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#0080 自動運転バスと地方公共交通の未来

大和総研から興味深いレポートが出ていました。どこの地方も運転手不足に悩まされており、北海道や釧路市で便数減などのニュースはたびたび目にするようになりました。住民の生活の足でもあり、観光産業では駅や空港と宿泊施設や観光名所との移動手段としての活用も期待されます。レポートを読んでの感想や将来の展望についてリサーチした内容を綴りたいと思います。(2805文字)

○レポート要約

このレポートの内容を要約すると以下のようになります。

・自動運転バスの実証実験が全国で進む

2023年4月の道路交通法改正により、運転手を必要としないレベル4の自動運転が公道で可能になった。福井県永平寺町や東京都の羽田イノベーションシティなどでレベル4の自動運転バスの実証実験が行われている。

・人手不足対策として期待される自動運転バス

2024年4月より運輸業のドライバーにも時間外労働の上限規制が適用されるため、全国的にバス運転手の人手不足は一層深刻化する可能性がある。自動運転バスは人手不足対策として期待されるが、レベル4の実現にはまだ数年は掛かりそうである。

・自動運転バスの課題と展望

自動運転バスには走行可能なエリアが限定的であるという制約や、信号協調や路車協調といった高度な情報通信システムの必要性、地域住民などの理解の獲得などの課題がある。しかし、自動運転バスが人口減少時代における地域交通の救世主となることを期待したいという筆者の見解が述べられている。

○自動運転レベル4とは

まずレベル4とはどのようなレベルを言うか整理したいと思います。自動運転バスのレベル4は、「特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態」を指します。これは、運転者が車両内にいなくても、または遠隔地からでも、自動運行装置が車両の周囲の状況を判断し、発進・停止等の運転作業や、緊急時等の自動停止等を実施することが可能です。この技術は、人口減少が進む地域で遠隔監視のもと特定のルートを無人で走る巡回バスなどの実用化が想定されています。決められたルートをグルグルと巡回するバスであれば、データも集めやすいし、導入しやすいのではと思います。とくに地方ではニーズがありますし、都会のように交通量は多くないので少しずつ増やしていけるのではと思います。

自動運転のレベル分けについて(出典:国土交通省「自動運転のレベル分けについて」)

○地方の運転手不足

一方、地方公共交通におけるバス運転手の不足は深刻化しています。バスの運行便数の減少や路線の廃止が相次いでいるようです。この問題に対する取り組みも進められていますが、すぐに結果が出るものではありません。

1.釧路市の例

釧路市におけるバス会社の人材不足と路線廃止の問題は、深刻な課題となっています。バスの運行便数の減少や路線の廃止が相次いでいるようです¹²。

くしろバス運行計画変更のお知らせ

路線バス運行計画変更のお知らせ - Kushiro. https://www.city.kushiro.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/009/975/20221011

釧路市の「くしろバス」では、2023年10月に赤字が進んだ路線を対象に最終便を30分~1時間早め、全路線の5%にあたる43便を減便しました。また、運転手は現在約130人で、今後、毎年10人ほどが定年退職するため、運転手不足が加速しそうです。

これに対して、バス会社ではさまざまな取り組みが行われています。大型二種免許を取得するには約40万円の費用がかかるため、それをバス会社が負担し、3年間勤務すると返済しなくてもいいという制度を設けています。また、他の地域からの移住を促すために、住宅の家賃の半額を会社が負担するという制度も整備しています。

しかし、これらの取り組みにもかかわらず、運転手不足の問題は依然として深刻です。特に、2024年4月より運輸業のドライバーにも時間外労働の上限規制が適用されるため、全国的にバス運転手の人手不足は一層深刻化する可能性があります。

このような状況を踏まえ、地方自治体やバス会社、利用者などが一体となって、運転手不足の問題解決に向けた取り組みが求められています。

2.JR北海道の例

JR北海道の赤字路線の廃止とバスへの代替については、深刻な人材不足が影響を及ぼしています。新幹線開通に伴い、バスが在来線の代替交通として成り立たない時代に突入していると言われています。

例えば、北海道新幹線の「並行在来線」である函館本線の長万部~小樽間について、2022年3月に廃止の方針が決定されましたが、深刻化するバスドライバー不足を背景としてバス転換協議が中断に追い込まれました。バス事業者から「後志ブロック会議が要望するルート、ダイヤは実行困難」との回答があり、地域の公共交通への影響が広がっています。

バス運転手の不足問題に対する取り組みも進められています。例えば、運転手の募集や育成、待遇改善などの人材確保策、運行効率の向上やICTの活用などの運行体制の見直し、地域住民や利用者との協働などです。

しかし、これらの取り組みにも時間とコストがかかり、すぐに結果が出るものではありません。そのため、現状ではバスによる代替がすぐに全面的に実現するとは言えません。今後の動向に注目が必要です。

○レベル4の実現に向けて

自動運転バスのレベル4の実現には、以下のような要素が関わってきます。

1. 運用方法の明確化と実証実験

特定の走行環境条件下での運用方法を明確にし、それに基づいた実証実験を行います。これには、運転手が乗車しない無人自動運転の路線バスなどを運行することが含まれます。

2. 車両技術と共通インフラ

自動運転バスの技術開発と、それをサポートするための共通インフラの構築が必要です。これには、周囲の検知機能やソフトウェアのアップデート、障害物の回避など、自動運転の機能が向上することが含まれます。

3. 法規制の改正

自動運転バスのレベル4の実現には、道路交通法や道路運送車両法などの法規制の改正が必要です。これにより、特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態(レベル4)が可能になります。

https://www.mlit.go.jp/koku/content/001396975.pdf

4. 新型車両の導入

レベル4の自動運転に対応した新型車両の導入も重要な要素です¹。例えば、ボードリー社は、エストニア共和国のオーブテック社が開発した新型マイクロバス「ミカ」を国内に導入しました。

以上の要素が組み合わさることで、自動運転バスのレベル4が実現されます。自動運転技術は日々進化しており、今後の動向に注目です!

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