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「ヌルの共鳴:計算機自然における空性の相互接続」

本展は、デジタル自然の中での空虚性を精緻に捉え、縄文時代と現代の計算機科学の接点で展開します。新作の“有機的な変形ミラー”とLEDによる“ヌルのインスタレーション”が相互に影響を与える合わせ鏡となることで、物質と非物質、デジタルと有機的、現実と非現実の狭間で新しい共鳴が生まれます。

縄文時代の人々が探求した自然との調和と一体化の理念は、現代の計算機自然において再発見されます。空即是色色即是空の哲学が、この独特なメディアの交錯によってデジタルの“ヌル”として具現化されるのです。“有機的な変形ミラー”は、物質世界の柔軟性と流動性を反映し、縄文時代の遺伝子への探求と計算機自然との対話を促します。一方、LEDによる“ヌルのインスタレーション”は、デジタル自然の厳密な論理性と無常性を表現します。

このような対話と共鳴は、人類が進歩しない、あるいは絶滅するという失望を超越し、計算機自然の新しい喜び、悲しみ、そして涅槃を日常に実現する可能性を内包します。それは新しい自然の実装であり、遊牧民のように定住しながらも共有可能なコモンズを生成します。これは、人類が絶滅する前に、新人類としての思考の進化への新たな道筋となるでしょう。

また“有機的な変形ミラー”は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で落合がテーマ事業プロデューサーを手がけるシグネチャーパビリオン「null²」の動く外装の実装実験を兼ねています。常に新奇性のある作品づくりに挑戦し続ける落合の最新の試みです。

https://www.kiyoharu-art.com/?p=2079

というわけで,ヌルの共鳴が今週末からです.

タイトル:「ヌルの共鳴:計算機自然における空性の相互接続」"ヌルの共鳴"とは、デジタル世界における'ゼロ'または'空虚'の共鳴、すなわち相互作用を指しています。
"計算機自然における空性"は、コンピュータ科学と自然界の境界領域での“空性”や“空っぽさ”をテーマ性としています。

デジタル自然と縄文時代: 現代の計算機科学と古代の縄文時代の自然観が交錯する点を強調しています。
有機的な変形ミラーとLEDによるヌルのインスタレーション: 物質と非物質、デジタルと有機的、現実と非現実といった相反する要素が相互に影響を与え合う作品が展示されています。
空即是色、色即是空: これは仏教の思想であり、物質世界と非物質世界、形と空性が分かれることなく相互依存するという哲学を表現しています。
人類の進歩と絶滅: 計算機自然を通じて人類が新しい喜びや悲しみ、さらには涅槃(解脱)を見出す可能性を提案しています。
新しい自然とコモンズ: 展覧会は新しい種類の自然を構築し、それを遊牧民のように共有できる新たなコモンズ(共有地)を作り出すと説明しています。
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博): 落合陽一が手がけるシグネチャーパビリオン「null²」の外装の実装実験としてもこの作品が機能しています。
この展覧会は、古代と現代、物質と非物質、自然と人工の多面的な相互関係を探求する場となっており、落合陽一の多様な研究テーマとも深くリンクしています。それぞれの要素が重なり合い、人類の進化に対する新たな道筋を提案しているのです。

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落合陽一が「今」考えていることや「今」見ているものを生の言葉と写真で伝えていくことを第一に考えています.「書籍や他のメディアで伝えきれないものを届けたい」という思いを持って落合陽一が一人で頑張って撮って書いています.マガジン開始から4年以上経ち,購読すると読める過去記事も1200本を越え(1記事あたり3円以下とお得です),マガジンの内容も充実してきました.

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