ソムラッサミーが薄氷の勝利、松田龍聖とクンスクレックが再戦に向けフェイスオフ~2024年8月24日のRWS
バンコクのラジャダムヌンスタジアムで8月24日に行われたRWS(ラジャダムヌンワールドシリーズ)興行では、現ラジャダムヌンスタジアム認定バンタム級王者のソムラッサミー・マーノップムエタイジムが登場し、マリア・エドゥアルダ(ブラジル)と3回戦を戦った。
現在RWSでは、毎年恒例となったトーナメントを5階級で開催しており、女子バンタム級もその階級のひとつにあたる。まず、ソムラッサミー、マリアを含む8人の上位選手がA、Bと二つのグループに分かれ、グループ内で総当たりの第一ステージを戦う。第二ステージはA、B各グループの上位二名が進出し、四人での勝ち抜きトーナメントとなる。
24日のソムラッサミー対マリアは第一ステージの二戦目として行われたもので、ソムラッサミーは7月13日の一戦目はカラケッド・クルエンドゥームコマンドジムに判定勝ちしている。ソムラッサミーは昨年の女子バンタム級、一昨年の女子フライ級のトーナメント優勝者であり、今回はトーナメント三連覇を狙う。
一方のマリアは3月にRWS初参戦、初戦は判定負けだったものの、5月にはソムラッサミーと女子バンタム級王座決定戦を争ったこともある、強豪のセヴゥギ・ヴェノムムエタイ(トルコ)と対戦し勝利した。この試合、マリアは1ラウンドに左縦ヒジでダウンを奪い、番狂わせの判定勝ち。今回のトーナメント進出を決めた。トーナメント第一戦はメイリー・コンシッタムエタイと対戦し、1ラウンドに右フックでダウンを奪った。しかし、2、3ラウンドはメイリ―にポイントを取られ引き分けた。左右のパンチとヒジを振り回すアグレッシブなスタイルは危険を感じる。
ソムラッサミー対マリア戦は、第1ラウンドはマリアの攻撃をかわして、ややソムラッサミーが優勢。ジャッジが三者ともソムラッサミーを支持した。しかし、続く2ラウンドに波乱。マリアのストレートがきれいにソムラッサミーの顔面を捕らえて、後退、逃れようとするソムラッサミーだがマリアの大振りのパンチで腰が落ち、ダウン寸前に追い込まれる。Kー1などのキックボクシングでは、ダウンを取るところもあるだろうが、ムエタイは、実際にリングに着地しないと、なかなかダウンを取らない。2ラウンドは、嵐のような攻撃を見せたマリアの優勢が明確で、ジャッジは三者とも10-9でマリアを支持した。
このままマリアが押し切る展開も予想できたが、RWS15連勝中の女王ソムラッサミーは、第3ラウンドはなんとか立て直した。キックの数の多さ、試合のコントロールでソムラッサミーがこのラウンドを押さえて、やや優勢。そのまま試合は終了、ソムラッサミーが判定勝ちを収めた。
試合の印象としては、パンチ数が多く、2ラウンドにダウン寸前に追い込んだマリアが勝利と見る人も多いようで、SNSでは、タイ人ファンからもマリアの明確な勝利だ、ソムラッサミーは守られている、などの厳しい意見もあった。
従来のムエタイではパンチよりもキックのヒット数をより有効点として取る傾向にあるが、RWSでは「パンチもキックも同じく有効打としてカウントし、よりアグレッシブにいくほうにポイントを付ける」とルールミーティングで説明されるようだ。しかしながら採点基準は統一されていないようにも思える。
この日行われたBブロックのもうひと試合は、メイリー・コンシッタムエタイ対カラケッド・クルエンドゥームコマンドジムで、メイリーが試合をコントロールして、判定で完勝した。9月28日の次戦では、ソムラッサミー対メイリー、マリア対カラケッドの組み合わせで第1ステージの三戦目が行われる。現在は、ソムラッサミーが2勝(6ポイント)、メイリ―が1勝1分(4ポイント)、マリアが1敗1分(1ポイント)、カラケッドが2敗(0ポイント)となっている。
8月17日にはAブロックの第1ステージ二戦目が行われているが、ランキング1位で、ソムラッサミーの対抗馬の言えるバーバラ・アギラ―(ブラジル)がランキング11位のマリー・ルーメット(エストニア)に番狂わせの判定負け。マリーは4年前にソムラッサミーにKO勝ちしたことのある実力者だが、昨年までONEチャンピオンシップに参戦して、2勝3敗(ONEでの戦績)と低迷していた。
また、24日のRWSでは、9月21日のRWSで再戦が決定したラジャダムヌン認定バンタム級王者の松田龍星と、前王者のクンスクレック・ブーンデクシアンがリングに上がり、フェイスオフ、共に自信があるようで、楽しみな一戦となる。この試合はクンスクレック対ペットサヤーム戦、クンスクレック対クマンドーイ戦と同様に”SUPER FIGHT”として位置づけられ、勝者にはファイトマネーとは別に判定勝ちには50万バーツ(約210万円)、KO勝利の場合は100万バーツ(約420万円)の賞金が得られる。判定、KOに関わらず、熱戦には、それぞれに25万バーツ(約105万円)が提供される。
松田は事前にビデオレターで「クンスクレック選手、次も必ず倒すので、覚悟しておいてください」とコメント、クンスクレックは、それを受けて「準備はしっかりできた。チャンピオンに返り咲く自信はある。松田が何を言おうと彼次第です。こちらから何も言うことはありません」とコメントしていた。
※Workpoint TV、Youtubeでの観戦、写真はRWSのYoutube映像から ( photos from RWS Youtube channel )
↓ ↓ ソムラッサミー対マリア、メイリ―対カラケッド、バーバラ対マリーの試合映像(タイ以外の国で視聴制限がかかる可能性あり)