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#0167 勝手に空想旅行~釧路湿原への冒険~

和商市場、そしてタンチョウ市場でエネルギーチャージした我々は、一路、釧路湿原に向かった。

⇩前回の旅行記

次第に市街地を抜け、緑が増えてきた。

45分ほど車を走らせると、細い道を左折する。
右手に達古武湖が見える。
波が静かで、カヌーを楽しむ人が見える。

間もなく集合場所のJR細岡駅に到着した。
湿原の中にある無人駅だ。
私達のほかにも参加者がいるようだ。

ホームにでてみる。
私たち以外には誰もいない。
ただ、線路の向こうには広がる湿原が見える。
湿原と陸地、その境界線は線路の向こうにあるような気がした。

JR細岡駅ホーム

1~2時間程度のカヌー初心者コースを申し込んだ。
カヌーなんて初めてだし、泳げない私はちょっとドキドキしている。
カヌーのガイドさんが来た。道具や漕ぎ方のレクチャーを受ける。

カヌーツアーは、この細岡から岩保木水門まで。
カヌーに乗り、静かな水面を進む。
湿原の中を、鳥のさえずりと風の音だけが聞こえる世界。
私たちは自然と一体になり、心が洗われるような気持ちだった

『釧路湿原』―― 屈斜路湖に端を発する釧路川の下流域に広がる広大な湿地帯。南北に36キロ、 東西に17キロ。 2 万ヘクタールの広さを持つ日本最大の湿原。そこに生息する生物は、植物600種、鳥類170種、ほ乳類26種、昆虫1150種。何と2000種類を超える。手付かずの自然が残る野生生物の王国。

『釧路川』―― 大きなS字を描きながら蛇行を繰り返す。湿原の北端と南端、 標高差はわずかに7メートル。そこを30キロの長さをかけて、ゆっくりと流れ下る。このゆったりとした川の流れこそ、日本屈指、豊かな水を満々と湛える釧路湿原の源。

「釧路湿原 カムイの鳥舞え」 ―未踏の地平をめざせ プロジェクトX~挑戦者たち~


カヌーに乗り込むや否や、エゾシカの群れがお出迎え。

口をもぐもぐさせながら、こちらを向いている者、かわいいおしりをこちらに向けている者、興味を持ってこちらに寄ろうとする者、逆に怖がって離れていく者。

野生のエゾシカにも個性があるんだなと感じた。

暫く進むと、木の上にオジロワシが止まっていた。

釧路川の魚を狙っているのだという。
ガイドさんの案内が無ければ完全に見逃していた。

高低差の少ない釧路川は、ゆっくりと蛇行しながら進んでいく。
微妙に蛇行部分の内側と外側で流れの速さが違ったり、深さが違ったりする。浅いところはオールが川底についてしまうこともあった。

釧路湿原は気温が低く保たれているせいで、草木が腐敗せずに泥炭として積み重なっていく。

カヌーから見える地層も、ドロッとした雰囲気だ。
泥炭質層の影響で釧路川の水も濁っている。
大地の恵みを川が海に運び、美味しい海産物を育てているのだろう。
山、川、湿原、海、全てが繋がる自然の雄大さを感じた。

最後に丹頂鶴の親子が現れた。
羽を広げると2メートルはある。
私たちに驚いて、雛を置いて親鳥2羽が飛んで行ってしまった。

草むらの奥に雛がいます
私達に気付き雛を置いて飛び立つ親鳥
二羽とも飛んでいってしまう
綺麗

取り残された雛はなきながら、走って親鳥を追う。
親鳥は数メートルあるヨシの茂みの中に隠れていて、雛を呼んでいるが、川を越えないと雛はそこに辿り着けない。

未だ飛べないのか。

鳥だから勝手に飛べるようになると思いきや、親から飛び方を教わって練習しないと飛べないのだそう。がんばって飛べるようになって欲しい。

ゆっくりと自然のスピードで川を下り、風を感じ、鳥たちの鳴き声を耳にしながら癒された。そうこうしている間に岩保木水門に到着。

人間も動物で、私たちも自然の一部なんだということを感じた。
1~2時間ほとんど会話もせず、ただただ周りの景色をみたり、野生動物の動きや地層・植生を観察したりしていた。

ここの自然は失ってはいけない。

カヌーツアーは終わったが、私たちの心には釧路湿原の風景がずっと残ることなった。

『釧路湿原』の形成

釧路湿原の形成は、約2万年前の最終氷期の頃から始まります。
この時代の気温は現在より10度ほど低く、海面は100mほど低下したため、今日の釧路湿原は平らな台地となり、川がこの台地を侵食し、現在の河川や谷の原型をつくりました。 その後、地球の気温の上昇と共に氷が溶けだし、海面が上昇し海がひろがる「縄文海進」が始まりました。

約6,000年前には、もっとも奥深くまで海水が侵入し、現在の釧路湿原は海に覆われ、いくつもの入り江をもつ複雑な形をした「古釧路湾」ができます。

次に、4,000年前になると、現在の釧路市街西側の海岸に運ばれた砂が砂さし嘴を形成し始めます。これによって湾が閉じられる一方で、地球の気温は徐々に低下し始め、今度は逆に陸地が広がる「海退」へと変わりました。

こうして湾は湖へと姿を変え、さらに長い年月を かけて徐々に土砂や堆積物で埋められていきました。また、流れ込む川の水によって淡水化も進み始め、約3,000年前に、湿原の東側にシラルトロ湖、塘路湖、達古武沼の湖沼を残して現在の釧路湿原が誕生しました。

『泥炭』

釧路湿原の鳥は、泥炭を形成している泥炭地ともいわれます。
泥炭はスポンジのように水を吸い込んで、踏みしめると水がじゅくじゅくと染み出してきます。湿原ができ、これを維持するためには泥炭も水も欠かせません。

また、水が絶えず供給され、しかもこれを溜める浅い所や低い気温も泥炭のために必要です。

泥炭は分解されないで残った枯れた湿原植物です。
湿原植物は秋に枯れて水に浸かります。
流れのない溜まり水では、溶存酸素が少ないために分解する微生物の動きは不活発で、また水温も低いために完全に分解されません。
よって、未分解の植物は水底に残ります。
これが毎年繰り返され「草の漬け物」となって厚くなるのです。
1年にできる泥炭はわずか1mmといわれ、3mの泥炭は 3,000年という長い時間がかかると考えられています。

釧路市湿原展望台 解説より


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