復帰プログラム 「雨のバス停留所で」の一考
「雨のバス停留所で」に関する考察と指導ポイント
復帰プログラムの最終授業で使用した教材は、4年生の道徳教材「雨のバス停留所で」です。この教材は、「C-(11)規則の尊重」をテーマとしており、「ルールやマナーを守る大切さ」を伝える内容が20年以上にわたって指導され続けています。特にこの単元では、社会生活での「マナー」の重要性に焦点が当てられています。
ルールとマナーの違いについて
まず、「ルール」とは、明文化された規則や規約、行動の基準を指します。特に競技や遊戯など、明確な基準が必要な場面で用いられる言葉です。一方で、「マナー」とは社会生活において節度ある態度や礼儀を守ることを指し、他者との関係を円滑にするために存在するものです。マナーは相手への配慮や、互いが心地よく生活するための「暗黙の了解」に基づいた行動規範です。
教材内容と授業で考えたい視点
「雨のバス停留所で」の物語は、雨の日のバス停留所で、主人公がバスに飛び乗りたい気持ちから、列を無視して並ぼうとする場面が描かれています。母親はその行動を無言で制し、主人公を再び正しい順番に戻します。バスに乗った後も座れず、主人公は母親の静かな態度を見てさまざまな思いを巡らせます。この場面は、「列に並ぶ」という「マナー」について考えるきっかけとなり、授業で深めるべきポイントになります。
児童と考えたい疑問点
今回の授業を前に抱いた疑問点は、主人公の年齢設定と、母親が無言でいることの意味についてです。
主人公の年齢
物語の内容から主人公は年齢が幼く、即座に列に飛び込む行動や「座りたい」と思うことが、年齢相応の心情として表現されています。これにより、児童にとっても身近で理解しやすいテーマとなっています。母親の無言の態度
母親が主人公を叱らず、静かに正しい場所に並ばせたことについて、授業で児童に「主人公はバス停に一番に並び、順番に並ばなかったことが悪かったと気付いたのか」を問いかけたところ、多くの児童は「気付いていないかもしれない」と答えました。この反応を通して、児童自身も「なぜ母親は無言だったのか」を考えるきっかけが得られました。
母親の行動に込められたメッセージ
母親が何も言わずに主人公を列に戻した行動、そして無言で外を見続けた姿勢には、「公共の場でのマナー」として叱ることを避け、静かに行動を正すことが求められていたのではないかと考えられます。マナーの視点から言えば、母親の行動には「公共の場での静けさを保つ」「大声で叱らずに見守る」というメッセージが含まれていると読み取ることができます。授業後に、母親がバスを降りた後で優しく諭した可能性もあり、こうした視点は授業でも取り上げる価値があります。
指導案の工夫と教材研究の重要性
この教材は以前、主人公の心情に焦点を当てて授業を進めることが多かったのですが、現在の指導では「特別の教科道徳」の方針に基づき、児童の様々な意見を大切にしながら、主題に向けたまとめを重視するようになりました。
改めて教材研究の重要性を感じさせられる機会でした。