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#650 “多様性“って「分かるんだけど、現実世界で実践しようと思うと難しい」というご意見

おはようございます。
仕事が好きだし、楽しいと言い合える女性が増えることが喜び、小田木朝子です。
このチャンネルは、『「ボーダーを越える」組織づくりを語ろう、10月開催のHRライブみんな来てね。』by NOKIOOより、仕事、キャリア、両立にちょっと役立つヒントを配信します。

今週も一週間がスタートしました。
9月最終週って早いですね。
今週のタイトルコールも、「ボーダーを越える組織づくり」をコンセプトにした、10月開催のHRライブの紹介とお誘いをさせていただいています。
テーマに関心のある方は、どんな方でもご参加いただけるオープンライブセミナーですので、気になる方は、チャンネルプロフィール欄にHRライブ全体のイベント企画リンクが貼ってありますので、ぜひご覧ください。

今日は、チャンネルの質問ボックスにいただいたご質問を取り上げさせていただきます。お使いくださる皆さま、ありがとうございます。
順番に取り上げさせていただきます。

今日は、”うさぎの耳は何センチさん”からの質問です。
ネーミングがすでにツボですね。
こちらです。


“多様性“を現実世界に落とし込んだとき難しい

【いつも有意義な話をありがとうございます。
Voicyでも、多様性(ダイバーシティインクルージョン)について取り上げていただきましたし、私もいろいろ学びを深めている最中なのですが、一つ、難しいなと思うことがあります。
それは、何をもって各々の価値観を認めるかということです。
価値観という言葉が理解できているようで、あまりにも定義がふんわりしていることが要因だと思います。
例えば、アイディアがいろんな人から出されるというのは、各々の価値観が表現されたアウトプットとして、認め合うのにふさわしい事象といえそうですが、例えば、次のケースはどうでしょうか?
ある人は、意図が伝わる資料であればよしと考え、スピードをもって次々と新しい業務をこなすべきと考えているのに対し、上司は、いやいや、時間はかかっても、資料の見やすさを何よりも追求すべきと考えているようなケース(上司と持ち時間が違うことで、その差が生じると思いますが)。
それは、各々の考えがあり、価値観や置かれている状況なども違い、各々の言い分も容易に想像できるわけですが、上司の指示に従うことが職場では求められます。
それは、価値観を認め合うダイバーシティとはいえない状況ということになるのでしょうか。
価値観を認め、ダイバーシティ&インクルージョンを表現するとは、耳障りのいい言葉たちですが、現実世界に落とし込んで考えたとき、価値観という言葉の定義が曖昧で、ケースによってダイバーシティの概念に当てはまらないのでは?と思っています。】

こちらのご質問です。
うさぎの耳は何センチさん、ありがとうございます。
今日は略して、”うさ耳さん”と呼ばせていただいていいですかね。
うさ耳さん、ありがとうございます。

多様性の本質をとらえた意見

ご質問を要約すると、ダイバーシティ&インクルージョンって分かるけど、現実世界に落とし込んだ時に難しくない?
こういうことですよね。
ダイバーシティ&インクルージョン、よく聞きますよね。
多様であり、かつそれが受容されている状態。
ここに最近は、”エクイティ”なんていうキーワードも加わって、さらに「公正な機会が提供されることも大事だよね」こんな感じで組織の中で聞かない人がいないというぐらい、言葉としては浸透しているんじゃないかなと思います。
これが分かるけれども、現実世界に落とし込んだ時に、難しいことがいろいろあるよね。
これは本当に多様性の本質を突いたコメントだなと思いまして、まじその通りだと思います。
こういうお悩みは、わりとどこでも抱えていると思うんですよね。
例えば、ダイバーシティ推進は大事だと思うし、否定はしないけれども、現場に浸透させようとする際に、「何、それ?仕事でどうおいしいわけ?」ここがやっぱり越えられなくて、否定はされないけれども、現場でそれを実践するのは難しい。
こういう課題を抱えているチームや組織が、私はとてもたくさんあると思いますし、「大事だよ、それは否定しないよ、でも、この仕事の中でそれをどうやって料理して、どうおいしく食べるわけ?そこが分からないんですけど」というのは、本当に現場の切実な声だと思います。
それをまさにうさ耳さんも言ってくれたんだと思いまして、今日は私はこう考えているよという見解を共有したいと思います。

多様であることと、多様な人と一緒に仕事ができている状態は分けて考える

私はまず、”多様である”、いろんな人がいますという状態が達成されていることと、多様な人と仕事ができていて、多様な人と一緒に成果をあげられている状態は、違うと思うんですよね。イコールではない。
もっと言うと、多様であるという段階はクリアされているけれども、多様な人と一緒に成果をあげられている段階まではまだ至ってないとか、次のその段階を達成している途上であるとか、たぶんいろんな段階があると思うんですよ。
なので、多様であることと、多様な人と一緒に仕事で成果があげられている状態は、たぶん分けて考えた方がいいんじゃないかなと思います。

違う相手と合意を形成する

では、多様な人と仕事ができているというのは、何ができていることかというと、違う相手と合意を形成することができている。これが、多様な人と仕事ができている上での大前提なんじゃないかなと思います。
うさ耳さんが挙げてくださった、資料をどう作るかという事例があるじゃないですか。
この場合だと、まず違いを明らかにする
資料を作るという仕事において、スピードを重視して、多少の粗さを許容して仕上げていくという考え方を持った人と、時間はかかってでも、精度を上げるべきだという考え方を持つ人。
この違う考えが両方存在するよね。
これがまず、違いを明らかにするという段階ですよね。

その上で、何を基準に、どっちを選択するかの判断基準を決めることが、次にプロセスとして生じると思います。
その判断基準が、上司の意見が絶対で、上司の意見に基づいて決めるという判断基準ももちろん存在すると思いますし、うちのチームはスピードを上げてどんどんトライをこなしていかなければいけないから、スピード重視で資料の丁寧さについては譲歩する選択をする、こういう判断基準もあって、次は判断基準がどちらに基づいて決めるか、これを決めるし、合意するというプロセスが必要になるわけですよね。

さらに、なぜその選択基準であるのか、納得できないのであれば、説明を尽くすということまでして初めて、違う相手と合意を形成することが達成されるんだと思います。

エネルギーがいる

これを聞いてどうですか?
正直、とても面倒くさいと思いますよね。
私もこれは面倒くさいという話の通りで、実は以前、沢渡あまねさんと一緒にイベントをさせていただいた中原淳さんも、「ダイバーシティって面倒くさいんですよ。面倒くさいけれども、本当にみなさんはそれをやるんですか?」こういう問いかけをされているのが、非常に刺さって、本当にその通りだと思います。
上意下達も通用しないし、察して従うことも通用しないし、慣例に沿うことも通用しないので、違う相手と合意を形成するには、やっぱりコミュニケーションに時間がかかるし、コミュニケーションに求められるスキルそのものも変わってくるし、もっと言うと、自分の中の当たり前を根底から変えなきゃいけないので、”多様である”だけじゃなくて、多様な人と仕事をして成果をあげている状態まで達成しようと思うと、もっと泥臭いし、もっと骨が折れるし、自分のやり方も変えなきゃいけないので、めちゃくちゃエネルギーがいるんですよね。
でも、それをやるんだと言ってトライをしているのが、今の社会だし、会社だし、我々チームなのかなと思います。

難しさにチャレンジをしようとしている状態

そう考えると、「ダイバーシティ推進は大事だと思うし、否定はしないよ」これはみんなその通りだと思うのですが、その先の「それって、仕事でどうおいしいの?」「どうしたらおいしく食べられるか?」これが、違う相手と合意を形成することができるスキルを身につけたり、そういうやり方に仕事のやり方やコミュニケーションの取り方を変えたりする部分が、ダイバーシティのおいしい食べ方の部分なのですが、おいしい食べ方まで共有したり、「みんなで変えていこうぜ」というトレーニングをしないと難しい。
でも、その難しさにチャレンジをしようとしている状態が、今なのかなと思います。

”多様性”は組織にとっては遠心力

私が勉強させていただいたところだと、”多様性”って言い換えると、組織にとっては遠心力なんですね。
多様性が増せば増すほど、放っておいたらばらばらになる
なので、多様性がかかる組織やチームを、今度は逆に求心力をもってまとめていこうと思うと、そこに共有できるビジョンとか、共通の目的、そして文化、例えば、スピード重視なのか、それとも慎重に進めることが自分たちのチームの文化なのか、トライを重視するのか、それとも正確さが大事なのか、これが文化ですよね。
なので、ビジョン、目的、文化、こういったものが備わると、違う相手との合意を形成することの時間が短縮できるわけなので、改めて私たちは、多様な人と仕事ができるスキルを磨きつつ、その中でスピードを上げるためのビジョン、目的、文化を問い直したり、アップデートしようとしている、そんな真っただ中にいるんだなと私は考えております。

いかがでしょうか、うさ耳さん。
本質的な突っ込んだご質問をいただき、ありがとうございます。
私も一緒に考えることができてよかったです。

明日の人事を元気にするHRライブ、島田由香さん登場!

今日はおまけのアナウンスチャプターがあります。
今日のうさ耳さんのご質問「ダイバーシティって、現実世界に落とし込んだときに難しいよね」は、多様性の本質を突いて、考えさせられる質問でしたよね。
私たちも改めて、ダイバーシティをおいしく食べる方法を、チームでも組織でも試行錯誤している段階だと考えることができました。
そこからですが、タイトルコールでお伝えしました『「ボーダーを越える」組織づくりを語ろう』は、まさに多様性を生かし合って、多様であることが組織の成長エンジンになっている、こういった組織づくりには、何が必要なんだろうね?を考える場になるんだなと実感しています。
10月開催のHRライブ第一弾のイベントのリンクを貼っておきますので、気になる方はぜひ来てください。
多くの方に来ていただけるとうれしいです。

最後までお聴きいただき、ありがとうございます。

今日も一日良い日にしましょう。

小田木朝子プロフィール

「仕事が好きだし、楽しいと言い合える女性が増えることが喜び」小田木朝子(おだぎともこ)です。
このチャンネルは両立女性のためのオンラインスクール育休スクラから出産後の変化を柔軟に乗り越え、仕事がもっと楽しくなる“知恵とヒント”を平日の毎朝配信しています。2回の育休を経て、現在人材育成・組織開発を行う株式会社NOKIOOの役員をしています。
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