し、昨年のRWSスーパーウェルター級トーナメントではシャドウ・シンハマウィンヨーウィチャ・ポーブーンシットのチャンピオン経験者を下すも、準決勝で昨年優勝のタナンチャイ・シットソンピーノンに敗れた。今年は来日して、シュートボクシングのリングに上がり、2月、4月と行われた海人との2連戦では1勝1敗だった。

今回は、昨年のRWSトーナメント(スーパーウェルター級、69.6キロ)や、海人戦(70キロ)よりも更に重い、最重量級のミドル級での挑戦となる。昨年のトーナメント敗退時には引退報道もあったが、結局、引退は撤回して現役を続けている。

試合はスーパーファイトとして設定され、ファイトマネーとは別に勝者ボーナス50万バーツ、KO賞50万バーツ、好ファイトボーナス25万バーツが用意された。そしてミドル級では久々のタイ人王者の誕生にムエタイファンの期待が寄せられた。

タイトルマッチは3分5ラウンド制で行われる。初回、187センチ、オーソドックスのジョーライアンがやや前かがみとなり、180センチのサウスポー、ペットモラコットに対峙する。ジャブからのミドルキック、前蹴りもスムーズでジョーのうまさも感じさせる。不敵な笑みを浮かべ前に出るジョーだが、ペットモラコットは下がりながら左ミドルキックやパンチを当てていく。ジョーの圧力が上回ったかのように見えたが、初回の採点はジャッジ3者ともが、ペットモラコットの10‐9に付けた。的確なミドルキックを当てていたところを評価されたのだろう。

ジョー・ライアンの左を外すペットモラコット

2回からもペットモラコットが下がりながらジョーの攻撃を遮断し、左ミドルキックを入れていく。ペットモラコットはキックの後や、もみ合いからの離れ際など、隙間、隙間でパンチを当てるのが上手い。ジョーの顎を跳ね上げる場面もあった。ペットモラコットは、プロボクシングでは5戦を経験して、負けなしとパンチの技術も磨いてきた。常に前に出ていくジョーの圧力も相当だが、スピードが徐々に落ち、ペットモラコットも対応しやすい様子だ。

ペットモラコットの左ミドル、そしてパンチがよく当たった
ブレイクされる両者

よく攻めるジョーだが、なかなか決定打は入れられず、ことごとくペットモラコットにブロックされる。3回を終わり、ジャッジ3者とも30‐27のフルマークでペットモラコットを支持、4、5回は逆転を狙うジョーの猛攻をペットモラコットがいなして逃げ切り、49‐46、49-46、48‐47の3‐0で判定勝ちで、王座交代を果たした。

ペットモラコットが判定勝ちでミドル級新王者に
スーパーファイト勝利者賞の盾を抱えるペットモラコット

勝利者インタビューでペットモラコットは「この試合に挑むにあたって、1か月間みっちり練習して準備しました。チャンピオンになることができて幸せです。ペットインディーアカデミーのシアボーさんやチャイワットトレーナー、先輩や後輩、ありがとうございました。ようやくラジャのミドル級王座をタイ人の手に取り戻しました」と述べていた。

カール・ライアン対マームード・ガンドール

この日の第二試合に出場した、17歳のカール・ライアンは、メインイベントに出場のジョー・ライアンの弟である。ライアン兄弟の同郷、マンチェスターのロックバンド、オアシスの代表曲、ワンダーウォールで入場のカール、オアシスを口ずさんでのリングインはリラックスしているようにも見える。スーパーライト級(63.5キロ)ながら、身長は183センチと長身、これまで6戦6勝とまだ負けを知らない。

対するはレバノン出身の28歳、マームード・ガンドール、身長は179センチでこれまで10勝1敗の戦績を残している。

カール・ライアン、階級は異なるが、髪型から何から兄のジョーとそっくり。
7戦全勝となったカール、ファイトスタイルもタイ人受けしそう。

3分3ラウンドで行われた試合、サウスポーのカールは右と左の違いがあるが、兄のジョーのコピーのように見える。強気にパンチを繰り出して、マームードに攻めかかり、ポイントをピックアップしていく。前蹴りや、左ミドルキックも印象的だ。3回終了間際には右ミドルから右前蹴りの二連打と、連続攻撃でマームードを後退させ、ダメ押し。判定勝ちを飾った。

この日行われたラジャバンタム級タイトル戦のクンスクレック対マルチネス戦、ライトフライ級タイトル戦のドムトーン対ブーンチャイは次回記事にてレポートする。

※ラジャダムヌンスタジアムで現地観戦、写真は著者撮影のものとYoutubeのWorkpointチャンネルより。


↓ ↓ ↓ 11月16日のRWS全試合(タイ国外では視聴制限が掛かる場合もあり)


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