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大和|神奈川探龍俱楽部|かながわの龍を探して
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こんにちは。CONOMACHI STORIES編集部です。
定期的に小田急沿線の「この街」スポットを紹介していくレポート。
今回は大和市を拠点に寺社の装飾彫り物「宮彫り」を研究する市民団体、神奈川探龍倶楽部の代表の上田さんから宮彫りの魅力や地域文化の啓蒙活動についてお伺いいたしました。
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大和市の市民施設に事務所をもち、寺社の装飾彫り物「宮彫り(MIYABORI)」、特に「宮彫りの龍」を中心に調査・研究をおこなう団体。 発足のきっかけとなった鎌倉の寺社の龍の彫り物から始まり、現在では神奈川県全域にまで及び、約3000社の調査を進めている。 住所:神奈川県大和市深見西1-2-17 市民活動拠点ベテルギウス 大和市民活動センター内
かながわの龍を探して
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神奈川探龍倶楽部。
「幻の龍を探す団体のように認知されそうですが、実は身近にいる龍を探す団体です。」
そう話すのは代表の上田さん。
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もともと広告関係の会社を経営されていた上田さんが、60歳で会社を閉じることになり、これから何をやろうか考えはじめたとき。
「これまでは紙で伝える仕事をしていましたが、これからはWEBだろう。」
そんな理由で藤沢にあるPC教室に通い始めたそうです。
▷鎌倉でトイレがなくて困ったことがきっかけで
元々街歩きがお好きだったという上田さん。教室のある藤沢へ通うついでに、鎌倉にも足をのばすように。
そうこうしているうちに、PC教室も終盤に入り、卒業制作の課題が出されることになったそう。
(上田さん)
鎌倉を散歩しているときに、トイレが無くて困ったという経験がありました。
その時に観光の方や障碍者のために利用しやすいトイレがあったらいいなぁと感じたことを思い出し、鎌倉のトイレマップをWEBで作る企画を提出しました。
さっそく鎌倉市内のフリーで利用できるトイレを自らの足で歩いて調査。
清潔かどうか、トイレットペーパーがあるか、清掃頻度は高いか、などをチェックしトイレの評価も一目でわかるように工夫したのだとか。
公開してみたら鎌倉市の観光課など様々なところから反響が。
(上田さん)
そこで、WEBだけでなく印刷して紙媒体にもしたところ、ラジオや新聞社などからも反響をいただけることに。
これは情報を更新する責任があるなと感じ、毎年、鎌倉市のトイレを周り、更新するようになりました。
▷ふと見上げると目の前に龍が
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(上田さん)
街の施設を調査していた時、ふと目線を上げて周りを見てみたことがありました。
手洗い場などが利用できるところは寺社仏閣の近くにあることが多く、見上げると梁の部分に龍や花の彫刻が精巧に施されていたんです。
宮彫り(寺社の装飾彫り物)との出会いの瞬間でしたね。
(上田さん)
それから街の情報更新を続けながら寺社仏閣の彫刻の龍を見ていたら、それぞれ特徴があることに気づきました。
なんで違うのだろう?どんな意図で作られているのだろう?と興味を持ち始めたのが探龍倶楽部ができたきっかけですね。
▷龍の成り立ちに想いを馳せる
気になったら実際に目で見て、足で歩いて、調べに行きたくなるという根っからの行動派な上田さん。
宮彫りの龍を求めて寺社を訪れて記録する独自の研究活動が始まりました。
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(上田さん)
鎌倉市の寺社仏閣が約150社あったのですが、建造物に彫り物があるのは48カ所。
鎌倉だけでは飽き足らず、神奈川県全域約3000社の寺社仏閣も実際に訪れて調べてしまいました(笑)。
調査をしていてわかったことですが、宮彫りは具体的な作者が分からないことが多いです。
諸説ありますが歴史を紐解くと、宮彫りは宮大工さんの作業工程の中の一つで、他の寺社との差別化の意味を含めて彫られています。
正式にどの部分を誰が作ったのか、という記録はあまりない、ということが多いのです。
時代が経つにつれて、宮大工が彫り物を専門とする、彫り師さんに依頼を出して作ってもらうようになり、さらに記録に残らない、という状況になりました。
この史実を究明したい思いはありますが、記録がないからこそ様々な想像ができるのも宮彫りの楽しみの一つでもありますね。
龍それぞれにストーリーがあるんですよ。
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(上田さん)
ちなみに、私が調べた宮彫りの約3割に龍が彫られていました。
龍は水を司る神だと言われていたようで、火事を避ける、雨が降って作物が育つ、海の近くでは荒天をおさめることを願って彫られていたと考えられています。
龍と言えば日本では守り神のような存在。より身近に感じてもらえると街歩きも楽しくなるでしょうね。
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▷辰年に臨んで
お話しを伺った2023年の翌年は辰年、まさしく龍の年です。
上田さんのお取り組みも最終段階に入りました。
(上田さん)
来年の辰年に向けて今年は本を2冊作ろうと思っています。
1冊は「(仮)かながわの龍を訪ねて」のガイドブック、もう1冊はそのガイドブックを持って神奈川の龍を巡る歴史探訪のミステリーを書きたいと思っています。
また、辰年の年には四国のお遍路さんに対抗して、ではないですが(笑)。神奈川88龍巡りを作りたいと計画しています。
地域を回っていると、観光資源がないという自治体さんの声を聴くことがありますが、今ある地域資源の切り口で人を呼び込む企画は作れます。
これからも神奈川の魅力を伝えていく活動を続けていきます。
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龍の年、という節目に向けて様々な準備を進めている上田さん。
街歩きから始まった、壮大な龍探しの旅が今後どうなっていくのか、今からとても楽しみです。
上田さん、ありがとうございました!
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今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。