#0167 勝手に空想旅行~釧路湿原への冒険~
和商市場、そしてタンチョウ市場でエネルギーチャージした我々は、一路、釧路湿原に向かった。
⇩前回の旅行記
次第に市街地を抜け、緑が増えてきた。
45分ほど車を走らせると、細い道を左折する。
右手に達古武湖が見える。
波が静かで、カヌーを楽しむ人が見える。
間もなく集合場所のJR細岡駅に到着した。
湿原の中にある無人駅だ。
私達のほかにも参加者がいるようだ。
ホームにでてみる。
私たち以外には誰もいない。
ただ、線路の向こうには広がる湿原が見える。
湿原と陸地、その境界線は線路の向こうにあるような気がした。
1~2時間程度のカヌー初心者コースを申し込んだ。
カヌーなんて初めてだし、泳げない私はちょっとドキドキしている。
カヌーのガイドさんが来た。道具や漕ぎ方のレクチャーを受ける。
カヌーツアーは、この細岡から岩保木水門まで。
カヌーに乗り、静かな水面を進む。
湿原の中を、鳥のさえずりと風の音だけが聞こえる世界。
私たちは自然と一体になり、心が洗われるような気持ちだった
カヌーに乗り込むや否や、エゾシカの群れがお出迎え。
口をもぐもぐさせながら、こちらを向いている者、かわいいおしりをこちらに向けている者、興味を持ってこちらに寄ろうとする者、逆に怖がって離れていく者。
野生のエゾシカにも個性があるんだなと感じた。
暫く進むと、木の上にオジロワシが止まっていた。
釧路川の魚を狙っているのだという。
ガイドさんの案内が無ければ完全に見逃していた。
高低差の少ない釧路川は、ゆっくりと蛇行しながら進んでいく。
微妙に蛇行部分の内側と外側で流れの速さが違ったり、深さが違ったりする。浅いところはオールが川底についてしまうこともあった。
釧路湿原は気温が低く保たれているせいで、草木が腐敗せずに泥炭として積み重なっていく。
カヌーから見える地層も、ドロッとした雰囲気だ。
泥炭質層の影響で釧路川の水も濁っている。
大地の恵みを川が海に運び、美味しい海産物を育てているのだろう。
山、川、湿原、海、全てが繋がる自然の雄大さを感じた。
最後に丹頂鶴の親子が現れた。
羽を広げると2メートルはある。
私たちに驚いて、雛を置いて親鳥2羽が飛んで行ってしまった。
取り残された雛はなきながら、走って親鳥を追う。
親鳥は数メートルあるヨシの茂みの中に隠れていて、雛を呼んでいるが、川を越えないと雛はそこに辿り着けない。
未だ飛べないのか。
鳥だから勝手に飛べるようになると思いきや、親から飛び方を教わって練習しないと飛べないのだそう。がんばって飛べるようになって欲しい。
ゆっくりと自然のスピードで川を下り、風を感じ、鳥たちの鳴き声を耳にしながら癒された。そうこうしている間に岩保木水門に到着。
人間も動物で、私たちも自然の一部なんだということを感じた。
1~2時間ほとんど会話もせず、ただただ周りの景色をみたり、野生動物の動きや地層・植生を観察したりしていた。
ここの自然は失ってはいけない。
カヌーツアーは終わったが、私たちの心には釧路湿原の風景がずっと残ることなった。