#723 組織の力学を使ってメンバーへ望ましい行動を提示しよう
おはようございます。
仕事が好きだし、楽しいと言い合える女性が増えることが喜び、小田木朝子です。
このチャンネルは、変化の時代を学びで楽しくサバイブする、オンラインスクール育休スクラより、仕事、キャリア、両立にちょっと役立つヒントを配信します。
今日も、くわっちが考えてくれたタイトルコールでスタートします。
くわっち、ありがとうございます。
今日の放送は、チャンネルの質問ボックスにいただいたご質問を取り上げたいと思います。
今日、いたいたご質問は、カーリーさんからの質問です。
カーリーさん、ありがとうございます。
心理的安全性を崩す高圧的なメンバーとどう関わるかというお悩み
【初めて質問します。いつも分かりやすい表現で、気付きを与えてくださってありがとうございます。 いい刺激になっています。】
こちらこそ聴いていただいて、ありがとうございます。
【質問は、心理的安全性を崩す高圧的なメンバーとどう関わるかです。
私は9名のメンバーを持つ管理職です。
売上責任を持つ部署なので、結果も厳しく問われる部署ですが、20代から30代中心のメンバーで、試行錯誤やチャレンジ歓迎の風土も工夫しています。
その中で、周囲に高圧的で雰囲気を悪くしているメンバーの対処について、ぜひ相談に乗ってください。
20代後半、グループの中では下から2番目に若い女性メンバーです。
吸収力が高く、コミュニケーション能力も高く、よくアンテナが立ち、自分の考えを持っていて、仕事はよくできます。
自己肯定感も高いのですが、その自己肯定感の高さゆえなのか、他者に厳しく、先輩に対しても批判的な態度をとり、メンバーができないことをゴシップ的に周囲に言っています。
メンバーの揚げ足を取って、自分の正当性を主張しているようにも見えます。
そんな彼女のゴシップぶりは、他のメンバーも知っていて、裏で何か言われると思うと、周囲が委縮して、他のメンバーが意見を言えない、分からないことがあっても聞けないといったことが起きています。
喫緊の課題としては、組織運営上、中長期的には、彼女の周囲からの信頼構築という意味でも指導してあげたいのですが、小田木さんだったらどう声をかけ、指導しますか?
ちなみに、彼女との1on1では、「謙虚に相手の立場に立って教えてね、誰とでも同じ態度で接してね」と伝えていますが、明らかにぶぜんとした態度をとります。
小田木さんのアドバイスをお願いします。】
というテーマです。
チームの心理的安全性を崩すように感じる高圧的なメンバーとどう関わるか。なかなか難しいテーマですね。
でも一方で、カーリーさんがチーム全体をよく観察して、チームとしてどうあるべきか、メンバーやチームをどう動かしていくか考えている、そんな姿勢をすごく感じます。
一緒に考えていきましょう。
誰も悪くない構図の中で起きている
今回のケースを聞きながら思ったのは、過去に私もこういうケースがあったときに、「課題に気付いてもらわなきゃ」「問題に気付かせなきゃ」みたいなスタンスで私としては誠実に接していたけれども、なかなか伝わらないことがあったなと思います。
今はどう考えるようになったかというと、例えば、今回のカーリーさんが言うメンバーが仮にAさんだとするじゃないですか。
AさんにはAさんの正義があるんですよね。
ここに違う正義を押しつけても、なかなか人って変わらないんですよね。
もちろん伝える側は、良かれと思って、そこに問題があるからぜひ良いほうに変わってほしいからということで、誠実に一生懸命伝えようとするのですが、これがなかなか難しい。
では、今回のAさんの正義とは、どんな正義がありそうなのかな?妄想が入りますが、ちょっと想像してみました。
まず、たぶんAさんは、仕事ができるんですよね。
カーリーさんも「理解が早く、よく気付き、コミュニケーション能力に長けて」と書いてあるので、仕事がよくできる。
そこから周囲に批判的な態度になってしまうというと、たぶんAさん的には周囲が仕事ができない、頑張っていないように見えてしまう。
こういう構図があるんじゃないかなと思います。
私ができることが、他の人はうまくできない。要領よくできない。
そうすると、周囲は仕事ができない、頑張っていないんじゃないか?こういう目線になっちゃうことがあるんじゃないかなと思います。
対比して、自分は頑張っている。チームに貢献できている。
そうなってくると、自分より先輩や立場が上の人なのに、自分より仕事ができない。これが我慢できなくなっちゃうんじゃないかなと思います。
そうした相手をどうしても責めたくなっちゃう気持ちが湧いてくる。
さらに、カーリーさんが「自分の正当性を主張するために周りを責めているように見える」という、ここにもヒントがあるんじゃないかなと思いまして、それはどういうことかというと、自分は十分に評価されていない、自分の能力や貢献に見合った評価がされていない。そんなふうな気持ちも、もしかしたらあるんじゃないかなと思います。
現に、カーリーさんがいろいろ工夫をしながらも、アドバイスがなかなか届かないんですよね。
それは、逆の立場だったらどういうことかというと、おそらくカーリーさんが個々を尊重するというメッセージを十分に伝えてくれていると思うのですが、Aさん的には、周囲を尊重する意味が分からないとか、そういった行動をとるメリットが感じられない。ここが決定的な構造としてあるんじゃないかなと思います。
なので、AさんにはAさんの正義があって、Aさんの正義に対しては、例えば、「人としてこうあるべきだよね」とか「それだと相手がかわいそうじゃん」みたいなメッセージだと届かない状況なんじゃないかなと想像します。
これは、くれぐれも誰も悪くないということですね。
Aさんは自分の正義を信じて行動し、そしてカーリーさんも十分に誠意を尽くして一生懸命関わっている。
誰も悪くない構図の中でこういったことが起きているんじゃないかなと思います。
組織の力学を使ってメンバーへ望ましい行動を提示しよう
では、どうするかですが、私の過去の経験からの個人的所感をお伝えさせていただこうと思います。
まず一つは、Aさんの関心に合わせて、Aさんに届く形でフィードバックをする。
これが今回の一つのアプローチの試してみていい手段じゃないかなと思います。
Aさんの関心に合わせて、Aさんに届く形でとはどういうことかというと、成果をあげたいという気持ちの強いAさんと、組織の力学を使うという手段ですね。
具体的には何かというと、人事制度に照らし合わせてきちんとフィードバックをしたり、Aさんにのぞましい行動を提示していくことが、コミュニケーションの一つの手段になるんじゃないかなと思います。
人事制度は組織の力学ですし、そこに組織の中での合理性が詰まっているので、人事制度に基づいてのフィードバックをする。
具体的には、まず、職級等級制度というのがあると思うんですよね。
Aさんは、20代後半で仕事もよくできるということなので、おそらく新入社員前後の若手の等級から一級か二級は上がっているんじゃないかなと思います。
そうするとおそらく、会社の人事制度の中でAさんの職級等級に合わせて、 自分の仕事ができるという観点だけじゃなくて、他者への影響力を上手に発揮するといった観点の項目が必ず書いてあるんじゃないかなと思います。
一人として仕事ができるレベルが求められているのではなくて、他者に関わって成果をちゃんとあげるようなことが、おそらく書いてある職級に今はいるんじゃないかな。
そういう観点で、ではAさんにはどういった成果のあげ方をしてほしいのか。自分の仕事がちゃんとできるレベルではなくて、他者と関わる中での成果のあげ方とは、今のカーリーさんのチームでいうと、具体的にどういった関わりや、どういった行動が望ましいのか。
その中でどういった成果のあげ方を期待されているのか。
こういう観点からフィードバックしていくということですよね。
これは、評価されたいAさんにとって、動機であり、合理的理由そのものになるんじゃないかなと思います。
さらに、ちょうど時期的には次の期や新しい年の目標設計をしていくタイミングにあると思いますので、目標設計の中で、他者を支援して成果を出す、育成なのかサポートなのか、それともチーム全体のチームワーキングに対しての貢献なのか、こういった観点をきちんと目標の中に組み入れながら、その枠組みの中でAさんに期待される行動をとるとか、その中でちゃんと評価される行動を促していくというところが、おそらくAさんにとって、なぜ相手の立場に立つ必要があるのか、なぜ自分が仕事ができるだけではいけないのか、なぜ高圧的な態度を取らないほうが結果成果が上がるのかというところの合理的理由になっていく。
こんな感じですね。 まさに組織の力学。
中堅メンバーの力も借りながらチームでチーム運営を
そしてカーリーさんは引き続き、Aさんが評価されるための支援者・伴走者としての関わりを続けられたらいいと思います。
人って誰しも、「間違いを正してやろう」みたいなスタンスで来られると、反発しちゃうんですよね。
なので、カーリーさんは引き続き、Aさんに対して「あなたの成果とあなたのキャリアのために私は支援をしていくし、大事なフィードバックをしていくし、もっと成果があがって、もっともっとチームの中で評価されるように関わっていくよ」そういったスタンスで関われたらいいんじゃないかなと思います。
チームの中で上司やリーダーの影響力は、絶大な大きさがあると思いますので、引き続きカーリーさんがどんなチームを望ましいと思っているか、どんな一人一人のアクションを承認していくか、そこで大いに影響力を発揮していただきたいなと思います。
カーリーさん、ありがとうございます。
カーリーさんのチーム運営を心から応援しています。
最後に一つ、カーリーさんのチームは9名ということなので、結構人数の多いチームといえると思います。
ということは、カーリーさんおよびその他のメンバーという構図というよりも、カーリーさんがいて、そんなカーリーさんを支えるミドルリーダーですね。リーダーのよきフォロワー・サポート役がいる構図が望ましいと思いますので、カーリーさんがすべてのメンバーに対して、すべて自分がフィードバックも指導もしなければいけないという構図ではなく、リーダーを支えるフォロワー・中堅のメンバーの力を借りながら、チームでチームを運営していく構図の中で頑張れるといいなと思いました。
これはすごく大事な構図ですね。
リーダーとそれ以外のメンバーなのか、それとも、リーダーとそんなメンバーとチーム運営の志だとか、要点を同じくして、みんなで引っ張る複数のリーダーがいるか。
これは大事な構図ですので、カーリーさんがAさんの件に関しても、一人で抱えず、チームの中で協力し合って、いろいろとことを前に進めていく、そんな構図であることを心から願っております。
ということで、今日は質問ボックスにいただいたご質問を取り上げて放送させていただきました。
最後までお聴きいただき、ありがとうございます。
それでは、今日も一日良い日にしましょう。
小田木朝子プロフィール
「仕事が好きだし、楽しいと言い合える女性が増えることが喜び」小田木朝子(おだぎともこ)です。
このチャンネルは両立女性のためのオンラインスクール“育休スクラ”から出産後の変化を柔軟に乗り越え、仕事がもっと楽しくなる“知恵とヒント”を平日の毎朝配信しています。2回の育休を経て、現在人材育成・組織開発を行う株式会社NOKIOOの役員をしています。
*育休スクラ公式HP|https://schoola.jp/
*Facebook|育休スクラ|https://www.facebook.com/schoola.jp
*Instagram|@odagitomoko|https://www.instagram.com/odagitomoko/
*Twitter|@odagitomoko|https://twitter.com/odagitomoko
*YouTube|小田木朝子の今日のワタシに効く両立サプリ*育休スクラ|https://www.youtube.com/channel/UCT8k-TH1TMSJVbMPMXxFQBA