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抽選を引く前から配分について皮算用する
ショッピングモールの抽選会に臨む朝は、長女と「もし1万円券が当たったらどうする?」について話をする。
皮算用をするには理由がある。もし次女だけが当てた場合に、長女が「ズルい」と言って妹を責めることを避けたいためである。
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大きな買い物をして30回ずつ回した
「ズルい」と言う背景には、どのような思想があるのか認識を合わせねばならない。
自由主義であれば、機会(抽選回数)さえ平等であれば、競争の結果として負けても自分の責任となる。
だけどそれでは、結果として格差が生まれてしまう。みんなにとっての善を目指して、結果の公平性をはかるべきだという考え方もある。
かつての社会主義は破綻したこともあったけれど、最近では共同体主義がその主張を担っているように思える。
もちろん、all or nothingではない。「小さな政府」 or 「大きな政府」は、税率によっても調整ができる。
小さな政府が行き過ぎると、税金とられないかわりに公衆衛生も保険もなくて詰む。アメリカの国民は裕福な割に寿命が短いのも、行き過ぎた自由主義のせいかもしれない。
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抽選の一万円券についても、当てた人が総取りする(小さな政府)か、均等分配する(大きな政府)かだけではなく、折衷案として重み付け配分することもできる。
ロールズ先生が「無知のベール」として、原初状態を想定してルールを考えようとおっしゃっていた。
抽選結果が確定した後だと、本人が当たれば分けたくないと言うし、妹が当たれば均等配分を求めるだろう。だから、出発前の長女に配分を決めさせた。
長女の決断は、もし1万円券が当たれば、当てた本人が「5500円分」をもらい、他の家族に「1500円分」ずつ分配するものであった。
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皮算用の結果、家族とも大した賞が当たることはなく、分配するまでもないねという話になった。この決断ができたこと自体は良い機会だったと思う。
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私は、立ち飲み屋さんの1000円(2ドリンク+アテ)のチケットが当たった。それはそれで満足な時間を過ごせた。
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