見出し画像

【NICTオープンハウス2024】特別講演「デジタルネイチャーを拓く知の探求」筑波大学 デジタルネイチャー開発研究センターセンター長/准教授 落合 陽一

最近の講演が公開されてたので貼っときます.note用は解説も.

この講演は、筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター長の落合陽一氏によるもので、「デジタルネイチャー」という概念を中心に、技術と自然の融合、そしてそれが社会にもたらす影響について論じています。

講演の主なポイントは以下の通りです:

1. デジタルネイチャーの定義:
- 自然は計算機とみなすことができる
- 計算機は自然の中にも存在する
- これらの融合が計算時代の自然である

2. 技術の急速な進歩:
落合氏は、AIやコンピューティング能力の劇的な向上を示し、これらが人間の能力を超えつつある状況を説明しています。

3. 研究と応用:
メタマテリアル、音響技術、AIを用いたゲーム開発など、具体的な研究事例を挙げながら、技術の可能性と課題を論じています。

4. 社会への影響:
技術の進歩が社会や人間の価値観にどのような影響を与えるか、特に意思決定のスピードの差異に注目して議論しています。

5. 芸術と技術の融合:
音楽や芸術分野での技術応用例を挙げ、新しい表現方法の可能性を示しています。

6. 社会貢献:
障害者支援技術など、技術を社会課題の解決に応用する取り組みについても言及しています。

7. 未来への展望:
2025年大阪・関西万博での取り組みを例に、デジタルネイチャーの概念が具現化される未来像を描いています。

8. 哲学的考察:
柳宗悦の言葉を引用しながら、新しい技術が生み出す「美」や「自然」の概念について深く考察しています。

この講演は、技術の進歩と人間社会の関係性について、多角的かつ哲学的な視点から論じており、聴衆に対して新しい世界観や未来像を提示しています。また、理論的な内容だけでなく、具体的な研究事例や社会応用の例を交えることで、理解を深める工夫がなされています。

ここからは、筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター長、准教授の落合陽一様より特別講演をいただきます。本日は、「デジタルネイチャーを開く地の探求」と題しまして、地の拡大と未来社会の構築に焦点を当ててくださいます。ICT技術の進化や異分野の統合が生む新たな表現を紹介し、2050年代の未来社会の多層的な構築を通じ、NICTの役割と未来への展望について探っていただきます。

それでは、落合様、よろしくお願いいたします。

落合:こんにちは、落合です。私はデジタルネイチャー開発研究センターというセンターを、筑波大学でやっております。普段紹介されるときは、メディアアーティストとして紹介されるときと、大学の教員として紹介されるときと、自分の会社をやっているピクシーダストテクノロジーズの代表取締役として紹介されるときと、あとは万博のプロデューサーとして紹介されるときと、いろいろあります。

一般的に研究者としての仕事もよくやっていまして、CRESTの研究代表をやったり、内閣府のムーンショットの目標を作ったり、あとは政府委員なども務めています。会社もやっているんですが、大体朝は8時ぐらいまでは万博などのミーティングをしていて、午前中は会社の仕事をしていて、昼ぐらいに大学の講義などをして、昼過ぎぐらいから大体他の仕事をした後、夜は制作をしていることが多いです。

今日はデジタルネイチャーについてお話しします。私たちの研究室を始めたのが10年ぐらい前で、研究センターになったのが4年ぐらい前なんですが、そんな話を含めて、情報通信と我々は非常に関連が深い場所でもございますので、そういったものを見ながら未来の展望を語っていきたいと思います。

ここから先は

13,958字
落合陽一が「今」考えていることや「今」見ているものを生の言葉と写真で伝えていくことを第一に考えています.「書籍や他のメディアで伝えきれないものを届けたい」という思いを持って落合陽一が一人で頑張って撮って書いています.マガジン開始から4年以上経ち,購読すると読める過去記事も1200本を越え(1記事あたり3円以下とお得です),マガジンの内容も充実してきました.

落合陽一が日々見る景色と気になったトピックを写真付きの散文調で書きます.落合陽一が見てる景色や考えてることがわかるエッセイ系写真集(平均で…

いつも応援してくださる皆様に落合陽一は支えられています.本当にありがとうございます.