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武尊がONEでKO勝利、秋元、小笠原は敗北~ONE FRIDAY FIGHTS 81(2024年9月27日)

総合格闘技団体のONEチャンピオンシップは、9月27日にバンコクのルンピニースタジアムでONE Friday Fights 81を開催した。このイベントは武尊対タン・ジン(ミャンマー)を始め、日本人選手が4試合に出場した。

ONEチャンピオンシップは、毎週金曜日にルンピニースタジアムで、ムエタイ、キックボクシングのイベント”ONE Friday Fights”を行っているが、 3か月に1度、豪華カードを揃えた特別興行を企画し、ONE Friday Fights 81 も特別興行に該当する。通常ではメイン、セミファイナルに出場するスター選手の試合が8組、10組と組まれる為、特別興行はチケットは発売後にすぐに完売してしまう。(リンクは前回6月の特別興行 Friday Fights 68)

今回は、スーパーレック戦でタイの知名度が上がった武尊がルンピニースタジアムのリングに上がるとあって、タイのファンも武尊を注目した。早々に発表された武尊対ブラックパンサーは、メインで発表されたスーパーボンジョータナウットに続くセミになるかと思われたが、結局、武尊は第4試合に登場することになった。日本での放送の兼ね合いもあるだろう、武尊、秋元皓貴小笠原瑛作陽勇の日本人4選手は第1試合から4試合目までに集中して出場となった。いずれも3分3ラウンドの試合だが、小笠原のみムエタイルール、他3選手はキックボクシングルールとなる。(リンクは武尊対スーパーレック戦について)

ONEのムエタイマッチはオープンフィンガーグローブを使用し、結果がKOで決まることも多く、タイで絶大な人気を集めている。この日の12試合のうち、武尊、秋元皓貴、陽勇以外の9試合はいずれもムエタイルールで行われた。

会場のルンピニースタジアムは、19時半の第1試合開始を前に、会場外に観客が集まってくるが、今回は日本人観客が多いようで、日本語があちこちから聞こえる。第1試合の陽勇対ユセフ・サード(アルジェリア)で、すでにスタジアムは超満員、ONE初戦を戦った陽勇は、判定で勝利も、お互いローブローでの試合中断が多かった。第2試合の小笠原対リッティデット・ソー・ソンマイ(タイ)は小笠原が、リッティデットにダウンを奪われ判定負け、第3試合出場の秋元は元ONEキックボクシング世界フライ級王者のイリアス・エナッシ(オランダ/モロッコ)と対戦したが、スーパーレックにも勝利したエナッシの牙城は崩せず、ダウンを奪われての判定負けとなった。

リッティデットは長身(175センチ)で本格派、前戦はスリヤンレックに判定負け
元ONEキックボクシング世界バンタム級王者の秋元、元フライ級王者のエナッシに、初回、左フックで痛恨のダウンを奪われる

そして日本人1勝2敗で迎えた第4試合で武尊とタン・ジンが入場、武尊は1月28日のONE初戦でのスーパーレック戦から、8か月ぶりの復帰戦となる。スーパーレックは、武尊後に、ゴントラニー戦、ハガディー戦を戦い、いずれも勝利、ハガディー戦では右ヒジによる衝撃の初回KO劇を演じており、スーパーレックを相手に5ラウンドをフルで戦い、3ラウンドには見せ場を作った武尊はタイのファンの評価も高まっている様子だ。

武尊の対戦相手は試合の20日前に、当初のブラックパンサーから、ミャンマー人ファイターのタン・ジンに変更となった。タン・ジンはミャンマーラウェイがベースの選手で、ラウェイでは25勝10敗、ONEでは2戦して2勝の19歳。ミャンマー勢については、このFriday Fights 81でナビル・アナンと対戦したソー・リン・ユーがミャンマーの国民的英雄とも言えるラウェイの有名選手で、ONE参戦後はナビル戦までは3戦全KO勝ちとなっている。ソーを追って、参戦するミャンマー勢は毎週のようにリングに上がり、ONEに参戦する日本勢と対戦することもある。(リンクはナビル・アナンの前戦のリポート) 

武尊対タン・ジン戦の初回、タン・ジンは左右フックを振って積極的に打って出る。キックも織り交ぜて、踏み込みも鋭い。武尊はタン・ジンの攻撃をいなしながら、左ジャブから右ロー、ワンツーなど。タン・ジンは武尊のローキック、カーフキックをあまりカットしない。踏み込んでくるタン・ジンにはバックステップで避け、打ち合わない武尊。リング上では高度な駆け引きがされているようで、目を離せない。

タンジンと向かい合う武尊

しかし、初回2分20秒、タン・ジンが振るった左右フックをバックステップでかわした武尊、そこに追撃の左フックが顎に着弾し、ダウン。この瞬間に、観客が総立ちとなり、悲鳴のような大歓声が会場を包む。立ち上がった武尊、ダメージは感じられず、タン・ジンの攻めも慎重、ここでゴング。

タン・ジンの追撃の左を喰う武尊
そしてダウン
武尊のダウンの瞬間、観客席は大騒ぎとなった
カウントを聞く武尊、ダメージはそれほど感じられない

二回、タン・ジンは引き気味ながら時折、勢い良く、左右のビックパンチをふるう。もう武尊の攻撃は見切ったとばかりに舌を出す。タン・ジン左前蹴りが武尊の胸に当たる。自信を深めたのかタン・ジンは武尊の攻撃に真っ向勝負し、打ち合って倒しきるつもりのようだが、逆に武尊の得意な距離で不用意にパンチや、ヒザをボディーに受けてしまう。

それでも「来い!」とジェスチャーで武尊を煽るタン・ジン、徐々に武尊の攻撃の割合が高くなり、防戦に回り始めるタン・ジン、ボディが効いている様子で、ボディへの前蹴りでタン・ジンは崩れ落ちた。うずくまるタン・ジンは何とか立って試合は続行するも、打ち合いに巻き込まれて武尊の左フックを顔面にもらい、2度目のダウン。タン・ジンの状態を見て、レフェリーはストップした。

タン・ジン、二度目のダウンにレフェリーはストップ、武尊は喜びを爆発させる

ONEでの初勝利に雄たけびを挙げる武尊、リングのコーナーポストに登ってからのバック転も見せた。レフェリーから勝利コールを受ける武尊にリングサイドにいたONEムエタイ世界フライ級王者のロッタン・ジットムアンノンが、リングに上がり、対戦をPR。武尊と睨みあうシーンもあった。次回のONEチャンピオンシップ日本大会でのロッタン対武尊戦が期待される。

ロッタンは今年1月の日本大会での武尊戦を負傷でキャンセル、代わりにスーパーレックが武尊と対戦した経緯がある。6月の大会、ONE167においてデニス・ピューリックに判定勝ちした際にも「武尊、準備は良いか?武尊、やるぞ!」と武尊戦の実現を訴えていた。(リンクはONE167の観戦レポート)

ONE Friday Fights 81については、前述のナビル・アナン対ソー・リン・ユー戦をはじめ、ノンオー・ハマ対キアムラン・ナバティ戦、ジャオスアヤイ対スリヤンレック戦など、見所の多い試合が多かった。追ってこの note で紹介していく。

ONE Friday Fights 81の全カード

※ルンピニースタジアムで現地観戦、写真は著者撮影のもの。


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