#0157 地域経済「大手資本ではなくローカル資本が勝つんじゃね?」って話
こんにちは。釧路出身の小田原です。
今日、聴いた「琴絵のコトラジ」で、
冒頭に「民間市長って良いですね」って話題と
「商店街がオモシロイ」って話題があって、
なんとなく、こんなことを考えていました。
釧路の人ってみんなどこで買い物してるのだろう。
やっぱ車に乗ってイオンかね?フクハラ?コープ?
いやいや、和商!雷さとう!あいちょう!ひろせ!菱光!はっとり!
という人もいるよね。
そういえば、最近、イオン閉店とかヨーカドー閉店のニュース
めっちゃみるな。
2050年に釧路市の人口は10万人を切ると言われていて、
果たしてその時にイオンは釧路にいるか?
と考えました。
⇩最近みたイオンやヨーカドー閉店ニュース
⇩四宮さんvoicy
私の子供の頃(1990年代)からの流れって、とくに地方においては、イオン、ダイエー、ヨーカドーなどの大手資本が進出してきて、中心部の商店街が打撃をうけて衰退。マチがドーナツ化する。という感じだと思うのです。
大手目線では将来的に地方ではこうしたネックが生じてくるので、閉店してそのまま撤退というのも有り得ると思います。
地方のマーケット縮小
90年代に進出した店舗の老朽化
新リース会計(リース資産・負債の計上義務化)
REIT(利回り・ポートフォリオ・投資対象基準)
「弱者の戦略」と言う切り口で考えると、大手が手を出さないであろう以下のようなパブリックマインドを追求することで、将来はローカル資本に勝機あり?と思えてきました。
買い物インフラ
雇用創出
地産地消経済
○縮小するマーケット
・人口減少
地方都市の人口は減少。高齢化も進行して、大手にとってマーケットとしての魅力は低減しているように思います。
釧路市をピックアップすると、昭和56年(1981年)をピークに人口は減少。平成の大合併の時期に、釧路市、阿寒町、音別町が合併したものの、人口減少は止まらず、現在は15万人台で推移しています。
2050年には人口10万人を切ると言われており、釧路振興局管内の市町村を合計しても1981年の釧路市のピーク人口に及ばない予測になっています。
・スケールメリットが生かせなくなるのでは
大手資本はスケールメリットを追求して、大量に安く仕入れて低価格で販売していますが、ここまでマーケットが縮小すると、妙味が薄い、スケールメリットが生かせないということになるのではないでしょうか。
○老朽化・リース会計・REIT
そうした中、80年代、90年代に地方に出店したイオンなどの大手資本が、徐々に撤退しているニュースを目にします。
この理由の一つに建物の老朽化という問題があります。
イオンなどの大手は、建物は自社で保有せずに建物リースやREITのスキームを活用してオフバランス化して資本効率を上げています。
しかし、リース取引の資産計上を2027年度から義務化され、オフバランスのメリットが享受できなくなるうえ、REITの投資対象基準に見合わなくなる物件も出てくるのではないかと思うのです。
まだマーケットが魅力的な地域で、再開発して投資回収の余地があるエリアであれば、撤退の判断は下されないでしょうが、そうでないエリアは撤退という経営判断を下す可能性があります。
釧路には、釧路町と昭和に大きなイオンがあります。
久しぶりに先日足を運んでみると、随分と建物が老朽化しているように感じました。
2050年の釧路。果たしてイオンが存在しているでしょうか。
日本製紙が釧路から撤退したときのように、イオンが釧路に残ってもらうことを懇願するニュースがでたりするかもしれません。
○弱者の戦略でローカル資本の勝機を考える
逆にみんな大好きセイコーマートやコープさっぽろなどは、ビジネスとして成り立たせることは当たり前としつつも、地域のインフラとしての機能を発揮することや、雇用を創出することなど、パブリックな目線で地方部に出店、或いは宅配事業を展開しています。
お世辞抜きに道民に支持されていますよ。
ちなみに、コープさっぽろの組合員数は、2024年3月20日時点で2,017,607名(北海道の人口は約500万人)、組合員組織率は71.9%という驚異的な数字を示しています。
先日、釧路に帰ったときに、お墓参りのお花やお菓子を買いにショッパーズ菱光さんに行きました。お馴染みのJリーグの曲が流れて懐かしい気持ちになりましたw
小さなローカルスーパーですが、食料品から文房具、衣料まで何でもそろっていて、東京では考えられないほどの価格。
一番特徴的なのがお菓子で、イオンとかですと、ポテチとかじゃがりことか子供や若い人が好んで食べるものが多いですけど、菱光さんは、おじいいちゃんとかおばあちゃんが好きそうな、麩菓子とか饅頭とか寒天菓子とか、どちらかというと地味なお菓子の品ぞろえが驚異的なのです。
商域の年齢層が高齢者主体ということ、お客さんとのコミュニケーションが密でニーズを的確にヒアリングでき、タイムリーに商材に反映できる。
(商域での局地戦)
扱っている食料品も、地場産品が多く、地域の農園から直接仕入れた野菜や、地元産品で作ったお惣菜など、地元のものが多く使われているのも、地域の人たちに、地域を感じながら暮らしていく幸福感を与えてくれます。
こういう木目細かな営業ができるのは、ローカルならではだと思うのです。
でもこうした営業は、ビジネス感覚も必要ですが、パブリックなマインドも必要になります。
こうしたマインドを兼ね備えているのも、ローカル資本ではないでしょうか。
○問題
・高い生活保護受給率に着目する:市民の購買力
ですが、それも一筋縄ではいかないように思います。
未だに大手は強いし、業界全体を見ても競争が激しい環境にあります。
そして、釧路市は生活保護受給率が4.82%(北海道2.20%)と非常に高く、値上げしたくても値上げできないという状態が進む可能性があります。
・民間市長の目で見る:産業と富の循環
市長の目でみると、こうした現状は、水産、石炭、パルプの主要産業に次ぐ新たな産業育成が遅れていること、富が域内で循環していないことなどの問題が根っこに潜んでいるように思います。
だとするならば、2050年の釧路を考えたとき、いまあるもの(大手スーパー)があるのは当たり前と思わないで想像し、そこから逆算して現在の行動に活かす必要があるのではないでしょうか。
7月のCLS道東で釧路のスーパーを経営するお三方が登壇されました。
座談会で「もっと付加価値の高い商品を売って、粗利を稼げば良いのでは」という意見が出て、それに対して社長さんは「そう思うでしょ?それがね、買う人がいないんですよ」と仰っていたことが印象に残っています。
○ローカル資本の勝機に向かってできること
・来たる勝機に向かって買い支え
まず一般の人たちができることは、週に1回か隔週に1回、地元資本のスーパーで買い物をして買い支えをすることです。
2040年或いは2050年がローカル資本の勝機とするばらば、それまでローカル資本は大手と戦い続けなければなりません。
とはいえ、買い物客側も消費者として価格を重視した購買行動をやめるわけにはいきません。
そこで、週に2回買い物するうちの1回は地元のスーパーにするとか、そうした工夫で支えることはできると思います。
・ローカル資本が地域の生活を支える未来
週に2回ともイオンに行っても、2040年、2050年にイオンが残ってくれないかもしれませんが、ローカルスーパーは存在しています。
商圏が釧路だからです。釧路に根差した会社だからです。
イオンは釧路に特別な感情はありません。
そうした地道な活動を続けた先には、イオンが撤退したとしても、動じない市民の姿。ローカルスーパーが市民の生活を支える未来があるのではないでしょうか。
と書いていたら、ビジネススクールのチャプターが追加されたので、聴いてからまた肉付けできたらしてみようと思います。
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